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生意気な年下にうっかり惚れられまして。

「あんたはほんと、そういう人だよな。――それだからこそ、あんたのことが好きになったんだ」

澤村がくすりと微笑む。その笑顔は今までにない暖かなもので、椋太は不意を突かれて動揺する。

(今までと態度が全然違うし……)

自分がピロートークされる側にも慣れない上、1年間対して見せなかった姿を一気に見せられて戸惑いが隠せない。

「急に態度変えすぎなんだよ。つうか、1年間なんで隠してたんだよ。プロジェクトメンバーの前でもそういう顔すればいいのに」

仲の良いはずのシステムチーム内でもあまり笑顔は見せている様子はなかった。
たまたまチーム内は女性もはっきりと意見をいうタイプが多かったため物怖じはしていないようだったが。

「あんたの前だからだよ、主人だけには忠実なんだ」
「はぁ……の、割には態度でかいけど」

(俺は大型犬の飼い主かよ)

ドヤァ、といいたげに胸を張る姿は、大型犬が褒めてと尻尾振っているようにも見えなくはないが……と椋太は眉をしかめる。

「それよりそれ、早く食べろ」

呆れた顔の椋太をよそに、澤村は椋太が手に持っていたパンを奪うようにちぎった。

「あ!俺の朝ごはん!」
「手ぇとまってんだよ。俺が……我慢しているうちに、さっさと食べないから」

えっ、と振り返った瞬間、覆いかぶさるように椋太の唇が奪われる。
噛み付くようなキスは椋太を食べつくすような勢いで椋太を飲み込んでいく。

「ふ、うん……ッ」

逃れるように澤村の胸を押しやろうとするが、机に齧りついてたいして鍛えてもいない椋太の腕力では叶うことわけはなく、なすがままに貪られる。

「やめっ………ン…………」

縦横無尽に口の中を這い回る分厚い舌に反抗しようとするも、どんどんと身体の芯から蕩けさせられていく。

(なん、だよ……好きに、しやがって)

声に出せない心の内で罵るも、力はどんどんと抜けていく。
数分、朝するには濃厚な口付けをされたのち開放された。

「澤村……お前……」
「ん」

濡れた唇を拭う澤村の仕草は、男っぽい色気を滲ませる。

(もっと……澤村の方から好きだからなんでも言うこと聞きますって言わせるくらい、惚れさせろってことだよな)

本当のところ椋太には澤村がどう思っているのかはわからなかったが、余裕たっぷりな様子は椋太の反発心を煽るのだった。

「覚えておけよ……付き合ったからって、簡単には好きにさせねぇからなっ?!」
「そうか、でも俺はあんたのこと好きだからな」

表情も変えずに好意を告げる澤村に、椋太はさらに怒りが湧き上がる。

「まじでお前っ、生意気なんだよっ!!!」

- 「生意気な年下にうっかり惚れられまして。」完 -




「なまほれ」は本話にて完結しましたが、なんと早くも二期が決定しました!!

付き合い始めた二人に事件が降りかかる?!
新しく登場するキャラクターも……?

そして、まちや真智先生描き下ろしの二期なまほれ新ビジュアルが、明日11月3日11月3日(金・祝)~11月4日(土)開催される、AGF2017 アニメイトガールズフェスティバル2017内、G-37「EM2ブース」の前にて配られるチラシに掲載されます!

イベントに行かれる方は、ぜひチェックして下さいね。
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