▶︎ 森田 田村
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桜が舞うこの季節になるといつも貴方を思い出す
笑うと出来るエクボに、栗色の髪の毛、ビー玉のように透き通った瞳は、私の心を掴んだままだった。
「「「「「乾杯!」」」」」
4月の半ば、新入社員を迎え入れ、そして異動していった功労者達を労う会。迎え入れ、送り出す側として今日で4回目。来年は私が送り出される側だろうか。そんな事を考えながら、アルコールを流し込んでいれば同期の夏鈴に"浸ってんな"なんてどつかれてしまった。
「別に浸っとらんよ」
藤吉「顔が浸ってた。」
松田「なになに?ひかるの失恋話?」
藤吉「まあ、そんなとこ」
「違うやろ笑」
松田「まあさ、よく分かんないけど保乃のことはもう忘れなよ。もう連絡先も全部消したんでしょ?一方的に振られて落ち込むのも分かるけど、そろそろ次の恋愛しないと。」
「…分かっとるよ、」
藤吉「親も早く結婚しろってうるさいんやろ?」
「うん、26にもなってまだふらふらしとるんか!って」
松田「うわ〜典型的なやつじゃん。」
「…ふふっ、ほんと嫌になっちゃうね。」
そう言って流し込んだアルコールはいつもよりも苦かった。
『よーしみんなーー2件目行くぞーーー』
課長の声を皮切りに各々が店を出る準備を始めている。そんな姿を横目に私はテーブルから動けずにいた。
藤吉「なぁ、誰かひかる連れて帰れへん?」
松田「げっ、もうこんな出来上がったの?」
「意識はあるんやけど、身体が思ったよりもフラフラするけ、一人で帰るんは厳しいかも。」
昔は"飲みすぎたらあかんって何回も言ったやろ〜"って怒りながら、どこか嬉しそうに迎えに来てくれる人がいたのにな。
あー、もう3年も経ったのに。
悔しいなぁ。つい昨日のように思い出せちゃうや。
藤吉「ちょ、ひかる泣いてんで。」
「あー、嘘、うわほんとやん、ごめん、うざいやろ。すぐ泣き止むけ、待って。」
なんで今更、涙が出てくるんよ。
なんで今更、思い出しちゃうんよ。
結局夏鈴とタクシーに乗って、それぞれの自宅へ。私はそのままトイレに籠って朝を迎えた。
「はぁ……きっつ、」
乱れた服と、散らかった玄関に頭を悩ませながら、一先ずはシャワーを浴びた。
何事もシャワーに入れば、頭がスッキリするのだと言う。そう彼女が言っていた。
保乃ちゃんと別れてから3年。
恋の1つもなく、ここまでやってきてしまった。
26歳、人生停滞中。
「…、全然頭スッキリせんやん。」
シャワーを出て、髪を乾かすことを一度保留し、散らかった残骸たちを片していく。
まさに休日の朝という感じだ。
ブブッ
"元気してる?"
見覚えのある電話番号の下に映し出された文字。
覚えている電話番号なんて家族くらい、だから誰の電話番号かなんてハッキリしない。それでも、私の脳はぼんやりと覚えていた。
「保乃ちゃん?」
3年の月日とか、振られた理由とか、そんなのどうでも良かった。振られた勢いで消してしまった連絡先、もう二度と交われないと思っていた。
気が付けば、私は携帯を耳元に当てていた。
4コール呼出音がなる。
5コール目、あと1コールで切ろう。
"もしもし?"
「っ…もしもし?保乃、ちゃん?」
田村「ひぃちゃん、やんな?」
「うん、っ…、あー、ごめっ、ほんとに繋がると思わんかったけ、心が追いつかんくて。」
田村「保乃も、びっくりしてる、」
動悸がうるさい、本当に口から心臓が出てしまいそうだ。私は、何を話したかったのか、何で掛けてしまったのか、頭の中が自分自身への問いかけで埋まっていく。
田村「…元気、やった?」
「あぁ、うん、ぼちぼちかな。」
「保乃ちゃんは?元気やった?」
田村「うん、保乃も元気やったで。」
「そっか、良かった。」
田村「うん、」
沈黙が二人の間を埋めていく。
どうしよう、何を話せば良い。
なんで私を振ったの?今恋人はいるの?まだやり直すチャンスはある?
