▶︎ 森田 田村
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土生「ごめん、何度言われても気持ちは変わらないから。」
田村「っ…、そうですよね、ごめんなさい。」
これで4回目の玉砕。
何度も何度も、何年も、ずっと一途に土生先輩を想う保乃ちゃんが、阿呆らしくて、馬鹿げていて、それでいて、好きやった。
桜が舞う春も、蒸し暑い夏の日も、セーターを羽織り出した秋も、ブレザーになった冬も、春夏秋冬、この屋上という場所で保乃ちゃんの結末を迎えるのはもう飽きた。
土生先輩が去っていき、2人きりになった。
保乃ちゃんは、寒さか、それとも感傷か、鼻や目を赤くしていて、その姿がどうしようもなく可愛かった。
「保乃ちゃん。」
田村「ひぃちゃん、」
「また駄目やった。」
「やね。」
屋上のフェンスに背中を預ける私と、フェンスに腕をかけ、遠くを見てる保乃ちゃん。
見ている世界が、私たちは違う。
「ねぇ、保乃ちゃん?」
田村「ん〜、?」
「土生先輩のこと、諦めたら?」
田村「っ…、保乃やって、諦めたいよ。」
「けど、きっかけも、相手もおらんねん、」
「きっかけと、相手が揃えば保乃ちゃんは土生先輩から抜け出せる?」
田村「え?」
交じりあった視線。
私の世界にはずっと、貴女しか居ないんよ。
「ずっと、保乃ちゃんが好きやった。」
「私なら、保乃ちゃんに両想いを上げられるよ。」
田村「っ…、じ、冗談言わんでよ!笑笑」
"びっくりしたな〜〜"
なんて、焦ったように笑って、髪の毛を耳にかけた保乃ちゃん。
私じゃきっかけにすらならなかったんだろうか。
役不足、だったのかな。
ーーっ
田村「っ…、ひぃ、ちゃん?」
「私は本気。」
「保乃ちゃんが好きだから。」
奪ってしまった唇。
もう戻れない。戻るつもりもない。
振り向いてくれないのなら、振り向かせればいい。
私の所へ来てくれないのなら、無理やり奪えばいい。
見てばかりの恋愛はもう懲り懲りだ。
「私に恋して、保乃ちゃん。」
この日からの生活は、保乃ちゃん一色になった。
山﨑「保乃はー、誰としよっか」
「私。」
田村「っ…、ひぃちゃん。」
「良かやろ?」
田村「ええけど。」
ーーことある事に近づいた。
松田「最近ひかるノリ悪い〜。ほら、私に愛してるよ〜は?」
「…私は保乃ちゃんにしか言わんけ、諦めて。」
松田「ったく、保乃ー、どうにかしてよー、」
田村「え〜、保乃にはどうにも出来ひんよ〜、」
ーー好きを表向きにした。
田村「…ひぃちゃん、今日は保乃んところ来ないん?」
「毎日はうざいやろ?適度は分かってるつもりなんやけど。」
田村「…そ、う、ほなまた後でな。」
「ん、また後でね。」
ーー1丁前に駆け引きだってした。
そんな生活が4ヶ月目を迎えた頃。
保乃ちゃんが土生先輩に恋した季節がやってきて、春の風にほんの少しの嫉妬を感じていた時だった。
突然私たちの教室に入ってきた土生先輩は、保乃ちゃんの手を取ると、屋上へと駆けていってしまった。
「…、そんなのありかよ、」
文句を垂れたってしょうがない。
結局選ぶのは保乃ちゃんで、私でも土生先輩でもない。
分かってる。
分かってるけど。
藤吉「…このままでいいん?」
「……良いんかな、」
藤吉「夏鈴は良くないと思うで。」
「夏鈴の好きなひかるは、諦めない子やろ?」
「っ…、」
