▶︎ 森田 田村
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田村「ふふ、でな〜……」
「あははっ、そうなんやね。」
深夜2時、楽しそうに電話している私と保乃ちゃんはただのメンバーじゃない。元恋人同士。
交際期間は1年半、誰にも知られず付き合い、誰にも知られず別れた。それから半年、保乃ちゃんは夏鈴と付き合った。
それを含めてもう一度。
私たちは今深夜2時を過ぎているのに電話をし続け更には盛り上がっている。
田村「あ!ひぃちゃん!月!めっちゃ綺麗やで。」
「ん〜、ちょっと待ってね、ベランダ出るけ、」
田村「ちゃんとサンダル履くんやで?スリッパのまま出ちゃダメやからな?」
「ふふ、分かっとるよ。」
1年半で知り尽くした私の癖を、なんの溜めもなく出してくる保乃ちゃんは、正直よく分からない。割り切れているように見えるけれど、たまに出る保乃ちゃんの言葉や、仕草は、私を求めているような気がして、それに振り回されているのかもしれない。
「…ほんとだ、綺麗やね。」
田村「今年最後の満月やって。」
「そっか、夏鈴にも言った?」
田村「言ってへん、こーゆうの言いたくなるんはひぃちゃんやから。」
「っ…ふふ、なんそれ、」
別れている。元恋人同士。
何度でも言おう。私たちは別れている。きっとこの関係はあまり良くない。それでも離れられないのは、元恋人だから。
田村「…ひぃちゃん明日被ってるっけ?」
「あー、どうやろ、午後から収録入ってたような気がする。」
田村「それがほんまなら明日会えるなぁ。」
「ふふ、会いたいん?」
田村「ん〜?なんて〜?」
「…なんでもないですー。」
「保乃ちゃんもベランダ出てるん?」
田村「出てるよ〜。」
「ふふ、そっか。ミルクティー飲みたくなってきたな。」
田村「保乃丁度飲んでんで。」
「知っとるよ、やけ飲みたくなったんやもん。」
保乃ちゃんが私の癖を知ってるように、私だってベランダに行く時に必ずミルクティーを入れる保乃ちゃんの癖を知っている。
田村「身体あったまるで。」
「そうやね、今は寒いーっち言っても誰も温めてくれんもんね。」
田村「ふふ、嫌な言い方するやん。」
「振られた側やけんね〜〜〜。」
田村「…そうやなぁ、保乃、ひぃちゃんのこと振ったんだよね。」
「ふふ、何、しみじみ思い直してるん。」
田村「後悔、してんねん。もっとちゃんと向き合えばよかった〜、とか、気持ち伝えればよかった、とか。」
「…好きな人が出来たっち言って振ったやろ?本当は違う理由があったん?」
田村「…ほんまはな、怖くなってん、綺麗なものとか、感動するものを前にした時、それを伝えたいって思うのがひぃちゃんで、何をするにも、ひぃちゃんが1番やったから、いつかひぃちゃんが居らんと生きていけんくなるんやないかなって、ひぃちゃんを縛っちゃうんやないかなって、」
「っ…、それで振ったと?」
田村「…うん、それを考え出した日に、夏鈴ちゃんが告白してきてくれて、ひぃちゃんを苦しめちゃう前に離れようって…、ごめん、勝手やんな。」
「勝手だよ。勝手すぎるよ。なんで全部一人で決めると?なんで何も相談してくれなかったん、私は、保乃ちゃんの全部を愛しとうよ、全部を受け入れた上で、愛してたんよ。」
田村「っ…、」
「綺麗な月を見つけた時は1番に保乃ちゃんに教えたいし、どんな大好物のものでも最初と最後の1口は保乃ちゃんにあげたい、朝起きた時に考えるのも保乃ちゃんの事ばっかやし、私は、私は…、今も保乃ちゃんが好きだよ。」
田村「っ…、」
「今は夏鈴の事が好きかもしれない、もう私のことなんてどうも思っとらんかもしれん、それでも、私は保乃ちゃんが好き。この先もずっと、綺麗な月を保乃ちゃんと見たい。」
田村「それ以上、言わんで…、保乃、間違ったことしちゃう、」
「っ…、」
田村「ちゃんと、夏鈴ちゃんと話するから、だから、それまで待っててくれる?」
「待てんっち言ったらどうするん?」
田村「今すぐ、会いに行く。」
「…待てんよ、保乃ちゃん、」
田村「っ…、」
狡いと思う。卑怯だと思う。それでも、私は保乃ちゃんに会いたかった。元恋人同士じゃ、堪らなく嫌やった。夏鈴、ごめん。本当にごめん。保乃ちゃんの事は渡せん。
スマホの中からタクシーに乗る音が聞こえて、本当に保乃ちゃんが私の所へ向かってきてくれていることを知らせてくれた。
胸が苦しくて、痛くて、心地良い。
矛盾だらけだけど、私はやっぱり保乃ちゃんが好きで、どうしようもないほど恋してる。
「早く会いに来て、保乃ちゃん、」
玄関を飛び出て、エントランスを抜ける。
寒い空気の中、タクシーを待っていれば、目の前に緑のタクシーが止まって、中から保乃ちゃんが降りてくる。
そのままギュッと抱き締められて、流れのまま唇を重ねた。
誰が見てようともうどうでもよかった。
寧ろ、誰かに見てて欲しかった。
私の保乃ちゃんだと伝えたかった。
