最近、保乃ちゃんの様子がおかしい。
笑顔も減り、いつも疲れているようで、話しかけても上の空なことが多くなった。


夏鈴に聞いても理由は分からず、マネージャーさんに聞いても分からないと言われ、困った私は本人に聞くことにした。


｢ねぇ保乃ちゃん、｣


田村｢…ん？｣


｢最近、なんかあった？｣


田村｢っ…なんもないから、ごめん、保乃トイレ、｣


"最近"と口にした瞬間顔色を変え、吐き気を抑えるように楽屋を出ていった保乃ちゃん。
これは、逃げちゃダメだ、保乃ちゃんを助けなきゃ。


｢夏鈴、衣装着替えるタイミングで電話して。｣


藤吉｢ん、分かった。あんま無理せんでな。｣


｢ありがとう。｣


楽屋を出て、保乃ちゃんを追う、トイレに居るはず。


-トイレ前-


保乃ちゃん！居った、って、誰かと一緒。
目が悪くて、誰かわからん、動画、回そう。


ピコン


"田村、今夜空いてる？"


田村｢今日、は、｣


"収録もなんもないよな？"


田村｢っ…、はい、｣


"じゃあ、いつものホテルで、待ってるから"


いつもの、ホテル？
あの人って確か、スケジュール管理とか、外番組のオファーとか取ってくる、偉い人なはず、


…偉い人だから、逆らえない、？


｢っ…、｣


"じゃあ、またあとでな、田村"


田村｢…はい、｣


｢っ…、｣


あの人が、原因だ。


｢保乃ちゃん！！！！｣


田村｢っ…ひぃちゃん、なんで、｣


｢いいから、とりあえず中、｣


真っ青な表情の保乃ちゃんを連れ、1番奥の個室に入る。


田村｢っ…、｣


｢保乃ちゃん、今から嫌な気持ちにさせちゃうと思う。ごめん。でも、聴かなきゃ行けんことやから、｣


田村｢…、｣


｢あの人と、体の関係を持ってるん？｣


田村｢…、｣ コクッ


｢それは、保乃ちゃんが望んでしたこと？｣


田村｢違う！違うねん、｣


｢…お偉いさんやけ、逆らえんかった？｣


田村｢っ…、逆らったら、外番組のオファー全部切るって、卒業を視野に入れさせるって、言われて、｣


｢っ…、｣


田村｢怖かった、ずっと、嫌やった、っ、｣


泣き崩れた保乃ちゃんを強く強く抱き締める。
保乃ちゃんの笑顔を奪った人を、あいつを、絶対に許さん。


プルルル プルルル ピコンッ


｢夏鈴…、ていうか動画、ずっと撮ったまんまやった。｣


動画、使えるんやない、？


｢もしもし、夏鈴？｣


藤吉｢そろそろ衣装着替え始めるって、｣


｢ねぇ、そっちにhkrさんおらん？｣


藤吉｢hkrさん、居るけど、｣


｢変わって。｣


藤吉｢hkrさーん、ひかるが、｣


『ん？もしもし？ひかるちゃん？』


｢hkrさん、お話があります、｣


『…分かった。今どこ？』


｢楽屋でてすぐのトイレ、｣


『ん、すぐ行く。』


頼れる愛されマネージャー、保乃ちゃんを、助けてください。








ドンドンドン


『ひかるちゃん、居る？』


｢っ…、hkrさん、｣


田村｢hkr、さん、｣


『ひかるちゃん、保乃ちゃん、』
『何があったの。』


｢これ、見てください、｣


『…、』
『…これって、』


｢…これだけじゃ、保乃ちゃんを助けられませんか、？｣


『…んーん、充分だよ。』
『保乃ちゃん、今まで気づけなくて、本当にごめん。こんな辛いこと、1人で抱えさせて、本当にごめんね。もう、保乃ちゃんを傷つけさせないから。』


田村｢っ…hkrさんっ、｣


『ひかるちゃん、動画撮ってくれてて、ありがとう。保乃ちゃんを、助けてくれて、ありがとね。』


｢っ…はい、｣


hkrさんは優しい表情を浮かべてすぐ、この場を後にした。


｢保乃ちゃん、今日までずっとよく頑張ったね、｣


田村｢ぐすっ…、ひぃ、ちゃんっ、ひぃちゃんっ、｣


｢もう大丈夫やから、大丈夫、大丈夫。｣


腕の中で泣く保乃ちゃんを強く強く抱き締めながら、hkrさんに託した動画に祈りを込めた。










あれから2週間、あの人は即退職になり、保乃ちゃんへの謝礼も沢山沢山出た。そんなもので保乃ちゃんの傷は治るわけないけれど、少しずつ笑顔が増えてきて、一安心だ。


勿論これは、私と、保乃ちゃんとhkrさん、そして夏鈴だけの秘密。


田村｢ひぃちゃん、｣


｢ん？｣


田村｢ケーキ食べる？｣


｢え、食べたい、｣


田村｢ふふ、あーんっ、｣


｢ん、美味し、｣


田村｢ほんまに？良かった。｣


｢え、このケーキ保乃ちゃんが作ったと？｣


田村｢そう、ひぃちゃんに作ってきてん。｣


｢えー、嬉しい。ふふ、大切な食べなきゃ。｣


田村｢沢山食べてな〜。｣


｢うんっ。｣





藤吉｢あれは、いつくっつくんですかね。｣


『いつだろうねぇ、両片思いの一番楽しい時期過ごしてるねぇ。』


藤吉｢ふふ、なんでそんなおばあちゃんみたいな話し方、笑｣


『ふふ、なんか、あの二人が可愛くてさ、つい。』


藤吉｢確かに、さっさとくっつけばええのに。｣


これは、私と保乃ちゃんがくっつく、ほんの少し前のお話。


-fin-


リクエスト 事務所のお偉いさんに逆らえなくて体の関係を持ってしまった、最近様子のおかしい保乃を助けるひかるちゃんの話。
森田村 リアパロ！
愛されマネージャー×森田村の世界線