▶︎ 森田 田村
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「お疲れ様でーす、」
小林「お疲れー、適当にアンプ通してやっちゃっていいよー。」
「はーい。」
森田ひかる、高校二年生、軽音部。
中学生の頃から趣味で始めたギターが今では相棒となり毎日を共に過ごしていた。
チューニングを合わせて、シールドを差し込む、指を押えて、軽く音を鳴らしながら音量調節をする。次第に音は私好みの歪んだものになって、気が付けば指が勝手に動いてしまう。
小林「ふふ、かますねー?」
「今日はなんだかいつもより指が動くもんで。」
小林「いい事だ。もっと上を行きなさい後輩。」
「はい、頑張ります先輩。」
スピーカーに腰をかけ、バンドでやる曲を弾いてみる。弾んだり、単音になったり、バラードになったり、一瞬一瞬で音を変えるこの瞬間が好きだ。
田村「邪魔すんで〜、」
小林「お、ひかる、保乃来たよ。」
「ふふ、お疲れ様、保乃ちゃん。」
田村「お疲れ様、ひぃちゃん!」
ギターの音色がこの世の音の中で1番好きだったはずなのに、1年前の春から、それは保乃ちゃんの声に変わり、気が付けば恋仲にまで進展していた。
小林「じゃ私バンド練してくるから、」
「はーい。ふぁいとでーす。」
小林「ん、」
ギターを背負い、スタジオへと向かっていった由依先輩。そんな後ろ姿に手を振りながら、ニコニコと満面の笑みを浮かべる保乃ちゃんに視線を移す。
田村「へへ、2人っきりやな?」
「そうやね、ん、保乃ちゃん弾いてみる?」
田村「え〜弾けるかなぁ、」
「教えるけ、やってみよ。」
ストラップを外して保乃ちゃんにギターを渡す。
ぎこちない構え方に、ぎこちないピックの持ち方、あぁ、全てが愛しいや。
「ピックはこう持って、そう、で、右手貸して、」
人差し指、中指、薬指、それぞれの弦に置く度に"いた〜い!"なんて声を上げる彼女は相当指先が弱いらしい。
田村「凄いなぁ、ひぃちゃんするする弾いてるもんなぁ、」
「私はずっとやっとったからね。」
田村「たまにな、この子が羨ましくなる。」
そう言って保乃ちゃんは私のギターをぎゅっと抱きしめた。
「ん?」
田村「ギター弾いてる時のひぃちゃん、楽しそうで、優しい顔してんねん、大事そうに扱ってるし、だからちょっとだけ、嫉妬しちゃう。」
「ふふ、かわいい、なんそれ、」
「私が1番好きなのはずっと保乃ちゃんだけやから。」
保乃ちゃんの頭に手を伸ばしそっと撫でた。
そうすればたちまち彼女は笑窪を作って笑う、幸せな空間。
「来週のライブ来てくれる?」
田村「ん、行くで、最前待機!!」
「あはは、保乃ちゃんだけ見とるから。」
田村「余所見したらグーで殴るからな!」
「怖い怖い。笑」
田村「へへ、はい、これお返しします。」
「どうも!」
田村「なんか弾いてや、」
「んー、何がいいかな。」
田村「次やる曲!!」
「おっけー、聞いとってねー。」
ピックが弦を弾いて音が響く。
長年連れ添ってきた相棒と、この世界で1番愛おしい人だけの空間。
音色一つ一つに表情を変え、たまに目を合わせてくる、保乃ちゃんが可愛くて、愛おしくて、胸の奥がきゅっと苦しくなった。
ずっと、この時間が続けばいいのに。
ジャーン
田村「上手やな〜〜!!!」
「ふふ、ありがとう。」
「そろそろ帰ろっか。」
田村「やんな、帰りアイス買って帰ろうや!」
「お、いいね。何アイスにする?」
田村「んー、葡萄がええなー。」
「じゃあ葡萄のアイス探しに行こ。」
ギターをケースにしまって、アンプを元に戻す。
そのままケースを肩にかけ、保乃ちゃんの手を取った。
