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生意気な年下にうっかり惚れられまして。

椋太は急いで外に出ると、隣接するビルの地下にあるデリカテッセンへと急いだ。
店も閉まる直前で品数は少なかったが、お腹に優しくもそれなりにボリュームのある弁当を2つ手にとる。

(この時間だしさっぱりしていたほうがいいだろうしな、でもお腹は減ってるだろうから……ってカノジョかかよ)

自分の甲斐甲斐しい行動が急激に恥ずかしくなる。
改めて考えてみると、彼女にすらそこまで考えて何かを用意することをしたことがなかったことに気づき愕然とする。

(仕事のパートナーだから、って言い訳はつくけど)

手に取った色とりどりの野菜が美しいお弁当を見つめる。

(やっぱ気になるンだよ、な)

何かがわかったというほど明確なものではない。
けど、少しだけ腑に落ちたことが、もやもやとした胸の内を幾分か晴らしていった。

「弁当かってきたぜ~」

リフレッシュスペースのレンジで熱くなりすぎない程度に軽く温めた弁当を差し出す。

「一応二種類買ってきたから好きな方選べ」

一つは主菜が白身魚のグリルにトマトソースがかかったもの、もう一つは豚肉を軽くソテーして醤油ベースのソースがかかったものだ。
それぞれ主菜にあった副菜やサラダと、雑穀米が入っている。

「白い飯じゃないのか」
「文句いうな。身体には優しいし、雑穀米はお腹にたまるぞ」

ため息とともに眉を顰める澤村にも動じず、選ばないんだったらこっち食え、とボリュームのある肉の方を渡すと、澤村もおとなしく表情を緩めて受け取った。

「最近あんま雑な飯とかしかしてなかったから……ありがとう」

語尾は少し小さいものの、澤村ははっきりとした声で礼を言う。
少しだけそらされた目と、耳元が少しだけ赤い。

(もしかして、照れてるのか……?)

そう考えると、急に可愛く思えてきた。
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