▶︎ 森田 田村
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森田「こんにちはー。」
山﨑「こんにちはー!」
「…こんにちは!」
教育実習先の高校、その階段ですれ違った背が低く、笑った顔がすごく可愛い、その子から目が離せなかった。
山﨑「あれ?こんな可愛い先生居ったっけ?」
「あ!今日から教育実習で1ヶ月皆と一緒に過ごすことになりました、田村保乃です。」
森田「保乃先生、可愛い名前やね。」
山﨑「ほんまやな。」
「私、山﨑天、2年1組です!」
森田「同じく2年1組の森田ひかるです。」
「天ちゃんと、ひかるちゃん、授業で被ることあると思うからその時は色々助けてな〜?」
森田「ふふ、はーい。」
山﨑「もっちろーん。」
「じゃあ、また後でね!保乃ちゃん先生!」
「ん、また後でな〜!!」
森田ひかるちゃん、もっと色んなこと知りたいな。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
教育実習から早3週間が経っていた。
あれから何度かひぃちゃん達のクラスを受け持ったり、廊下ですれ違ったりとする度にちょっとずつ仲は深まっていってると思う。
"せんせー、さよならーーー"
「ん、気をつけてな〜〜!」
今日も一日が終わり、部活に駆け出す生徒や、友達と遊びの予定を立てながら階段を降りて行く生徒達とすれ違いながら、保乃の足はあそこへ向かっていた。
〈体育館〉
山﨑「ひかる!」
森田「天ちゃん!」
体育館に響く、靴が擦れる音、ボールが弾む音、彼女達の声、歓声、熱気を持った空気感、ほんの少しだけ高校生時代の思い出と重なる此処は居心地が良く、そして、彼女を知れる1番の場所やった。
山﨑「ん!保乃ちゃん先生!!」
「お疲れ様〜。今日も偉いなぁ?」
山﨑「ふふ、やろ?」
「ひかる!先生来てんで。」
森田「ん、保乃ちゃん先生って意外と暇なん?笑」
「暇ちゃうよ、ちょっとの休憩時間でここに来てんねん。」
森田「ふふ、そっか。笑」
「あれ?実習っちいつまでなん?」
「今週の金曜日で終わりやで。」
山﨑「え、そしたら保乃ちゃん先生とばいばい?」
「せやねえ。」
山﨑「嫌や、寂しい。」
「保乃も寂しいよ〜。」
森田「来年ここに赴任するとか、ないん?」
「ん〜どうやろ、実習行った先に赴任ってあんま聞いたことないねんなぁ。」
森田「そうなんだ、」
山﨑「あー!ひかる寂しそう〜。」
天ちゃんの言う通り、ひぃちゃんの表情は何処か寂しげで、珍しく年下感のあるものやった。
森田「そりゃ寂しいよ。」
「…って、そろそろ戻らんと理佐先輩に怒られちゃうね。」
山﨑「うわ、そうやん。ほな、先戻ってる!」
「頑張ってな〜!」
「…ひぃちゃんも、戻らんとやな。」
森田「うん、」
「あのさ、先生、」
「ん?」
彼女の真っ直ぐで少しだけ熱を持った瞳が保乃を捕まえる。金縛りにあったように何も動かせない、彼女から目が離せない。
森田「金曜日の放課後、また体育館来てよ。」
「ふふ、良いん?」
森田「来て欲しい。」
「しゃーないなぁ、来てあげる。」
森田「ふふ、どうせ来るつもりやったくせに。」
「な…、別にそんなんやないし!」
森田「はいはい、じゃ待ってるね、」
「うん!このあとも頑張ってな!」
森田「ん、ありがとう!」
「じゃあまたね、先生!」
「またなー!!!」
金曜日、保乃とひぃちゃんの関係は実習とともに終わってしまうのだろうか。
それとも、何かを期待してもいいんやろうか。
保乃には、正解か、間違いか、分からない問題が多すぎる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
やってきてしまった約束の金曜日。
最後の授業、最後のホームルームを終え、お世話になった教育係の先生、その他の先生達への感謝をそこそこに彼女が待っているであろう体育館へ向かった。
〈体育館〉
ダンッ ダンッ
