▶︎ 森田 守屋
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「いたたたた、」
日が暮れた帰り道、何敗もしてきた就活の日々。
限界が来たのは突然だった。
踵の痛みと、溢れて止まらない涙。
歩くことすら出来なくなって、近くにあったベンチに座る。みっともなくて、恥ずかしい。
自己を語り、押し、そして落とされる。
それはまるで私を否定されているようで、辛くて、苦しくて、今にでも逃げ出したかった。
誰かに、縋りたかった。
森田「…これ、絆創膏、」
「っ…、ひかる、ちゃん。」
ふと横から現れたひかるちゃんは、学校帰りのようでちょっと進んだ先にはひかるちゃんと同じ制服の女の子たちの後ろ姿が見えた。
見付けて、わざわざこっちに来てくれたんだろうか、こんなみっともない幼馴染のところに。
森田「足貸して、痛いやろ。」
「…、」
森田「うわ、デロデロ、よくこんなんで歩き続けとったね、」
制服が汚れることも気にしないで地面に片膝をついて、麗奈の踵に絆創膏を貼ってくれる。
ひかるちゃんは、優しくて、出来た人。
きっと麗奈みたいに失敗が続くことなんてない。
森田「ん…、これで痛み和らぐといいんやけど、」
「ありが……、ひかる、ちゃん?」
ありがとう、そう言おうとして顔を上げた途端立ち上がったひかるちゃんに強く抱き締められる。
暖かくて、優しい温度。安心する匂い。
駄目だ、また、泣いちゃう。
森田「麗奈ちゃんは誰よりも頑張っとう、私が寝る時も麗奈ちゃんの部屋いっつも明かりついとって、夜遅くまであんなに頑張っとるんやけ、絶対報われる。報われるから。」
そう言ってくれるひかるちゃんの声も震えていて、麗奈の為にそんなに思ってくれているんだな、なんて嬉しく思う。
「ありがとう、ひかるちゃん、っ、」
体を離して、出来た距離。
でも、ひかるちゃんの腕は麗奈の首にかかったまま。
森田「…、ふふ、こうやって顔合わせて話せるんも久々やね。」
「確かに、最近ずっと時間合わなかったもんね。」
森田「麗奈ちゃんの顔見れて嬉しい。会えて、嬉しい。」
「っ…、ふふ、麗奈も。」
別に付き合ってるわけじゃない。
でもお互いに好き同士で、どちらかが踏み出せば変わる関係。それを知っているのは麗奈だけ。
森田「…、もう1回、抱きしめてもよか?」
「うん、ぎゅってして、」
森田「っ…、」
今度は何を言うでもなくただ強く抱きしめられるだけ。耳の近くで鳴るひかるちゃんの心臓が、ひかるちゃんを表しているようで、笑みがこぼれてしまう。
森田「ん〜?ふふ、なん?」
「ひかるちゃんの心臓、ドキドキしてる。」
森田「そりゃ……、」
「ん〜?そりゃなに??」
森田「…なんでもないけ、気にせんで。」
「麗奈、告白はされたい方です。」
森田「え…、」
「好きって言ってもらいたいし、毎日可愛いって思って欲しい。嫉妬だって沢山しちゃう。」
「でもね、誰よりもひかるちゃんを好きでいる自信があるよ。」
森田「っ…、」
きっと、年下のひかるちゃんにアテられて生まれた年上の余裕。ほら、今だって麗奈の言葉にひかるちゃんの顔は真赤っか。
「ふふ、」
森田「…ずっと麗奈ちゃんが好きやった。」
「過去形なの〜?」
森田「…、ずっと好き。」
「ふふ、うん。」
森田「だから、付き合ってください、」
「はい、お願いします。」
森田「っ…ほんとに?もう我慢せんでもいいん?私の麗奈ちゃんなん?」
「そうだよ、ひかるの麗奈。」
「我慢なんてしないで?」
ここが外だということも忘れて、降り注がれるひかるちゃんからのキスに応える。
「んっ…はぁっ、ひかるっ、ちゃん、」
空いた隙間に舌が入ってきて、絡まって、熱い。苦しい。気持ちいい。
森田「…はぁっ、はぁ、ごめん、がっつきすぎた、」
「ふふ、高校生だね。」
「続きは、麗奈が内定貰えてからね?」
森田「っ…、麗奈ちゃんならすぐ取れるけ、お預けにならんね。」
「ふふ、だといいけどな〜。」
今まであった不安はいつの間にか消えていた。
きっと目の前で照れくさそうに笑う彼女のお陰。
早く内定、取らないとな。
「ひかるちゃん!!!」
森田「おぉ、どうしたと、急に、え、もしかして、」
「内定!貰えたよ!!」
森田「っ…やっっったぁぁあ!!!」
「よく頑張ったね、ほんとに。」
「頑張った…、」
森田「ふふ、本当に頑張ったね。」
「お祝いのケーキでも買いに行こっか。」
「…ケーキよりも先に、ひかるちゃんが欲しい。」
森田「っ…、いいん、?」
「そーゆう約束でしょ?」
森田「…、」
