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生意気な年下にうっかり惚れられまして。

目がチカチカする。
カーテンからもれる光がまぶたを突き通し、痛みを伴って椋太の瞳を刺激した。

(目が……開かねえ………)

段々と頭が覚醒していく中、頭だけでなく身体のあちこちが痛いことに気づく。

(くっそ……無茶しやがって)

椋太は眉をしかめながら、目は瞑ったままだ。

昨日といえば。初めて寝床を共にして、正確には深夜残業があるのでそれを除くとだったが。

(普段おとなしいと思ったら……なんなんだ……あいつ………)

苦痛に耐えながらようやく片目だけを薄くあける。
朝の光に照らされた大きな裸の背中を苦々しい思いで見つめる。

まさか自分が押し倒される側とも思っていなかった椋太は、荒々しい本能のままに動く澤村の姿を初めて見たのだった。

静かに寝息を立てて、しかもこちらに背を向けているのに軽く苛立ちを覚える。
逃げ出したくなるほどに追い詰められ、でも結局――

「もうぜってーやんねー……」
「そんなことは言うな」
「は?」

起きてるのかよ、と思わず目を見開く、が、疼痛にうめきながらうずくまった。

「……大丈夫か?」

振り返った澤村の大きな手が椋太のふわふわとした髪に触れる。

「だいじょーぶじゃねーよ……」
「途中でやめたじゃないか」
「あんなの入るかッ」

あんだけ腹くくってベッドに誘ったものの、当然ながら初めてはさんざんで、最後までできずにおわったのだった。

「でも途中までは気持ちよさそうにして……」
「言うなっ」

くそっ、デリカシー学べよ、と呻きながら椋太はそのまま突っ伏す。

「悪かった、けど後悔はしてない」
「なんかのネタかよ……」

椋太はごろりと寝返りをうつと、盛大なため息とともに両手で顔を覆う。

「初めてで失敗するとか童貞かよ俺……くそ……」
「そこが嫌なのか……」

憎まれ口を叩いているのはもちろん恥ずかしさを誤魔化すためで、椋太としては本当は隙間なく身体に触れ、好意を告げられながら触れられるというのはとても良かった。
が、最後までは達成しなかったことも、それでも気持ちよく嬉しかった事などは口が裂けても言えず。

「水、もってくる。薬とかはあるか」
「アクアリウムのとなりの引き出し。1番上」
「わかった」
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