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生意気な年下にうっかり惚れられまして。

「とりあえず……なんか飲む?ビールでいいか」
「あ、うん」

妙にぎこちない返事に、澤村も緊張しているのかな、と思うと少しほっとする。
好きなように振る舞ってきたが、椋太も緊張で変に心臓がばくばくしていた。

常備しているブリーを一口大にカットし、瓶詰めのオリーブを幾つか皿に出す。
切り落としの生ハムと細切りのきゅうりをごま油であえた簡単に用意できるつまみも載せた。

「簡単なのしか用意できないけど」
「……」
「なんだよ、その顔は。何も作れねーと思ってたンだろ」
「よくわかったな」
「そんだけ目をかっ広げてたらわかるわ」

憎まれ口をたたきながらも、すこし嬉しそうに笑う澤村から自分への愛情がにじみ出ているようで、椋太はこそばゆくなる。

ぷしゅ、と缶をあけると、雑に乾杯をする。

「改めてお疲れ~」
「ん」

かつん、とアルミ缶がぶつかる音。
何も音がないのも間が持たないと、椋太はスピーカーの電源をつけると、スマートフォンから音楽を流す。

「テレビ見るって感じでもねえし」
「そうだな、俺は家にテレビはないし」
「えっ、マジで」
「……おかしいか?」
「いやー。まあ、俺も話題とか情報収集のために見てるようなもんだし、なくてもいいっちゃいいけど」

他愛もない話をする。
なんだかんだで飲み続けたせいか、すこしふわふわとした浮遊感を感じて気持ちよくなってくる。

「俺さーあんま澤村のことよくしらないなって今更おもったんだけど」
「……俺も、白井さんのことはあまりよくしらないが」

素で返されて、思わず椋太は吹き出す。

「なんだかなー。俺たち1年ずっと一緒に仕事してたのに。何も知らないんだな」
「……そうだな」
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