広い体育館の中、制服を身にまとい、ゴールを目掛けてシュートを打つ彼女の姿。
声を掛けてしまうのは何だか勿体なくて、彼女が気づくまでこの姿を眺めていたいと思った。
森田「…、あ、先生。」
「ごめん、集中してたから話しかけんかった。」
森田「話しかけてよ、笑」
「こっち、来て。」
小さな手に呼ばれ、保乃も体育館に足を踏み入れる。さっきまでひぃちゃんがいた所に二人で座り、静かな音が響くのをただただ聞いていた。
森田「先生はさ、」
「ん〜?」
森田「先生は、凄いよね。」
「凄い?」
森田「教師っていう夢を見つけて、それを叶えるために努力して、ふふ、1人で授業練習してたやろ?」
「え、なんで知ってるん、」
森田「いつも部活終わったあと自主練してから帰るんやけど、たまたま教室に忘れ物取りに行った日があって、そしたら隣の教室から先生の声が聞こえて覗いたら1人で授業しとった。」
「…めっっちゃ恥ずいやん、」
森田「んーん、凄いなぁって、なんか格好いいっち思った。その日から毎日見に行ってたし。」
「全然気付かへんかった、」
森田「…だから、教室で泣いとったことも知ってる。」
「…、」
森田「泣いてた日、あの瞬間から、私が先生を守りたいっち思った、生意気かもしれないけど、傍に居たいって、そう思った。」
「…、ひぃちゃんはまだ17歳やで、保乃のことなんかきっとすぐ忘れるよ。」
森田「忘れられんよ。」
「初めて先生を見かけた日、あの階段で、私は先生から目が離せんかった。17年生きてきて、そんな感覚初めてやった。」
「っ…、」
森田「まだまだ先生にとっては子供やと思う。恋愛対象にすら今はまだならないと思う。でも、私は、」
『私は、保乃ちゃんが好きです。』
そう言われて。そう言われてしまったから。
もう我慢なんか出来なかった。あの日からずっと抑えてきたこの気持ちに終止符なんか打てなかった。
森田「っ…せん、せ?」
「保乃もひぃちゃんが好き。初めて話したあの時からずっと好きやった。」
森田「ほ、んとに、言っとる?」
「先生やで?嘘つくわけないやん。」
保乃の腕の中で、密着した体から伝わる彼女の鼓動、体温、全てが愛おしくて、どうしようもなく可愛かった。
森田「実習、終わったんやろ?」
「終わったで、」
森田「…、保乃ちゃん。」
「はい、」
森田「好きです。私と付き合ってください。」
「はい、お願いします。」
限りなく黒に近いグレー。もしかしたら今後黒になってしまうかもしれへん。それでもいいと思った。彼女が保乃の隣で笑ってくれるのなら夢が叶えられなくなったとしても後悔はしない。
そう思ってしまうくらい彼女は保乃の1番やった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
森田「ただいまー。」
「おかえり、部活お疲れ様。」
森田「保乃ちゃんもお仕事お疲れ様。」
「ふふ、ありがとう。ご飯出来てるよ、食べよう。」
森田「うん。食べる!」
あの日から1年。保乃は別の高校に赴任をし、そこそこ人気な新任教師を務めていた。ひぃちゃんは3年生となり、最後の大会に向けて全力を賭けた猛練習の日々。
金曜日は保乃の家に帰ってきて、日曜日に帰る。
そんなルーティンを繰り返しながら、保乃とひぃちゃんは恋人を続けていた。
森田「そう言えば天ちゃんが会いたがっとった!」
「え〜、保乃も会いた〜い。」
森田「私同伴でなら全然会っても良かよ〜?」
「ふふ、ひぃちゃん同伴でなんや。笑」
森田「当たり前やん。」
付き合ってからより彼女を知った。意外と嫉妬魔で独占欲が強い。けどそれ以上に優しく、高校生なんて肩書きには似合わないほど大人やった。
彼女を知る度に保乃は恋をする。なんとも不思議な感覚。
きっとこの先も保乃とひぃちゃんは幸せに暮らして行く。そんな気がする。
森田「あ、今日久々にしたいです。」
「ごほ…、そんな、ご飯中に言わんでよ!」
森田「いや、なんとなく報告した方がいいんかなぁって、」
