✣琴弾の女✣
_______ジャリッ
苔の生えた白砂利を踏みしめる。目の前には大きな平屋敷。 この辺は雨が多い所為か、屋敷の柱は随分と腐りかけているのが 遠目からでも分かる。 ふと、微かに 琴の音が響き渡っているのが聞こえた。そのまま引き寄せられるように足を進めると、寂れた屋敷の縁側に 一人の女が 琴を奏でていた。
「其処の御仁_______」
不意に掛けられた声に足を止める。抑揚のない、単調な声だった。
「この様な山奥に、何用ですか。」
「ちょいと、妙な噂を…耳にしましてねぇ。この辺りに_______」
化け物が出るんだとか
そう言うと、女は琴を弾く手を止めた。
「…それは、私のことでは、ありませんか。」
女は続ける。
「その妙な噂を耳にした 者達が、時折此処を訪れるのです。その度に、私は尋ねます。_______御仁、貴方は…何者ですか。」
チリンと、何処かで鈴の音が聞こえた。
「只の…薬売り、ですよ」
苔の生えた白砂利を踏みしめる。目の前には大きな平屋敷。 この辺は雨が多い所為か、屋敷の柱は随分と腐りかけているのが 遠目からでも分かる。 ふと、微かに 琴の音が響き渡っているのが聞こえた。そのまま引き寄せられるように足を進めると、寂れた屋敷の縁側に 一人の女が 琴を奏でていた。
「其処の御仁_______」
不意に掛けられた声に足を止める。抑揚のない、単調な声だった。
「この様な山奥に、何用ですか。」
「ちょいと、妙な噂を…耳にしましてねぇ。この辺りに_______」
化け物が出るんだとか
そう言うと、女は琴を弾く手を止めた。
「…それは、私のことでは、ありませんか。」
女は続ける。
「その妙な噂を耳にした 者達が、時折此処を訪れるのです。その度に、私は尋ねます。_______御仁、貴方は…何者ですか。」
チリンと、何処かで鈴の音が聞こえた。
「只の…薬売り、ですよ」