▶︎ 渡邉 小林
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つまらない毎日だった。
同じことの繰り返し、灰色の世界はずっと遠くの方まで続いていて、今更になってもっと高校生を充実しておけばよかったと後悔している。
今日も、つまらない上司の話に付き合わされながら営業を終えやっとのことで帰路に着いた。
お腹空いたなぁ。
でも、買うのも作るのも面倒くさいや。
なんて考えていれば向かい側からやって着た人物に声を掛けられる。
小林「…理佐??」
その声を、その姿を視界に入れた瞬間、ぱっと色が広がって、あの頃のように世界が綺麗に見えた。
私に声を掛けてきてくれたのは高校の3年間同じクラスで、割と仲が良かった、好きだった人。
「こば、?」
小林「ふふ、理佐だ、久しぶり。」
高校を卒業して5年、成人式でさえ会うことが出来なかったから本当に丸々5年ぶりの好きだった人はあの時よりも大人で、綺麗になっていた。
「久しぶり、だね。」
ドキドキと心臓がうるさい。
恋心ってやつは時間とともに消えると思っていたけれど意外に私の恋は長持ちしていたらしい。
小林「仕事終わり?」
「ん、そう。こばは?」
小林「私も!」
「理佐のお家あっち?」
「うん、あっちの曲がったところ。」
小林「え、じゃあさ、色々買ってくから理佐のお家お邪魔してもいい?」
「…ふふ、いいよ、もっとこばと話したいし。」
小林「やった、じゃあそこのコンビニで買ってこ。」
「うん。」
高校生の頃よりも積極的で、大人になっているこばに対して私はあの頃と変われているだろうか。
好きと伝えることさえも出来ずに、距離をとるように呼び方を変え、気持ちから逃げていたあの頃と何か変われているだろうか。
あんなに面倒だと思っていたのに足は軽々とコンビニへ向かって歩いていて、中に入って楽しそうに色んなものを手に取るこばに籠を差し出して、2人であれやこれと沢山お酒やらなんやらを手に取って、再び帰路に着く。
ちらっと横を盗み見れば、あの頃よりとは違う、茶色く染った、綺麗な髪の毛を片方耳に掛けていた。
小林「…ん?」
「ん?」
小林「ふふ、理佐が見てくるから。」
「あぁ、いや、髪色変わったなぁって、」
小林「あ〜、笑笑」
「卒業してすぐくらいに染めたんだ〜。」
"そうなんだ"
そう返そうと思ったけれど、それじゃあいつまで経ってもあのころと同じような気がして、
「ふふ、そっか、似合ってる、可愛い。」
と、こばには思っていても、あまり言うことのなかった言葉を紡ぐ。
小林「っ…、ふふ、ありがとう。」
「何驚いてんの。」
小林「いや、理佐に可愛いって言われたことあんまり無かったから、」
「…ずっと思ってたよ。言えてなかっただけで、」
小林「へへ、そっか。」
嬉しそうに笑う彼女が可愛くて、あの時よりも強く胸が苦しくなる。
「あのさ、」
小林「ん?」
「今って付き合ってる人いるの?」
小林「ふふ、急だね、居ないよ。高校生の頃からずっと好きな人がいてねー、」
「…、こ、高校の時から、」
私が知る限り、こばが恋に浮かれていたことなんて見た事がない。一体何処の誰に恋焦がれているというのだろうか。
小林「ちなみに、同じクラス。」
「同じクラス!?え、待って、全然わかんないんだけど、」
私たちの高校は女子校だったから、高校生の頃から割と女の子同士の恋愛になれていたし、歳を重ねるごとにそれは当たり前となっていったから今だって驚きはしない。
ただ、本当に誰に恋をしていたんだ。
同じクラスの人達、私とこばを抜いた19人を思い浮かべる。
「……平手?」
小林「んーん、平手は可愛い可愛い妹枠。」
「んー、あ!土生ちゃん?」
小林「土生ちゃんはチャラすぎて付き合ったら心配事多そうだから、仲いい友達枠。」
「えーー、あ、じゃあー、」
小林「チャンスはあと1回だよ、当てて、理佐。」