「行こっか。」
田村「ん!」
この幸せがずっと続きますように。
-fin-
小林「お疲れー、適当にアンプ通してやっちゃっていいよー。」
「はーい。」
森田ひかる、高校二年生、軽音部。
中学生の頃から趣味で始めたギターが今では相棒となり毎日を共に過ごしていた。
チューニングを合わせて、シールドを差し込む、指を押えて、軽く音を鳴らしながら音量調節をする。次第に音は私好みの歪んだものになって、気が付けば指が勝手に動いてしまう。
小林「ふふ、かますねー?」
「今日はなんだかいつもより指が動くもんで。」
小林「いい事だ。もっと上を行きなさい後輩。」
「はい、頑張ります先輩。」
スピーカーに腰をかけ、バンドでやる曲を弾いてみる。弾んだり、単音になったり、バラードになったり、一瞬一瞬で音を変えるこの瞬間が好きだ。
田村「邪魔すんで〜、」
小林「お、ひかる、保乃来たよ。」
「ふふ、お疲れ様、保乃ちゃん。」
田村「お疲れ様、ひぃちゃん!」
ギターの音色がこの世の音の中で1番好きだったはずなのに、1年前の春から、それは保乃ちゃんの声に変わり、気が付けば恋仲にまで進展していた。
小林「じゃ私バンド練してくるから、」
「はーい。ふぁいとでーす。」
小林「ん、」
ギターを背負い、スタジオへと向かっていった由依先輩。そんな後ろ姿に手を振りながら、ニコニコと満面の笑みを浮かべる保乃ちゃんに視線を移す。
田村「へへ、2人っきりやな?」
「そうやね、ん、保乃ちゃん弾いてみる?」
田村「え〜弾けるかなぁ、」
「教えるけ、やってみよ。」
ストラップを外して保乃ちゃんにギターを渡す。
ぎこちない構え方に、ぎこちないピックの持ち方、あぁ、全てが愛しいや。
「ピックはこう持って、そう、で、右手貸して、」
人差し指、中指、薬指、それぞれの弦に置く度に"いた〜い!"なんて声を上げる彼女は相当指先が弱いらしい。
田村「凄いなぁ、ひぃちゃんするする弾いてるもんなぁ、」
「私はずっとやっとったからね。」
田村「たまにな、この子が羨ましくなる。」
そう言って保乃ちゃんは私のギターをぎゅっと抱きしめた。
「ん?」
田村「ギター弾いてる時のひぃちゃん、楽しそうで、優しい顔してんねん、大事そうに扱ってるし、だからちょっとだけ、嫉妬しちゃう。」
「ふふ、かわいい、なんそれ、」
「私が1番好きなのはずっと保乃ちゃんだけやから。」
保乃ちゃんの頭に手を伸ばしそっと撫でた。
そうすればたちまち彼女は笑窪を作って笑う、幸せな空間。
「来週のライブ来てくれる?」
田村「ん、行くで、最前待機!!」
「あはは、保乃ちゃんだけ見とるから。」
田村「余所見したらグーで殴るからな!」
「怖い怖い。笑」
田村「へへ、はい、これお返しします。」
「どうも!」
田村「なんか弾いてや、」
「んー、何がいいかな。」
田村「次やる曲!!」
「おっけー、聞いとってねー。」
ピックが弦を弾いて音が響く。
長年連れ添ってきた相棒と、この世界で1番愛おしい人だけの空間。
音色一つ一つに表情を変え、たまに目を合わせてくる、保乃ちゃんが可愛くて、愛おしくて、胸の奥がきゅっと苦しくなった。
ずっと、この時間が続けばいいのに。
ジャーン
田村「上手やな〜〜!!!」
「ふふ、ありがとう。」
「そろそろ帰ろっか。」
田村「やんな、帰りアイス買って帰ろうや!」
「お、いいね。何アイスにする?」
田村「んー、葡萄がええなー。」
「じゃあ葡萄のアイス探しに行こ。」
ギターをケースにしまって、アンプを元に戻す。
そのままケースを肩にかけ、保乃ちゃんの手を取った。
「行こっか。」
田村「ん!」
この幸せがずっと続きますように。
-fin-