「おかえり、保乃ちゃん。」
田村「ただいま、ひぃちゃん。」
-Fin-
「あははっ、そうなんやね。」
深夜2時、楽しそうに電話している私と保乃ちゃんはただのメンバーじゃない。元恋人同士。
交際期間は1年半、誰にも知られず付き合い、誰にも知られず別れた。それから半年、保乃ちゃんは夏鈴と付き合った。
それを含めてもう一度。
私たちは今深夜2時を過ぎているのに電話をし続け更には盛り上がっている。
田村「あ!ひぃちゃん!月!めっちゃ綺麗やで。」
「ん〜、ちょっと待ってね、ベランダ出るけ、」
田村「ちゃんとサンダル履くんやで?スリッパのまま出ちゃダメやからな?」
「ふふ、分かっとるよ。」
1年半で知り尽くした私の癖を、なんの溜めもなく出してくる保乃ちゃんは、正直よく分からない。割り切れているように見えるけれど、たまに出る保乃ちゃんの言葉や、仕草は、私を求めているような気がして、それに振り回されているのかもしれない。
「…ほんとだ、綺麗やね。」
田村「今年最後の満月やって。」
「そっか、夏鈴にも言った?」
田村「言ってへん、こーゆうの言いたくなるんはひぃちゃんやから。」
「っ…ふふ、なんそれ、」
別れている。元恋人同士。
何度でも言おう。私たちは別れている。きっとこの関係はあまり良くない。それでも離れられないのは、元恋人だから。
田村「…ひぃちゃん明日被ってるっけ?」
「あー、どうやろ、午後から収録入ってたような気がする。」
田村「それがほんまなら明日会えるなぁ。」
「ふふ、会いたいん?」
田村「ん〜?なんて〜?」
「…なんでもないですー。」
「保乃ちゃんもベランダ出てるん?」
田村「出てるよ〜。」
「ふふ、そっか。ミルクティー飲みたくなってきたな。」
田村「保乃丁度飲んでんで。」
「知っとるよ、やけ飲みたくなったんやもん。」
保乃ちゃんが私の癖を知ってるように、私だってベランダに行く時に必ずミルクティーを入れる保乃ちゃんの癖を知っている。
田村「身体あったまるで。」
「そうやね、今は寒いーっち言っても誰も温めてくれんもんね。」
田村「ふふ、嫌な言い方するやん。」
「振られた側やけんね〜〜〜。」
田村「…そうやなぁ、保乃、ひぃちゃんのこと振ったんだよね。」
「ふふ、何、しみじみ思い直してるん。」
田村「後悔、してんねん。もっとちゃんと向き合えばよかった〜、とか、気持ち伝えればよかった、とか。」
「…好きな人が出来たっち言って振ったやろ?本当は違う理由があったん?」
田村「…ほんまはな、怖くなってん、綺麗なものとか、感動するものを前にした時、それを伝えたいって思うのがひぃちゃんで、何をするにも、ひぃちゃんが1番やったから、いつかひぃちゃんが居らんと生きていけんくなるんやないかなって、ひぃちゃんを縛っちゃうんやないかなって、」
「っ…、それで振ったと?」
田村「…うん、それを考え出した日に、夏鈴ちゃんが告白してきてくれて、ひぃちゃんを苦しめちゃう前に離れようって…、ごめん、勝手やんな。」
「勝手だよ。勝手すぎるよ。なんで全部一人で決めると?なんで何も相談してくれなかったん、私は、保乃ちゃんの全部を愛しとうよ、全部を受け入れた上で、愛してたんよ。」
田村「っ…、」
「綺麗な月を見つけた時は1番に保乃ちゃんに教えたいし、どんな大好物のものでも最初と最後の1口は保乃ちゃんにあげたい、朝起きた時に考えるのも保乃ちゃんの事ばっかやし、私は、私は…、今も保乃ちゃんが好きだよ。」
田村「っ…、」
「今は夏鈴の事が好きかもしれない、もう私のことなんてどうも思っとらんかもしれん、それでも、私は保乃ちゃんが好き。この先もずっと、綺麗な月を保乃ちゃんと見たい。」
田村「それ以上、言わんで…、保乃、間違ったことしちゃう、」
「っ…、」
田村「ちゃんと、夏鈴ちゃんと話するから、だから、それまで待っててくれる?」
「待てんっち言ったらどうするん?」
田村「今すぐ、会いに行く。」
「…待てんよ、保乃ちゃん、」
田村「っ…、」
狡いと思う。卑怯だと思う。それでも、私は保乃ちゃんに会いたかった。元恋人同士じゃ、堪らなく嫌やった。夏鈴、ごめん。本当にごめん。保乃ちゃんの事は渡せん。
スマホの中からタクシーに乗る音が聞こえて、本当に保乃ちゃんが私の所へ向かってきてくれていることを知らせてくれた。
胸が苦しくて、痛くて、心地良い。
矛盾だらけだけど、私はやっぱり保乃ちゃんが好きで、どうしようもないほど恋してる。
「早く会いに来て、保乃ちゃん、」
玄関を飛び出て、エントランスを抜ける。
寒い空気の中、タクシーを待っていれば、目の前に緑のタクシーが止まって、中から保乃ちゃんが降りてくる。
そのままギュッと抱き締められて、流れのまま唇を重ねた。
誰が見てようともうどうでもよかった。
寧ろ、誰かに見てて欲しかった。
私の保乃ちゃんだと伝えたかった。
「おかえり、保乃ちゃん。」
田村「ただいま、ひぃちゃん。」
-Fin-