「チャンスはあと1回!?えーー、誰だよーー、」
小林「ヒントはー、」
「私を、こばって呼ぶ人。」
「こば…、」
って呼ぶのは私と、平手と、時々織田奈那や、愛佳が呼んでいたっけ。
織田奈那は多分無い。うん。一時期織田奈那からの愛に引いてたし。うん。
そうなると残りは愛佳。
確かに、私を含めよく一緒に居たし、一致してしまったかもしれない。
「…愛佳かぁ、」
小林「ぶっぶー、」
「ほんっっと理佐って鈍感だよね。全然気づかない。」
「…?」
小林「私のことこばって呼んで、ツンデレで、綺麗好きで、最後までヘタレだったのは?誰?」
「………私、?」
小林「本当気づくの遅い。」
「ちょっ、待って、え?ん?え、こば私の気持ち気づいてたの?」
小林「気づくに決まってるじゃん、理佐あからさま過ぎだもん。」
「嘘、恥ずかし。えーー、嘘、」
思いもよらぬ報告に次の言葉が間に合わない。
小林「ねえ、理佐はまだヘタレのままなの、?」
買い物袋を持っていない反対の手を、軽く握って、指先だけで私を捕まえてくるこばは、何かを期待しているようだった。
「っ…、」
「こば、」
小林「こばは嫌。前みたいに名前で呼んで。」
「…、由依、」
小林「なに、理佐。」
「高校生の頃からずっと、由依の事が好きでした。付き合って、ください。」
小林「ほんっと遅い!遅すぎる。」
「ごめん、」
小林「…私のこと、幸せにして。」
「っ…、うん、幸せにする。」
小林「ふふ、よろしくお願いします。」
指先から、手のひらどうしをくっつけるように手を握って、耳まで真っ赤に染めあげた私達。
5年越しに結ばれた恋の話は、一体どんなに綺麗な色を浮かべるんだろう。
灰色だった世界が、彼女と再び出会えたことで色を取り戻す。
これからも、私の中心で色鮮やかで綺麗な彼女に恋をし続けるんだろうな。
なんて思いながら、あの時は握れなかった由依の手を強く強く握って、家へ帰る。
ヘタレはもう、卒業します。
-fin-
リクエスト 社会人パロのりさぽん
高校生の時両片思いのりさぽんが大人になって結ばれる話。
同じことの繰り返し、灰色の世界はずっと遠くの方まで続いていて、今更になってもっと高校生を充実しておけばよかったと後悔している。
今日も、つまらない上司の話に付き合わされながら営業を終えやっとのことで帰路に着いた。
お腹空いたなぁ。
でも、買うのも作るのも面倒くさいや。
なんて考えていれば向かい側からやって着た人物に声を掛けられる。
小林「…理佐??」
その声を、その姿を視界に入れた瞬間、ぱっと色が広がって、あの頃のように世界が綺麗に見えた。
私に声を掛けてきてくれたのは高校の3年間同じクラスで、割と仲が良かった、好きだった人。
「こば、?」
小林「ふふ、理佐だ、久しぶり。」
高校を卒業して5年、成人式でさえ会うことが出来なかったから本当に丸々5年ぶりの好きだった人はあの時よりも大人で、綺麗になっていた。
「久しぶり、だね。」
ドキドキと心臓がうるさい。
恋心ってやつは時間とともに消えると思っていたけれど意外に私の恋は長持ちしていたらしい。
小林「仕事終わり?」
「ん、そう。こばは?」
小林「私も!」
「理佐のお家あっち?」
「うん、あっちの曲がったところ。」
小林「え、じゃあさ、色々買ってくから理佐のお家お邪魔してもいい?」
「…ふふ、いいよ、もっとこばと話したいし。」
小林「やった、じゃあそこのコンビニで買ってこ。」
「うん。」
高校生の頃よりも積極的で、大人になっているこばに対して私はあの頃と変われているだろうか。
好きと伝えることさえも出来ずに、距離をとるように呼び方を変え、気持ちから逃げていたあの頃と何か変われているだろうか。
あんなに面倒だと思っていたのに足は軽々とコンビニへ向かって歩いていて、中に入って楽しそうに色んなものを手に取るこばに籠を差し出して、2人であれやこれと沢山お酒やらなんやらを手に取って、再び帰路に着く。