聞きたいことなんて山ほどある。
でも、言葉が声にならない。どれも言っちゃダメと言われているかのように、言葉が詰まってしまう。
「っ…、今は何処に居ると?」
田村「…ひぃちゃんとたまに行ってたパン屋さんあるやろ?」
「…うん、おじいちゃんがやってる所やろ?」
田村「そうそう、そこの近くで一人暮らししてんで。」
「…そっか、ちょっと遠目やね。」
田村「…なぁ、ひぃちゃん?」
「ん?」
田村「…、二人でよく行った公園あったやろ?」
「うん、桜が綺麗なところ。」
田村「そこに来て欲しい。保乃、待ってるから。」
「え?」
田村「ひぃちゃんに会いたい。」
「っ…、」
髪が濡れたままとか、すっぴんとか、服がダル着のままとか、そんなのどうでも良かった。
ただ、会いたかった。一目でいいから、もう一度保乃ちゃんをこの目で見たかった。
無防備なまま、部屋を飛び出した。
「はぁはぁっ…、っ…、保乃、ちゃん。」
見計らったように、いつもは人で溢れてる公園が今は彼女だけを受け入れていて、葉桜となった木々は3年という月日の流れをより一層美しく映し出した。
田村「ひぃちゃん、」
目が合った、保乃ちゃんの声が私の耳に届いた。
その瞬間涙が溢れて、勢いのまま彼女の腕の中に飛び込んだ。
「っ…保乃ちゃん、っ、ずっと、会いたかった。」
田村「保乃もっ、ずっと、会いたかった。」
「ならなんで…、なんで私を振ったんよ!」
「なんで傍に居てくれんかったんよ、なんで、私から離れたん、?」
田村「ごめんっ、ごめんな、保乃不器用やから、ひぃちゃんを守るにはこうするしかないって思い込んでもうた。」
「っ…、」
肩をそっと押され、2人に距離ができた。
保乃ちゃんのポッケの中から取り出された箱は小さくて、でもそれは確かなもので、息が詰まる。
田村「遅なってごめん、1人にしてごめん、不器用でごめん。ひぃちゃんの両親を説得するには、あの時の保乃じゃダメやったんよ。やっと、自信を持ってひぃちゃんを守れる保乃になれたから、」
そう言って、保乃ちゃんは箱を開けた。
中には3年前二人で付けていたペアリングの指輪が形を変え、より一層綺麗になって入っていた。
田村「ひぃちゃん、保乃と結婚してくれませんか?」
「っ…、」
田村「…やっぱり、もう遅かった?」
「……遅いわけ、ないやろ。」
「ずっとずっと、待っとった。保乃ちゃんのこと。ずっと、保乃ちゃんと結婚したかった。」
田村「っ…それは、プロポーズの答えってことでいいん?」
「うんっ、嬉しい、っ、保乃ちゃんと結婚したい。これからもそばにいたいっ、」
田村「うん…っ、これからもそばにおって。」
「保乃がひぃちゃんを守るからっ、」
ビー玉のように透き通った瞳から、綺麗な涙が流れ落ちる。ああ、そうか、私を振ったのは、私を縛り付けないように、私が自由でいれるように、これも全部保乃ちゃんの不器用な愛が故やったんやね、
「不器用すぎるやろ、」
田村「ほんまにごめんな。」
「ひぃちゃんの両親に言われててん、保乃じゃひぃちゃんを幸せにできんから別れてくれって、」
「っ…そうやったん、?」
田村「うん、でもそんなんで折れるほどひぃちゃんへの愛は脆くないねん。今よりもっと自立して、ひぃちゃん1人養えるようになって、もう一回出直そうって決めたんやけど、その間ひぃちゃんを縛り付けておくんはなんか違うんかなって思って、勝手に一人で考えて、勝手に押し付けてしまった。ほんまにごめんな。もっとちゃんとひぃちゃんと話をするべきやった。もっと、ちゃんと向き合うべきやったな。」
「っ…ほんとだよ、ずっと辛かった、保乃ちゃんの居らん毎日はつまらんかった、」
田村「うん、」
「もう、1人にせんで。」
田村「うん。絶対に離れたりせえへん。」
「保乃が一生をかけて幸せにする。」
「…約束?」
田村「うん、約束。」
葉桜が舞う。それを横目に、私は保乃ちゃんとキスをした。3年ぶりのキス。3年ぶりの保乃ちゃん。
田村「っ…、なあ、もっとしたい、ひぃちゃん家行っていい?」
「うん、私ももっとしたい、もっと保乃ちゃんと居たい。」
保乃ちゃんの手を取り歩き出す。