藤吉「ふふ、ほら行ってき!」
「ありがとう、夏鈴!!」
夏鈴に背を押され、屋上へ走り出す。
土生先輩の答えを聞くだけの、あの時とは違う。
私が、保乃ちゃんの答えを聞くために。
「保乃ちゃん!!!!」
田村「っ…ひぃちゃん、」
土生「ひかるちゃん。」
「はぁはぁ…、」
「私は、今日も保乃ちゃんが好き。大好き。」
田村「…っ、」
土生「…、私も、やっと気持ちに気づいた。」
「保乃ちゃんが好きです。付き合ってください。」
一年以上恋焦がれていた先輩と、自分のことが好きな同級生。
勝ち目なんか、これっぽっちも無いじゃないか。
それでも、諦めたくない。
「…保乃ちゃんを、愛しとるよ。」
往生際の悪い人間だと自分でも思う。
でも、そうなってしまうくらい彼女は魅力的で、彼女に恋しているんだ。
田村「…、土生先輩のこと、ずっと好きやった。格好良くて、人気で、皆に優しくて、恋人だったら自慢できるくらい素敵な人なんやろうなって、」
土生「なら…、」
田村「でも、ひぃちゃんが保乃を特別扱いしてくれる度、保乃だけに優しくしてくれる度に、胸がギュッて苦しくなって、一緒に居て楽しくて、気付いたら、ひぃちゃんしか見えなくなってた。」
「っ…、」
田村「土生先輩、ごめんなさい。」
「ずっと、好きでした。」
土生「…そっ、か、気持ちに気づくのが遅かった私のせいだね。じゃあ、私は帰るよ、お幸せに。」
玉砕をしていた保乃ちゃんが、土生先輩を振った。
土生先輩を振って、私を選んでくれた。
田村「ひぃちゃん、ずっと保乃だけを見てくれてありがとう。保乃も、ずっーーと、大好きです。」
ふにゃっと笑った保乃ちゃんを思い切り抱きしめて、これまでの日々に終止符を打つ。
今日で片想いは終わり。
今、この時からは、私と保乃ちゃんの、両想いだ。
-fin-
田村「っ…、そうですよね、ごめんなさい。」
これで4回目の玉砕。
何度も何度も、何年も、ずっと一途に土生先輩を想う保乃ちゃんが、阿呆らしくて、馬鹿げていて、それでいて、好きやった。
桜が舞う春も、蒸し暑い夏の日も、セーターを羽織り出した秋も、ブレザーになった冬も、春夏秋冬、この屋上という場所で保乃ちゃんの結末を迎えるのはもう飽きた。
土生先輩が去っていき、2人きりになった。
保乃ちゃんは、寒さか、それとも感傷か、鼻や目を赤くしていて、その姿がどうしようもなく可愛かった。
「保乃ちゃん。」
田村「ひぃちゃん、」
「また駄目やった。」
「やね。」
屋上のフェンスに背中を預ける私と、フェンスに腕をかけ、遠くを見てる保乃ちゃん。
見ている世界が、私たちは違う。
「ねぇ、保乃ちゃん?」
田村「ん〜、?」
「土生先輩のこと、諦めたら?」
田村「っ…、保乃やって、諦めたいよ。」
「けど、きっかけも、相手もおらんねん、」
「きっかけと、相手が揃えば保乃ちゃんは土生先輩から抜け出せる?」
田村「え?」
交じりあった視線。
私の世界にはずっと、貴女しか居ないんよ。
「ずっと、保乃ちゃんが好きやった。」
「私なら、保乃ちゃんに両想いを上げられるよ。」
田村「っ…、じ、冗談言わんでよ!笑笑」
"びっくりしたな〜〜"
なんて、焦ったように笑って、髪の毛を耳にかけた保乃ちゃん。
私じゃきっかけにすらならなかったんだろうか。
役不足、だったのかな。
ーーっ
田村「っ…、ひぃ、ちゃん?」
「私は本気。」
「保乃ちゃんが好きだから。」
