▶︎ 森田 田村
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
好きで好きで仕方ないのに、私と彼女は交じり合う事が出来なくて、縛りのように嵌められた左薬指のソレは今日も私を苦しめる。
田村「ひぃーちゃんっ」
「ん、家事お疲れ様〜」
田村「いつもは疲れるけど、今日はひぃちゃんのためだけにやってるから疲れへんわ。」
「ふふ、旦那さん可哀想やろ、」
口ではそう言っても、心は簡単に躍り出した。
保乃ちゃんを自分のものにしたあの人よりも、今だけは保乃ちゃんに愛されている、そう感じることができるから。
「今日ほんとに帰って来ないん?」
田村「出張やからな〜、明日の夜帰ってくるって〜。」
「そっか。」
田村「それに帰ってきても、ひぃちゃん女の子やし疑われへんよ。」
「…そうやね、」
"浮気"にすらなれない、なんて何だか笑っちゃうな。私達がしているのは世が浮気と規定したラインをとっくに超えているのに、女の子同士ってだけでそのラインは見えずらい物になる。
ほんと生きやすくて、苦しい世界だ。
田村「ご飯炊けるまでひぃちゃんチャージ!」
「ん、おいで、保乃ちゃん。」
田村「ひぃ〜〜、んん〜、好き。」
「私も好き。」
ソファーに座る私と、カーペットに膝を付けて私に抱きつく保乃ちゃん。目線は私の方が少しだけ高くて、いつもは見ることの出来ない上目遣いを眺められている。
鼻と鼻がくっついて、視線は絡まったまま唇が重なる。キスをする時伏し目になるこの瞬間がとても好きだ。可愛い保乃ちゃんから、大人の保乃ちゃんへ変わる、そんな瞬間やった。
田村「んっ…、ひぃちゃんっ、」
何度も角度を変えて重ねれば私の頬に保乃ちゃんの手が添えられる、ひんやりとした感触は薬指のソレで、刹那、心が黒く染まり、保乃ちゃんの柔らかい唇を強く噛んだ。
田村「んっ…、いっ、」
噛んで、また優しく包んで、何度も何度も保乃ちゃんを上書きする。明日には、私なんて残っていないのだろうけど。
「保乃、ちゃん、」
田村「っん…、そんな寂しそうな顔せんで、保乃はひぃちゃんが好きやから。」
"なら、私のモノになってよ"
そう言えたらいいのに。
見えている結果に怯えて、日和って、結局口を閉じるしかなかった。
「……好きだよ、」
田村「保乃も、」
ご飯が炊けるよりも先に私たちはベッドに沈んだ。体だけが絡まって、混ざり合って、でも保乃ちゃんは私のモノではなくて。
苦しくて、辛くて、愛しい。
この先も保乃ちゃんと混じり合えないのなら、自分のモノに出来ないのなら、こんな関係続けていたって辛いだけじゃないか。
保乃ちゃんを愛す度にそう思う。
そう思って、でもそれを言葉には出来なくて。
けど、今日は違った。
行為が終わって、ふとそれは言葉となった。
「辞めよっか、こんなこと、」
それはあまりにも冷めていて、暖かかった空気が一瞬で変わる。
田村「っ…なんで、急にそんなこと、」
「保乃ちゃんの事が好きだから、辞めなきゃ駄目なんよ。」
田村「嫌や…、辞めたくない!ひぃちゃんと、もっと一緒に居たい。」
「…保乃ちゃんを幸せに出来るのは私じゃ、ないんだよ、」
涙が溢れてしまう。それがバレないように、ベッドの下に落ちてる服を拾って、サヨナラの準備を始めた。
田村「待って!!ねえ、お願いっ…」
着たばかりのシャツを引っ張るように保乃ちゃんが私を引き止める。
振り返ってしまえば、今度こそ私は彼女と離れられなくなってしまう。これが最後のチャンスやから。
「…初めも、終わりも、私の勝手やろ。」
この関係を始めたのは私からやった。
酔った勢いでそのまま保乃ちゃんを抱いて、気が付けばそれがずるずると長引いて。
だから、始まりも、終わりも私が勝手に決める。
そうじゃなきゃ、駄目なんだよ。
田村「…そんなの、狡いやろ、好きにさせたくせに、保乃をハマらせたくせに、身勝手過ぎるやん、」
「…保乃ちゃんは、旦那さんと幸せになってね。」
身勝手で汚くて、狡い私を愛してくれてありがとう。
「保乃ちゃんの作るオムライス、大好きやったよ。」
簡単そうで、意外と奥が深くて、暖かくて、優しいオムライスはまるで保乃ちゃんのようで、ケチャップをつけて恥ずかしそうにしてる所も、美味しい?って不安そうな所も、美味しいよって言えば可愛く笑う所も、全部全部愛していた。
無理矢理気持ちを過去に持って行って、最後にぎゅぅっと強く保乃ちゃんを抱きしめた。
「愛してたよ、保乃ちゃん。」
シーツを纏ったまま涙を流す保乃ちゃんの頭を撫でてから、もう来ることのないこの家を目に焼きつける。
あの家具も、パーカーも、私とお揃いで買ったやつなんよね、ちゃんと捨てなきゃダメだよ、保乃ちゃん。
私のことは忘れて、幸せになってね。
泣き叫ぶ声を背に、家を出る。
これはきっと人生で最大の恋愛だった。
