生意気な年下にうっかり惚れられまして。
「あのさ」
「……?」
澤村は食べ進める手を止め、こちらをちらりと振り返る。
「お前、まだ俺のこと好きなの?」
「はぁ?」
珍しく面食らったような頓狂な声が上がる。開かれたままの口に思わず吹き出してしまった。
(澤村も驚くことがあるんだな。いっつもも無愛想だし、生意気だし)
「何いってるんですか」
「ふふ、急に敬語になってるし。動揺した?」
にやりと口角を上げて不敵に笑うと、澤村は深くため息をついた。
「からかってるのか?」
「いや、そういうわけじゃない。……だってさ、お前。コクった割にそっけないしなー」
(いろいろと日和ってたのかもしんないな。そのほうが澤村に失礼だ)
いろいろと考えすぎなのは良くない。
とはいえ、今まで考えてきた事も無駄ではなかった。自分が本当にどうしたいのかを気づかせてくれたから。
今のタイミングなら自分の気持を、素直に話せる気がした。
「そっけなくはない、けど……あんまがっついてもアンタに迷惑かけるだけだろ」
(ほら。やっぱ、ちゃんと話したほうが良かった。澤村のほうが素直じゃないか)
告白してきた割にはにべも無い態度に焦れたのは椋太だ。
そうなることを澤村は意図していたわけではないだろうが、図らずとも成功したと言える。
それなりに信頼を置いている相手からの好意は、椋太にとっては嬉しいことで。
ただ戸惑いのほうが大きくて色々と見えなくなっていた。
「うん、なんか……ごめん。気を使ってくれて」
「……別に」
澤村は少し困ったように眉尻を下げる。
急にしおらしい態度になった椋太に戸惑っているのかもしれない。
「あのさ、俺も……なんだかんだ色々と考えてたんだよ、今まで」
「……」
澤村は無言で箸を置き、聞く体制に入る。
「あ、スマン。食べてていいぞ」
思えば無愛想な割に気遣いなどはしっかりしていた。
意思表示が足りないだけで、それは仕事ぶりを見ていてもわかっていた。
椋太も手にしたコーヒーに口をつける。
ゆっくりと螺旋状に上がる湯気を見て心を落ち着かせた。
「……?」
澤村は食べ進める手を止め、こちらをちらりと振り返る。
「お前、まだ俺のこと好きなの?」
「はぁ?」
珍しく面食らったような頓狂な声が上がる。開かれたままの口に思わず吹き出してしまった。
(澤村も驚くことがあるんだな。いっつもも無愛想だし、生意気だし)
「何いってるんですか」
「ふふ、急に敬語になってるし。動揺した?」
にやりと口角を上げて不敵に笑うと、澤村は深くため息をついた。
「からかってるのか?」
「いや、そういうわけじゃない。……だってさ、お前。コクった割にそっけないしなー」
(いろいろと日和ってたのかもしんないな。そのほうが澤村に失礼だ)
いろいろと考えすぎなのは良くない。
とはいえ、今まで考えてきた事も無駄ではなかった。自分が本当にどうしたいのかを気づかせてくれたから。
今のタイミングなら自分の気持を、素直に話せる気がした。
「そっけなくはない、けど……あんまがっついてもアンタに迷惑かけるだけだろ」
(ほら。やっぱ、ちゃんと話したほうが良かった。澤村のほうが素直じゃないか)
告白してきた割にはにべも無い態度に焦れたのは椋太だ。
そうなることを澤村は意図していたわけではないだろうが、図らずとも成功したと言える。
それなりに信頼を置いている相手からの好意は、椋太にとっては嬉しいことで。
ただ戸惑いのほうが大きくて色々と見えなくなっていた。
「うん、なんか……ごめん。気を使ってくれて」
「……別に」
澤村は少し困ったように眉尻を下げる。
急にしおらしい態度になった椋太に戸惑っているのかもしれない。
「あのさ、俺も……なんだかんだ色々と考えてたんだよ、今まで」
「……」
澤村は無言で箸を置き、聞く体制に入る。
「あ、スマン。食べてていいぞ」
思えば無愛想な割に気遣いなどはしっかりしていた。
意思表示が足りないだけで、それは仕事ぶりを見ていてもわかっていた。
椋太も手にしたコーヒーに口をつける。
ゆっくりと螺旋状に上がる湯気を見て心を落ち着かせた。