3年ぶりにつける指輪は、冷たくて、少し窮屈で、でも凄く安心した。
もう離さない。誰がなんと言おうと離れてなんてあげない。
保乃ちゃんは私のもの。
私は、保乃ちゃんのものだから。
Fin
リハビリがてら1年ぶりに書いてみましたが、
なんだかしっくり来ない話になってしまいました。すみません。
追伸 bake生きてます
笑うと出来るエクボに、栗色の髪の毛、ビー玉のように透き通った瞳は、私の心を掴んだままだった。
「「「「「乾杯!」」」」」
4月の半ば、新入社員を迎え入れ、そして異動していった功労者達を労う会。迎え入れ、送り出す側として今日で4回目。来年は私が送り出される側だろうか。そんな事を考えながら、アルコールを流し込んでいれば同期の夏鈴に"浸ってんな"なんてどつかれてしまった。
「別に浸っとらんよ」
藤吉「顔が浸ってた。」
松田「なになに?ひかるの失恋話?」
藤吉「まあ、そんなとこ」
「違うやろ笑」
松田「まあさ、よく分かんないけど保乃のことはもう忘れなよ。もう連絡先も全部消したんでしょ?一方的に振られて落ち込むのも分かるけど、そろそろ次の恋愛しないと。」
「…分かっとるよ、」
藤吉「親も早く結婚しろってうるさいんやろ?」
「うん、26にもなってまだふらふらしとるんか!って」
松田「うわ〜典型的なやつじゃん。」
「…ふふっ、ほんと嫌になっちゃうね。」
そう言って流し込んだアルコールはいつもよりも苦かった。
『よーしみんなーー2件目行くぞーーー』
課長の声を皮切りに各々が店を出る準備を始めている。そんな姿を横目に私はテーブルから動けずにいた。
藤吉「なぁ、誰かひかる連れて帰れへん?」
松田「げっ、もうこんな出来上がったの?」
「意識はあるんやけど、身体が思ったよりもフラフラするけ、一人で帰るんは厳しいかも。」
昔は"飲みすぎたらあかんって何回も言ったやろ〜"って怒りながら、どこか嬉しそうに迎えに来てくれる人がいたのにな。
あー、もう3年も経ったのに。
悔しいなぁ。つい昨日のように思い出せちゃうや。
藤吉「ちょ、ひかる泣いてんで。」
「あー、嘘、うわほんとやん、ごめん、うざいやろ。すぐ泣き止むけ、待って。」
なんで今更、涙が出てくるんよ。
なんで今更、思い出しちゃうんよ。
結局夏鈴とタクシーに乗って、それぞれの自宅へ。私はそのままトイレに籠って朝を迎えた。
「はぁ……きっつ、」
乱れた服と、散らかった玄関に頭を悩ませながら、一先ずはシャワーを浴びた。
何事もシャワーに入れば、頭がスッキリするのだと言う。そう彼女が言っていた。
保乃ちゃんと別れてから3年。
恋の1つもなく、ここまでやってきてしまった。
26歳、人生停滞中。
「…、全然頭スッキリせんやん。」
シャワーを出て、髪を乾かすことを一度保留し、散らかった残骸たちを片していく。
まさに休日の朝という感じだ。
ブブッ
"元気してる?"
見覚えのある電話番号の下に映し出された文字。
覚えている電話番号なんて家族くらい、だから誰の電話番号かなんてハッキリしない。それでも、私の脳はぼんやりと覚えていた。
「保乃ちゃん?」
3年の月日とか、振られた理由とか、そんなのどうでも良かった。振られた勢いで消してしまった連絡先、もう二度と交われないと思っていた。
気が付けば、私は携帯を耳元に当てていた。
4コール呼出音がなる。
5コール目、あと1コールで切ろう。
"もしもし?"
「っ…もしもし?保乃、ちゃん?」
田村「ひぃちゃん、やんな?」
「うん、っ…、あー、ごめっ、ほんとに繋がると思わんかったけ、心が追いつかんくて。」
田村「保乃も、びっくりしてる、」
動悸がうるさい、本当に口から心臓が出てしまいそうだ。私は、何を話したかったのか、何で掛けてしまったのか、頭の中が自分自身への問いかけで埋まっていく。
田村「…元気、やった?」
「あぁ、うん、ぼちぼちかな。」
「保乃ちゃんは?元気やった?」
田村「うん、保乃も元気やったで。」
「そっか、良かった。」
田村「うん、」
沈黙が二人の間を埋めていく。
どうしよう、何を話せば良い。
なんで私を振ったの?今恋人はいるの?まだやり直すチャンスはある?