「報告なんてしなくたって、ひぃちゃんがしたい時にして?保乃もそうするから。」
森田「っ…、はい、」
-fin-
山﨑「こんにちはー!」
「…こんにちは!」
教育実習先の高校、その階段ですれ違った背が低く、笑った顔がすごく可愛い、その子から目が離せなかった。
山﨑「あれ?こんな可愛い先生居ったっけ?」
「あ!今日から教育実習で1ヶ月皆と一緒に過ごすことになりました、田村保乃です。」
森田「保乃先生、可愛い名前やね。」
山﨑「ほんまやな。」
「私、山﨑天、2年1組です!」
森田「同じく2年1組の森田ひかるです。」
「天ちゃんと、ひかるちゃん、授業で被ることあると思うからその時は色々助けてな〜?」
森田「ふふ、はーい。」
山﨑「もっちろーん。」
「じゃあ、また後でね!保乃ちゃん先生!」
「ん、また後でな〜!!」
森田ひかるちゃん、もっと色んなこと知りたいな。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
教育実習から早3週間が経っていた。
あれから何度かひぃちゃん達のクラスを受け持ったり、廊下ですれ違ったりとする度にちょっとずつ仲は深まっていってると思う。
"せんせー、さよならーーー"
「ん、気をつけてな〜〜!」
今日も一日が終わり、部活に駆け出す生徒や、友達と遊びの予定を立てながら階段を降りて行く生徒達とすれ違いながら、保乃の足はあそこへ向かっていた。
〈体育館〉
山﨑「ひかる!」
森田「天ちゃん!」
体育館に響く、靴が擦れる音、ボールが弾む音、彼女達の声、歓声、熱気を持った空気感、ほんの少しだけ高校生時代の思い出と重なる此処は居心地が良く、そして、彼女を知れる1番の場所やった。
山﨑「ん!保乃ちゃん先生!!」
「お疲れ様〜。今日も偉いなぁ?」
山﨑「ふふ、やろ?」
「ひかる!先生来てんで。」
森田「ん、保乃ちゃん先生って意外と暇なん?笑」
「暇ちゃうよ、ちょっとの休憩時間でここに来てんねん。」
森田「ふふ、そっか。笑」
「あれ?実習っちいつまでなん?」
「今週の金曜日で終わりやで。」
山﨑「え、そしたら保乃ちゃん先生とばいばい?」
「せやねえ。」
山﨑「嫌や、寂しい。」
「保乃も寂しいよ〜。」
森田「来年ここに赴任するとか、ないん?」
「ん〜どうやろ、実習行った先に赴任ってあんま聞いたことないねんなぁ。」
森田「そうなんだ、」
山﨑「あー!ひかる寂しそう〜。」
天ちゃんの言う通り、ひぃちゃんの表情は何処か寂しげで、珍しく年下感のあるものやった。
森田「そりゃ寂しいよ。」
「…って、そろそろ戻らんと理佐先輩に怒られちゃうね。」
山﨑「うわ、そうやん。ほな、先戻ってる!」
「頑張ってな〜!」
「…ひぃちゃんも、戻らんとやな。」
森田「うん、」
「あのさ、先生、」
「ん?」
彼女の真っ直ぐで少しだけ熱を持った瞳が保乃を捕まえる。金縛りにあったように何も動かせない、彼女から目が離せない。
森田「金曜日の放課後、また体育館来てよ。」
「ふふ、良いん?」
森田「来て欲しい。」
「しゃーないなぁ、来てあげる。」
森田「ふふ、どうせ来るつもりやったくせに。」
「な…、別にそんなんやないし!」
森田「はいはい、じゃ待ってるね、」
「うん!このあとも頑張ってな!」
森田「ん、ありがとう!」
「じゃあまたね、先生!」
「またなー!!!」
金曜日、保乃とひぃちゃんの関係は実習とともに終わってしまうのだろうか。
それとも、何かを期待してもいいんやろうか。
保乃には、正解か、間違いか、分からない問題が多すぎる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
やってきてしまった約束の金曜日。
最後の授業、最後のホームルームを終え、お世話になった教育係の先生、その他の先生達への感謝をそこそこに彼女が待っているであろう体育館へ向かった。
〈体育館〉
ダンッ ダンッ
広い体育館の中、制服を身にまとい、ゴールを目掛けてシュートを打つ彼女の姿。