奪ってしまった唇。
もう戻れない。戻るつもりもない。
振り向いてくれないのなら、振り向かせればいい。
私の所へ来てくれないのなら、無理やり奪えばいい。
見てばかりの恋愛はもう懲り懲りだ。
「私に恋して、保乃ちゃん。」
この日からの生活は、保乃ちゃん一色になった。
山﨑「保乃はー、誰としよっか」
「私。」
田村「っ…、ひぃちゃん。」
「良かやろ?」
田村「ええけど。」
ーーことある事に近づいた。
松田「最近ひかるノリ悪い〜。ほら、私に愛してるよ〜は?」
「…私は保乃ちゃんにしか言わんけ、諦めて。」
松田「ったく、保乃ー、どうにかしてよー、」
田村「え〜、保乃にはどうにも出来ひんよ〜、」
ーー好きを表向きにした。
田村「…ひぃちゃん、今日は保乃んところ来ないん?」
「毎日はうざいやろ?適度は分かってるつもりなんやけど。」
田村「…そ、う、ほなまた後でな。」
「ん、また後でね。」
ーー1丁前に駆け引きだってした。
そんな生活が4ヶ月目を迎えた頃。
保乃ちゃんが土生先輩に恋した季節がやってきて、春の風にほんの少しの嫉妬を感じていた時だった。
突然私たちの教室に入ってきた土生先輩は、保乃ちゃんの手を取ると、屋上へと駆けていってしまった。
「…、そんなのありかよ、」
文句を垂れたってしょうがない。
結局選ぶのは保乃ちゃんで、私でも土生先輩でもない。
分かってる。
分かってるけど。
藤吉「…このままでいいん?」
「……良いんかな、」
藤吉「夏鈴は良くないと思うで。」
「夏鈴の好きなひかるは、諦めない子やろ?」
「っ…、」
藤吉「ふふ、ほら行ってき!」
「ありがとう、夏鈴!!」
夏鈴に背を押され、屋上へ走り出す。
土生先輩の答えを聞くだけの、あの時とは違う。
私が、保乃ちゃんの答えを聞くために。
「保乃ちゃん!!!!」
田村「っ…ひぃちゃん、」
土生「ひかるちゃん。」
「はぁはぁ…、」
「私は、今日も保乃ちゃんが好き。大好き。」
田村「…っ、」
土生「…、私も、やっと気持ちに気づいた。」
「保乃ちゃんが好きです。付き合ってください。」
一年以上恋焦がれていた先輩と、自分のことが好きな同級生。
勝ち目なんか、これっぽっちも無いじゃないか。
それでも、諦めたくない。
「…保乃ちゃんを、愛しとるよ。」
往生際の悪い人間だと自分でも思う。
でも、そうなってしまうくらい彼女は魅力的で、彼女に恋しているんだ。
田村「…、土生先輩のこと、ずっと好きやった。格好良くて、人気で、皆に優しくて、恋人だったら自慢できるくらい素敵な人なんやろうなって、」
土生「なら…、」
田村「でも、ひぃちゃんが保乃を特別扱いしてくれる度、保乃だけに優しくしてくれる度に、胸がギュッて苦しくなって、一緒に居て楽しくて、気付いたら、ひぃちゃんしか見えなくなってた。」
「っ…、」
田村「土生先輩、ごめんなさい。」
「ずっと、好きでした。」
土生「…そっ、か、気持ちに気づくのが遅かった私のせいだね。じゃあ、私は帰るよ、お幸せに。」
玉砕をしていた保乃ちゃんが、土生先輩を振った。
土生先輩を振って、私を選んでくれた。
田村「ひぃちゃん、ずっと保乃だけを見てくれてありがとう。保乃も、ずっーーと、大好きです。」
ふにゃっと笑った保乃ちゃんを思い切り抱きしめて、これまでの日々に終止符を打つ。
今日で片想いは終わり。
今、この時からは、私と保乃ちゃんの、両想いだ。
-fin-