ちらっと横を盗み見れば、あの頃よりとは違う、茶色く染った、綺麗な髪の毛を片方耳に掛けていた。
小林「…ん?」
「ん?」
小林「ふふ、理佐が見てくるから。」
「あぁ、いや、髪色変わったなぁって、」
小林「あ〜、笑笑」
「卒業してすぐくらいに染めたんだ〜。」
"そうなんだ"
そう返そうと思ったけれど、それじゃあいつまで経ってもあのころと同じような気がして、
「ふふ、そっか、似合ってる、可愛い。」
と、こばには思っていても、あまり言うことのなかった言葉を紡ぐ。
小林「っ…、ふふ、ありがとう。」
「何驚いてんの。」
小林「いや、理佐に可愛いって言われたことあんまり無かったから、」
「…ずっと思ってたよ。言えてなかっただけで、」
小林「へへ、そっか。」
嬉しそうに笑う彼女が可愛くて、あの時よりも強く胸が苦しくなる。
「あのさ、」
小林「ん?」
「今って付き合ってる人いるの?」
小林「ふふ、急だね、居ないよ。高校生の頃からずっと好きな人がいてねー、」
「…、こ、高校の時から、」
私が知る限り、こばが恋に浮かれていたことなんて見た事がない。一体何処の誰に恋焦がれているというのだろうか。
小林「ちなみに、同じクラス。」
「同じクラス!?え、待って、全然わかんないんだけど、」
私たちの高校は女子校だったから、高校生の頃から割と女の子同士の恋愛になれていたし、歳を重ねるごとにそれは当たり前となっていったから今だって驚きはしない。
ただ、本当に誰に恋をしていたんだ。
同じクラスの人達、私とこばを抜いた19人を思い浮かべる。
「……平手?」
小林「んーん、平手は可愛い可愛い妹枠。」
「んー、あ!土生ちゃん?」
小林「土生ちゃんはチャラすぎて付き合ったら心配事多そうだから、仲いい友達枠。」
「えーー、あ、じゃあー、」
小林「チャンスはあと1回だよ、当てて、理佐。」
「チャンスはあと1回!?えーー、誰だよーー、」
小林「ヒントはー、」
「私を、こばって呼ぶ人。」
「こば…、」
って呼ぶのは私と、平手と、時々織田奈那や、愛佳が呼んでいたっけ。
織田奈那は多分無い。うん。一時期織田奈那からの愛に引いてたし。うん。
そうなると残りは愛佳。
確かに、私を含めよく一緒に居たし、一致してしまったかもしれない。
「…愛佳かぁ、」
小林「ぶっぶー、」
「ほんっっと理佐って鈍感だよね。全然気づかない。」
「…?」
小林「私のことこばって呼んで、ツンデレで、綺麗好きで、最後までヘタレだったのは?誰?」
「………私、?」
小林「本当気づくの遅い。」
「ちょっ、待って、え?ん?え、こば私の気持ち気づいてたの?」
小林「気づくに決まってるじゃん、理佐あからさま過ぎだもん。」
「嘘、恥ずかし。えーー、嘘、」
思いもよらぬ報告に次の言葉が間に合わない。
小林「ねえ、理佐はまだヘタレのままなの、?」
買い物袋を持っていない反対の手を、軽く握って、指先だけで私を捕まえてくるこばは、何かを期待しているようだった。
「っ…、」
「こば、」
小林「こばは嫌。前みたいに名前で呼んで。」
「…、由依、」
小林「なに、理佐。」
「高校生の頃からずっと、由依の事が好きでした。付き合って、ください。」
小林「ほんっと遅い!遅すぎる。」
「ごめん、」
小林「…私のこと、幸せにして。」
「っ…、うん、幸せにする。」
小林「ふふ、よろしくお願いします。」
指先から、手のひらどうしをくっつけるように手を握って、耳まで真っ赤に染めあげた私達。
5年越しに結ばれた恋の話は、一体どんなに綺麗な色を浮かべるんだろう。
灰色だった世界が、彼女と再び出会えたことで色を取り戻す。
これからも、私の中心で色鮮やかで綺麗な彼女に恋をし続けるんだろうな。
なんて思いながら、あの時は握れなかった由依の手を強く強く握って、家へ帰る。
ヘタレはもう、卒業します。
-fin-
リクエスト 社会人パロのりさぽん
高校生の時両片思いのりさぽんが大人になって結ばれる話。