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生意気な年下にうっかり惚れられまして。

コーヒーの香りをゆっくりと吸い込むと、椋太は口を開いた。

「改めていうと恥ずかしいっつーか……アレなんだけど。ってなんだよな」

少し緊張しているのが自分でもわかる。
改めてきちんとしようと、椋太は澤村の目を見つめた。
強い視線が絡み合い、反らしたくなるのを我慢する。

「俺も、お前のこと好き……………かも」
「っ……かも?」

面映い気持ちを誤魔化すようにつけた語尾に突っ込まれる。

「お、俺だってまだはっきりわかってねーんだよっ」

澤村に疑わしそうな目で見られる。

「いや……いろいろ考えてみたけど、仕事のパートナーとしてはやっぱお前に気付かされる事とかいろいろあってさ。
信頼してるんだ、すごく。
そりゃ言い方はキツイからむかっときて、売り言葉に買い言葉な時もあるっていうか……多いな」

今までをふと思い出して苦笑する。

「他のメンバーだって同じなんだけどさ、でもなんつーか……違うんだよな」

心を落ち着かせるためにもう一口コーヒーを含む。

「なんだかんだいって結構お前の事ばっか考えてるなーって思って。
付き合ってたカノジョたちにもそんなこと考えたことないかもって」

澤村がそこの言葉に反応したように少し眉をひそめる。

「なんだよ、嫉妬した?」
「嫉妬する」

冗談で言うも、率直に返される。

「はは、そうか……うん、ちょっと嬉しいかも」

椋太の言葉に、ますます澤村の顔は険しくなっていく。

「わりぃわりぃ。聞くのイヤかもしんないけど、今までって好かれてるのが当たり前って感覚だったんだよ」

仕方なしというように澤村は話を聞く体制を取る。

「それも今考えれば、カノジョたちには悪かったなと言う感じで、そりゃあ振られるわって感じなんだけどさ。
もちろん元カノのことも好きだった気持ちは本物だと思う、けど。
お前の場合ちょっと重要度が変わってくるんだよなぁって気づいて」

(色々考えないとわからなかったんだけどな、長い期間待たせてゴメン)

「なんというか……仕事ではもちろんだけど、お前とならちゃんといろんなこと言い合えるかなって思って。
相棒というか。俺の中ではそういう位置になる人って今までいなかったんだよ」

一見ふざけているようにも感じられるかもしれなかったが、椋太にとっては重要な認識だった。
いつの間にか、澤村は椋太の心のなかに入り込んでいた、というのが一番感覚としては近かった。

「そう考えたら、素直に、あ、俺澤村のこと好きなのかもってそう思ったんだ」
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