▶︎ 森田 守屋
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「隙間の埋め方、教えて。」
そう誘い込んだベッドの中、予定表の隙間は埋まったし、これを毎日続ければいつかは寂しさだってどこかへ行ってくれるだろう。
けれど目を覚まして訪れるこの一瞬の隙間が麗奈を逃がしてはくれない。
隣で眠っている何処の誰かも分からない人が目覚める前にホテルを出て、仕事へ向かう。
今日も何一つ変わらない一日の始まり。
「おはようございます〜。」
森田「麗奈ちゃん、おはよう。」
「ひかるちゃん、おはよう〜。」
隣の席で仕事をするひかるちゃんは、保乃ちゃんという可愛くて取り柄しかない恋人が居て、仕事だって多くのことを任されている、所謂勝ち組だ。麗奈とは住んでいる世界が違う。
森田「今日は静かやね、なんかあった?」
「え?」
森田「いつもは独り言喋りよるのに、今日は喋ってないし、表情も暗いから。」
「意外と見てくれてるんだね。」
森田「ふふ、何それ笑」
「体調悪いとかやない?」
「うん、大丈夫。ありがとう。」
森田「何かあったら言ってね。」
「…隙間の埋め方、教えて、」
森田「え?」
「え?あ…え?!今麗奈なんか言った?!」
森田「隙間の埋め方、教えてって、」
「ごめん、なんでもない、あはは、麗奈どうしちゃったんだろう、笑」
会社の同期にこんなこと言うなんて有り得ない。
ましてや恋人持ちはご法度だし。
森田「…麗奈ちゃん。」
「ん?…っ、え、?」
隅の席とはいえ、ここは社内で、ひかるちゃんには保乃ちゃんが居るのに、麗奈の唇を奪ったひかるちゃんは、これが正解やろ?なんて意地悪げに笑った。
森田「ずーっと私の事だけ考えてれば、隙間は生まれないよ。」
脳が離れろと警報を出していた。
目の前のこの人が麗奈にとってどれだけ危険で、大きな存在であるか、麗奈は見誤っていたらしい。
大きく脈打つ心臓が痛くて、苦しい。
こんな感覚、初めてだ。
「ひかるちゃんのこと、考えるね。」
森田「ふふ、うん。」
「あ、保乃ちゃん、おはよう。」
田村「おはよう〜〜、麗奈ちゃんも、おはよう〜。」
「おはよう〜、」
森田「保乃ちゃん今日夏鈴ちゃん達とお泊まりやっけ?」
田村「せやで〜、ひぃちゃんも来る?」
森田「ふふ、んーん、今日は1人で待っとるよ。」
田村「わかった!ちゃんといい子にしてるんやで?」
森田「はーい。」
いつもなら、バカップルの会話だなーーなんて思いながら聞き逃すだけだったのに、今の麗奈にはそんな余裕は兼ね備えていないし、ましてや、1人で待ってる、って言った時のひかるちゃんの目は麗奈に向いていて、その意図を勝手に汲んでしまった。
田村「ほなまた後でな〜。」
森田「ふふ、麗奈ちゃん、ポーカーフェイス下手やね。」
「…ひかるちゃんが上手すぎるだけでしょ。」
森田「麗奈ちゃんも得意な人だと思っとったんやけど。」
「もう、うるさい、」
森田「ふふ、ねぇ、この書類まとめといてもらっていい?」
「それ麗奈の仕事じゃない。」
森田「まあまあ、麗奈ちゃんココアでよか?」
そう言って立ち上がったひかるちゃんに頷いてから、仕方なく書類を手に取る。
書類に貼ってある付箋に住所が書かれていて、勝手に汲んでしまった意図が一致していたことを確信した。
森田「はい、どうぞ。」
「ありがとう、」
森田「19時に待ってるね。」
「っ…、」
悪戯気に微笑んで、視線をパソコンに向けたひかるちゃんにまた心臓がどくんと跳ねた。