これ以上の恋はできないと思う
でもそれでいい、それがいいんだ。
私の一番は、今もこれからも、ずっと保乃ちゃんだけやから。
-fin-
田村「ひぃーちゃんっ」
「ん、家事お疲れ様〜」
田村「いつもは疲れるけど、今日はひぃちゃんのためだけにやってるから疲れへんわ。」
「ふふ、旦那さん可哀想やろ、」
口ではそう言っても、心は簡単に躍り出した。
保乃ちゃんを自分のものにしたあの人よりも、今だけは保乃ちゃんに愛されている、そう感じることができるから。
「今日ほんとに帰って来ないん?」
田村「出張やからな〜、明日の夜帰ってくるって〜。」
「そっか。」
田村「それに帰ってきても、ひぃちゃん女の子やし疑われへんよ。」
「…そうやね、」
"浮気"にすらなれない、なんて何だか笑っちゃうな。私達がしているのは世が浮気と規定したラインをとっくに超えているのに、女の子同士ってだけでそのラインは見えずらい物になる。
ほんと生きやすくて、苦しい世界だ。
田村「ご飯炊けるまでひぃちゃんチャージ!」
「ん、おいで、保乃ちゃん。」
田村「ひぃ〜〜、んん〜、好き。」
「私も好き。」
ソファーに座る私と、カーペットに膝を付けて私に抱きつく保乃ちゃん。目線は私の方が少しだけ高くて、いつもは見ることの出来ない上目遣いを眺められている。
鼻と鼻がくっついて、視線は絡まったまま唇が重なる。キスをする時伏し目になるこの瞬間がとても好きだ。可愛い保乃ちゃんから、大人の保乃ちゃんへ変わる、そんな瞬間やった。
田村「んっ…、ひぃちゃんっ、」
何度も角度を変えて重ねれば私の頬に保乃ちゃんの手が添えられる、ひんやりとした感触は薬指のソレで、刹那、心が黒く染まり、保乃ちゃんの柔らかい唇を強く噛んだ。
田村「んっ…、いっ、」
噛んで、また優しく包んで、何度も何度も保乃ちゃんを上書きする。明日には、私なんて残っていないのだろうけど。
「保乃、ちゃん、」
田村「っん…、そんな寂しそうな顔せんで、保乃はひぃちゃんが好きやから。」
"なら、私のモノになってよ"
そう言えたらいいのに。
見えている結果に怯えて、日和って、結局口を閉じるしかなかった。
「……好きだよ、」
田村「保乃も、」
ご飯が炊けるよりも先に私たちはベッドに沈んだ。体だけが絡まって、混ざり合って、でも保乃ちゃんは私のモノではなくて。
苦しくて、辛くて、愛しい。
この先も保乃ちゃんと混じり合えないのなら、自分のモノに出来ないのなら、こんな関係続けていたって辛いだけじゃないか。
保乃ちゃんを愛す度にそう思う。
そう思って、でもそれを言葉には出来なくて。
けど、今日は違った。
行為が終わって、ふとそれは言葉となった。
「辞めよっか、こんなこと、」
それはあまりにも冷めていて、暖かかった空気が一瞬で変わる。
田村「っ…なんで、急にそんなこと、」
「保乃ちゃんの事が好きだから、辞めなきゃ駄目なんよ。」
田村「嫌や…、辞めたくない!ひぃちゃんと、もっと一緒に居たい。」
「…保乃ちゃんを幸せに出来るのは私じゃ、ないんだよ、」
涙が溢れてしまう。それがバレないように、ベッドの下に落ちてる服を拾って、サヨナラの準備を始めた。
田村「待って!!ねえ、お願いっ…」
着たばかりのシャツを引っ張るように保乃ちゃんが私を引き止める。
振り返ってしまえば、今度こそ私は彼女と離れられなくなってしまう。これが最後のチャンスやから。
「…初めも、終わりも、私の勝手やろ。」
この関係を始めたのは私からやった。
酔った勢いでそのまま保乃ちゃんを抱いて、気が付けばそれがずるずると長引いて。
だから、始まりも、終わりも私が勝手に決める。
そうじゃなきゃ、駄目なんだよ。
田村「…そんなの、狡いやろ、好きにさせたくせに、保乃をハマらせたくせに、身勝手過ぎるやん、」
「…保乃ちゃんは、旦那さんと幸せになってね。」
身勝手で汚くて、狡い私を愛してくれてありがとう。
「保乃ちゃんの作るオムライス、大好きやったよ。」
簡単そうで、意外と奥が深くて、暖かくて、優しいオムライスはまるで保乃ちゃんのようで、ケチャップをつけて恥ずかしそうにしてる所も、美味しい?って不安そうな所も、美味しいよって言えば可愛く笑う所も、全部全部愛していた。
無理矢理気持ちを過去に持って行って、最後にぎゅぅっと強く保乃ちゃんを抱きしめた。
「愛してたよ、保乃ちゃん。」
シーツを纏ったまま涙を流す保乃ちゃんの頭を撫でてから、もう来ることのないこの家を目に焼きつける。
あの家具も、パーカーも、私とお揃いで買ったやつなんよね、ちゃんと捨てなきゃダメだよ、保乃ちゃん。
私のことは忘れて、幸せになってね。
泣き叫ぶ声を背に、家を出る。
これはきっと人生で最大の恋愛だった。
これ以上の恋はできないと思う
でもそれでいい、それがいいんだ。
私の一番は、今もこれからも、ずっと保乃ちゃんだけやから。
-fin-