声を掛けてしまうのは何だか勿体なくて、彼女が気づくまでこの姿を眺めていたいと思った。
森田「…、あ、先生。」
「ごめん、集中してたから話しかけんかった。」
森田「話しかけてよ、笑」
「こっち、来て。」
小さな手に呼ばれ、保乃も体育館に足を踏み入れる。さっきまでひぃちゃんがいた所に二人で座り、静かな音が響くのをただただ聞いていた。
森田「先生はさ、」
「ん〜?」
森田「先生は、凄いよね。」
「凄い?」
森田「教師っていう夢を見つけて、それを叶えるために努力して、ふふ、1人で授業練習してたやろ?」
「え、なんで知ってるん、」
森田「いつも部活終わったあと自主練してから帰るんやけど、たまたま教室に忘れ物取りに行った日があって、そしたら隣の教室から先生の声が聞こえて覗いたら1人で授業しとった。」
「…めっっちゃ恥ずいやん、」
森田「んーん、凄いなぁって、なんか格好いいっち思った。その日から毎日見に行ってたし。」
「全然気付かへんかった、」
森田「…だから、教室で泣いとったことも知ってる。」
「…、」
森田「泣いてた日、あの瞬間から、私が先生を守りたいっち思った、生意気かもしれないけど、傍に居たいって、そう思った。」
「…、ひぃちゃんはまだ17歳やで、保乃のことなんかきっとすぐ忘れるよ。」
森田「忘れられんよ。」
「初めて先生を見かけた日、あの階段で、私は先生から目が離せんかった。17年生きてきて、そんな感覚初めてやった。」
「っ…、」
森田「まだまだ先生にとっては子供やと思う。恋愛対象にすら今はまだならないと思う。でも、私は、」
『私は、保乃ちゃんが好きです。』
そう言われて。そう言われてしまったから。
もう我慢なんか出来なかった。あの日からずっと抑えてきたこの気持ちに終止符なんか打てなかった。
森田「っ…せん、せ?」
「保乃もひぃちゃんが好き。初めて話したあの時からずっと好きやった。」
森田「ほ、んとに、言っとる?」
「先生やで?嘘つくわけないやん。」
保乃の腕の中で、密着した体から伝わる彼女の鼓動、体温、全てが愛おしくて、どうしようもなく可愛かった。
森田「実習、終わったんやろ?」
「終わったで、」
森田「…、保乃ちゃん。」
「はい、」
森田「好きです。私と付き合ってください。」
「はい、お願いします。」
限りなく黒に近いグレー。もしかしたら今後黒になってしまうかもしれへん。それでもいいと思った。彼女が保乃の隣で笑ってくれるのなら夢が叶えられなくなったとしても後悔はしない。
そう思ってしまうくらい彼女は保乃の1番やった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
森田「ただいまー。」
「おかえり、部活お疲れ様。」
森田「保乃ちゃんもお仕事お疲れ様。」
「ふふ、ありがとう。ご飯出来てるよ、食べよう。」
森田「うん。食べる!」
あの日から1年。保乃は別の高校に赴任をし、そこそこ人気な新任教師を務めていた。ひぃちゃんは3年生となり、最後の大会に向けて全力を賭けた猛練習の日々。
金曜日は保乃の家に帰ってきて、日曜日に帰る。
そんなルーティンを繰り返しながら、保乃とひぃちゃんは恋人を続けていた。
森田「そう言えば天ちゃんが会いたがっとった!」
「え〜、保乃も会いた〜い。」
森田「私同伴でなら全然会っても良かよ〜?」
「ふふ、ひぃちゃん同伴でなんや。笑」
森田「当たり前やん。」
付き合ってからより彼女を知った。意外と嫉妬魔で独占欲が強い。けどそれ以上に優しく、高校生なんて肩書きには似合わないほど大人やった。
彼女を知る度に保乃は恋をする。なんとも不思議な感覚。
きっとこの先も保乃とひぃちゃんは幸せに暮らして行く。そんな気がする。
森田「あ、今日久々にしたいです。」
「ごほ…、そんな、ご飯中に言わんでよ!」
森田「いや、なんとなく報告した方がいいんかなぁって、」
「報告なんてしなくたって、ひぃちゃんがしたい時にして?保乃もそうするから。」
森田「っ…、はい、」
-fin-