聞きたいことなんて山ほどある。
でも、言葉が声にならない。どれも言っちゃダメと言われているかのように、言葉が詰まってしまう。
「っ…、今は何処に居ると?」
田村「…ひぃちゃんとたまに行ってたパン屋さんあるやろ?」
「…うん、おじいちゃんがやってる所やろ?」
田村「そうそう、そこの近くで一人暮らししてんで。」
「…そっか、ちょっと遠目やね。」
田村「…なぁ、ひぃちゃん?」
「ん?」
田村「…、二人でよく行った公園あったやろ?」
「うん、桜が綺麗なところ。」
田村「そこに来て欲しい。保乃、待ってるから。」
「え?」
田村「ひぃちゃんに会いたい。」
「っ…、」
髪が濡れたままとか、すっぴんとか、服がダル着のままとか、そんなのどうでも良かった。
ただ、会いたかった。一目でいいから、もう一度保乃ちゃんをこの目で見たかった。
無防備なまま、部屋を飛び出した。
「はぁはぁっ…、っ…、保乃、ちゃん。」
見計らったように、いつもは人で溢れてる公園が今は彼女だけを受け入れていて、葉桜となった木々は3年という月日の流れをより一層美しく映し出した。
田村「ひぃちゃん、」
目が合った、保乃ちゃんの声が私の耳に届いた。
その瞬間涙が溢れて、勢いのまま彼女の腕の中に飛び込んだ。
「っ…保乃ちゃん、っ、ずっと、会いたかった。」
田村「保乃もっ、ずっと、会いたかった。」
「ならなんで…、なんで私を振ったんよ!」
「なんで傍に居てくれんかったんよ、なんで、私から離れたん、?」
田村「ごめんっ、ごめんな、保乃不器用やから、ひぃちゃんを守るにはこうするしかないって思い込んでもうた。」
「っ…、」
肩をそっと押され、2人に距離ができた。
保乃ちゃんのポッケの中から取り出された箱は小さくて、でもそれは確かなもので、息が詰まる。
田村「遅なってごめん、1人にしてごめん、不器用でごめん。ひぃちゃんの両親を説得するには、あの時の保乃じゃダメやったんよ。やっと、自信を持ってひぃちゃんを守れる保乃になれたから、」
そう言って、保乃ちゃんは箱を開けた。
中には3年前二人で付けていたペアリングの指輪が形を変え、より一層綺麗になって入っていた。
田村「ひぃちゃん、保乃と結婚してくれませんか?」
「っ…、」
田村「…やっぱり、もう遅かった?」
「……遅いわけ、ないやろ。」
「ずっとずっと、待っとった。保乃ちゃんのこと。ずっと、保乃ちゃんと結婚したかった。」
田村「っ…それは、プロポーズの答えってことでいいん?」
「うんっ、嬉しい、っ、保乃ちゃんと結婚したい。これからもそばにいたいっ、」
田村「うん…っ、これからもそばにおって。」
「保乃がひぃちゃんを守るからっ、」
ビー玉のように透き通った瞳から、綺麗な涙が流れ落ちる。ああ、そうか、私を振ったのは、私を縛り付けないように、私が自由でいれるように、これも全部保乃ちゃんの不器用な愛が故やったんやね、
「不器用すぎるやろ、」
田村「ほんまにごめんな。」
「ひぃちゃんの両親に言われててん、保乃じゃひぃちゃんを幸せにできんから別れてくれって、」
「っ…そうやったん、?」
田村「うん、でもそんなんで折れるほどひぃちゃんへの愛は脆くないねん。今よりもっと自立して、ひぃちゃん1人養えるようになって、もう一回出直そうって決めたんやけど、その間ひぃちゃんを縛り付けておくんはなんか違うんかなって思って、勝手に一人で考えて、勝手に押し付けてしまった。ほんまにごめんな。もっとちゃんとひぃちゃんと話をするべきやった。もっと、ちゃんと向き合うべきやったな。」
「っ…ほんとだよ、ずっと辛かった、保乃ちゃんの居らん毎日はつまらんかった、」
田村「うん、」
「もう、1人にせんで。」
田村「うん。絶対に離れたりせえへん。」
「保乃が一生をかけて幸せにする。」
「…約束?」
田村「うん、約束。」
葉桜が舞う。それを横目に、私は保乃ちゃんとキスをした。3年ぶりのキス。3年ぶりの保乃ちゃん。
田村「っ…、なあ、もっとしたい、ひぃちゃん家行っていい?」
「うん、私ももっとしたい、もっと保乃ちゃんと居たい。」
保乃ちゃんの手を取り歩き出す。
3年ぶりにつける指輪は、冷たくて、少し窮屈で、でも凄く安心した。
もう離さない。誰がなんと言おうと離れてなんてあげない。
保乃ちゃんは私のもの。
私は、保乃ちゃんのものだから。
Fin
リハビリがてら1年ぶりに書いてみましたが、
なんだかしっくり来ない話になってしまいました。すみません。
追伸 bake生きてます