麗奈の隙間は本当にひかるちゃんに埋められてしまった。
-fin-
そう誘い込んだベッドの中、予定表の隙間は埋まったし、これを毎日続ければいつかは寂しさだってどこかへ行ってくれるだろう。
けれど目を覚まして訪れるこの一瞬の隙間が麗奈を逃がしてはくれない。
隣で眠っている何処の誰かも分からない人が目覚める前にホテルを出て、仕事へ向かう。
今日も何一つ変わらない一日の始まり。
「おはようございます〜。」
森田「麗奈ちゃん、おはよう。」
「ひかるちゃん、おはよう〜。」
隣の席で仕事をするひかるちゃんは、保乃ちゃんという可愛くて取り柄しかない恋人が居て、仕事だって多くのことを任されている、所謂勝ち組だ。麗奈とは住んでいる世界が違う。
森田「今日は静かやね、なんかあった?」
「え?」
森田「いつもは独り言喋りよるのに、今日は喋ってないし、表情も暗いから。」
「意外と見てくれてるんだね。」
森田「ふふ、何それ笑」
「体調悪いとかやない?」
「うん、大丈夫。ありがとう。」
森田「何かあったら言ってね。」
「…隙間の埋め方、教えて、」
森田「え?」
「え?あ…え?!今麗奈なんか言った?!」
森田「隙間の埋め方、教えてって、」
「ごめん、なんでもない、あはは、麗奈どうしちゃったんだろう、笑」
会社の同期にこんなこと言うなんて有り得ない。
ましてや恋人持ちはご法度だし。
森田「…麗奈ちゃん。」
「ん?…っ、え、?」
隅の席とはいえ、ここは社内で、ひかるちゃんには保乃ちゃんが居るのに、麗奈の唇を奪ったひかるちゃんは、これが正解やろ?なんて意地悪げに笑った。
森田「ずーっと私の事だけ考えてれば、隙間は生まれないよ。」
脳が離れろと警報を出していた。
目の前のこの人が麗奈にとってどれだけ危険で、大きな存在であるか、麗奈は見誤っていたらしい。
大きく脈打つ心臓が痛くて、苦しい。
こんな感覚、初めてだ。
「ひかるちゃんのこと、考えるね。」
森田「ふふ、うん。」
「あ、保乃ちゃん、おはよう。」
田村「おはよう〜〜、麗奈ちゃんも、おはよう〜。」
「おはよう〜、」
森田「保乃ちゃん今日夏鈴ちゃん達とお泊まりやっけ?」
田村「せやで〜、ひぃちゃんも来る?」
森田「ふふ、んーん、今日は1人で待っとるよ。」
田村「わかった!ちゃんといい子にしてるんやで?」
森田「はーい。」
いつもなら、バカップルの会話だなーーなんて思いながら聞き逃すだけだったのに、今の麗奈にはそんな余裕は兼ね備えていないし、ましてや、1人で待ってる、って言った時のひかるちゃんの目は麗奈に向いていて、その意図を勝手に汲んでしまった。
田村「ほなまた後でな〜。」
森田「ふふ、麗奈ちゃん、ポーカーフェイス下手やね。」
「…ひかるちゃんが上手すぎるだけでしょ。」
森田「麗奈ちゃんも得意な人だと思っとったんやけど。」
「もう、うるさい、」
森田「ふふ、ねぇ、この書類まとめといてもらっていい?」
「それ麗奈の仕事じゃない。」
森田「まあまあ、麗奈ちゃんココアでよか?」
そう言って立ち上がったひかるちゃんに頷いてから、仕方なく書類を手に取る。
書類に貼ってある付箋に住所が書かれていて、勝手に汲んでしまった意図が一致していたことを確信した。
森田「はい、どうぞ。」
「ありがとう、」
森田「19時に待ってるね。」
「っ…、」
悪戯気に微笑んで、視線をパソコンに向けたひかるちゃんにまた心臓がどくんと跳ねた。
麗奈の隙間は本当にひかるちゃんに埋められてしまった。
-fin-