ひかるちゃんが喉を鳴らした。
苦しくて、気持ち良い時間の始まりだ。
-Fin-
日が暮れた帰り道、何敗もしてきた就活の日々。
限界が来たのは突然だった。
踵の痛みと、溢れて止まらない涙。
歩くことすら出来なくなって、近くにあったベンチに座る。みっともなくて、恥ずかしい。
自己を語り、押し、そして落とされる。
それはまるで私を否定されているようで、辛くて、苦しくて、今にでも逃げ出したかった。
誰かに、縋りたかった。
森田「…これ、絆創膏、」
「っ…、ひかる、ちゃん。」
ふと横から現れたひかるちゃんは、学校帰りのようでちょっと進んだ先にはひかるちゃんと同じ制服の女の子たちの後ろ姿が見えた。
見付けて、わざわざこっちに来てくれたんだろうか、こんなみっともない幼馴染のところに。
森田「足貸して、痛いやろ。」
「…、」
森田「うわ、デロデロ、よくこんなんで歩き続けとったね、」
制服が汚れることも気にしないで地面に片膝をついて、麗奈の踵に絆創膏を貼ってくれる。
ひかるちゃんは、優しくて、出来た人。
きっと麗奈みたいに失敗が続くことなんてない。
森田「ん…、これで痛み和らぐといいんやけど、」
「ありが……、ひかる、ちゃん?」
ありがとう、そう言おうとして顔を上げた途端立ち上がったひかるちゃんに強く抱き締められる。
暖かくて、優しい温度。安心する匂い。
駄目だ、また、泣いちゃう。
森田「麗奈ちゃんは誰よりも頑張っとう、私が寝る時も麗奈ちゃんの部屋いっつも明かりついとって、夜遅くまであんなに頑張っとるんやけ、絶対報われる。報われるから。」
そう言ってくれるひかるちゃんの声も震えていて、麗奈の為にそんなに思ってくれているんだな、なんて嬉しく思う。
「ありがとう、ひかるちゃん、っ、」
体を離して、出来た距離。
でも、ひかるちゃんの腕は麗奈の首にかかったまま。
森田「…、ふふ、こうやって顔合わせて話せるんも久々やね。」
「確かに、最近ずっと時間合わなかったもんね。」
森田「麗奈ちゃんの顔見れて嬉しい。会えて、嬉しい。」
「っ…、ふふ、麗奈も。」
別に付き合ってるわけじゃない。
でもお互いに好き同士で、どちらかが踏み出せば変わる関係。それを知っているのは麗奈だけ。
森田「…、もう1回、抱きしめてもよか?」
「うん、ぎゅってして、」
森田「っ…、」
今度は何を言うでもなくただ強く抱きしめられるだけ。耳の近くで鳴るひかるちゃんの心臓が、ひかるちゃんを表しているようで、笑みがこぼれてしまう。
森田「ん〜?ふふ、なん?」
「ひかるちゃんの心臓、ドキドキしてる。」
森田「そりゃ……、」
「ん〜?そりゃなに??」
森田「…なんでもないけ、気にせんで。」
「麗奈、告白はされたい方です。」
森田「え…、」
「好きって言ってもらいたいし、毎日可愛いって思って欲しい。嫉妬だって沢山しちゃう。」
「でもね、誰よりもひかるちゃんを好きでいる自信があるよ。」
森田「っ…、」
きっと、年下のひかるちゃんにアテられて生まれた年上の余裕。ほら、今だって麗奈の言葉にひかるちゃんの顔は真赤っか。
「ふふ、」
森田「…ずっと麗奈ちゃんが好きやった。」
「過去形なの〜?」
森田「…、ずっと好き。」
「ふふ、うん。」
森田「だから、付き合ってください、」
「はい、お願いします。」
森田「っ…ほんとに?もう我慢せんでもいいん?私の麗奈ちゃんなん?」
「そうだよ、ひかるの麗奈。」
「我慢なんてしないで?」
ここが外だということも忘れて、降り注がれるひかるちゃんからのキスに応える。
「んっ…はぁっ、ひかるっ、ちゃん、」
空いた隙間に舌が入ってきて、絡まって、熱い。苦しい。気持ちいい。
森田「…はぁっ、はぁ、ごめん、がっつきすぎた、」
「ふふ、高校生だね。」
「続きは、麗奈が内定貰えてからね?」
森田「っ…、麗奈ちゃんならすぐ取れるけ、お預けにならんね。」
「ふふ、だといいけどな〜。」
今まであった不安はいつの間にか消えていた。
きっと目の前で照れくさそうに笑う彼女のお陰。
早く内定、取らないとな。
「ひかるちゃん!!!」
森田「おぉ、どうしたと、急に、え、もしかして、」
「内定!貰えたよ!!」
森田「っ…やっっったぁぁあ!!!」
「よく頑張ったね、ほんとに。」
「頑張った…、」
森田「ふふ、本当に頑張ったね。」
「お祝いのケーキでも買いに行こっか。」
「…ケーキよりも先に、ひかるちゃんが欲しい。」
森田「っ…、いいん、?」
「そーゆう約束でしょ?」
森田「…、」
ひかるちゃんが喉を鳴らした。
苦しくて、気持ち良い時間の始まりだ。
-Fin-