▶︎ 森田 田村
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今日は何かと上手くいかない日やった。
振りを間違えるし、立ち位置だって間違えて保乃ちゃんとぶつかってしまった。
訂正部分を覚えたと思ったら既存の振りを思い出せんくて、悔しくて、久々に結構なダメージをおった。
数人のメンバーが残る中、ただひたすら鏡に向かって森田ひかるを作り上げていく。
誰かに見ていて欲しいんじゃない、見せつけたいわけでもない、ただ、何処からでも私を見つけてもらえるように、頑張りたいんだ。
キュッ キュッ ダンッ ダンッ
振りに集中すると、呼吸を忘れてしまう。
一息ついた時には、酸素が頭に追いつくことなく、床に崩れ落ちた。
田村「ひぃちゃん!!!」
膝から崩れ落ちて、浅い呼吸を繰り返す私を強く、強く、抱き締めてくれた保乃ちゃんは、何故か今にも泣き出しそうで、そこでやっと気づく。
ここに残っていたのは、私と保乃ちゃんだけだったということに。
「保乃、ちゃん、」
田村「大丈夫、大丈夫やから、」
昔から、本当に初期の頃から、気持ちを上手く伝えられない私の事を保乃ちゃんはよく抱きしめてくれた。
「…、」
言いたいことは沢山あるのに、それに当て嵌る言葉が多すぎて選びきれない。1つでも間違えてしまえば、その言葉が、誰かを、苦しめるものになってしまうかもしれないから。
「…ごめん、ありがとう、」
田村「んーん、どこも怪我してない?大丈夫?」
「うん、」
私の目線に合わせるように膝立ちをしてくれていた保乃ちゃんは、安心したような顔をして、そのまま床に座り込んだ。
田村「レッスンが終わって、2時間。」
「ひぃちゃん、ずーっと踊ってたな、」
「2時間…、」
田村「皆帰ってくのに、それにも気づいてないみたいやったし、ふふ、集中力ほんま凄いなぁ。」
きっと保乃ちゃんは、私が話し出しやすいように会話をしてくれている。その優しさが、温かさが、大好きやった。
「…、」
田村「保乃の前では、何も考えなくてええ。」
「だって、保乃たち恋人やろ?」
私の手をぎゅっと握り締めて、そんな言葉をかけてくれた保乃ちゃんに胸がキュッと苦しくなって、今度は私から抱き着いた。
田村「おわっ…、ふふ、大丈夫、大丈夫。」
ポンポンと私の背中を撫でる保乃ちゃんのリズムが心地よくて、気が付けば口を開いていた。
「…、なんか、上手くいかんくて、」
田村「うん。」
「出来ないことが続いて、それが悔しくて。誰かに見せ付けたくて踊ってる訳やない、ただ、何処にいても見つけて貰えるように踊っていたい、とか、色々考えとったら、呼吸するの忘れてて、」
田村「そっか、そっか。」
「ひぃちゃんらしいなぁ、ふふ、保乃はちゃんと見てるで、頑張ってる事も、それを鼻にかけないところも、ちゃんと見てるから。」
「っ…うん、」
田村「ひぃちゃんのパフォーマンスは何処にいても光ってる、お世辞とか、そんなんやなくて、ほんまに思ってる。」
田村「でもな、もう少しだけ、自分のことも大切にして欲しい。ひぃちゃんが保乃を大切に思ってくれてるように、保乃もひぃちゃんを大切に思ってて、そんなひぃちゃんが自分を削るように頑張る姿は、見てる保乃も苦しい。」
「っ…、」
田村「だから、少しだけ、自分のこともちゃんと大切にしてあげて?」
「…ん、うん、大切にする、自分の事も、保乃ちゃんのことも。」
田村「ふふ、約束な?」
「うん。」
私の両頬を手の平で包んで、満面の笑みで笑う保乃ちゃんに心のモヤがすっと溶けていくような気がした。
田村「あ、」
「ん?」
田村「そういえば、今日、瞳月ちゃんとハグしてたやろ!」
「え、なん、急に、」
田村「そうや、保乃それでひぃちゃん怒ろうと思ってたんや、なにあの距離!近すぎやろ!」
「えー、いや、えー、そうやった?」
田村「あんなん、あとちょっと近かったらチュー出来ちゃうやん。保乃のひぃちゃんやろ?」
「ふふ、そんな心配せんくても、ちゅーなんかせんよ。私が好きなのも、ちゅーしたいって思うのも全部保乃ちゃんやけ、」
田村「ふふ、余所見したらほんまどつき回すで。」
「…、関西怖か〜、」
田村「あ!こら逃げるな!!」
「ふふ、追いかけてこんでー!!」
田村「元バレー部舐めちゃあかんよ!」
「おわっ…、ふふ、」
レッスン室で始まった追いかけっこは、数分も経たずに保乃ちゃんの腕の中に仕舞い込まれて終わりを告げた。
田村「離さへん。」
「うっ…苦しい、」
田村「これが保乃の愛やで?」
「…んー、保乃ちゃんからの愛にしては弱いなぁ、」
田村「あー、言ったな??」
「ふふ、嘘、嘘やって!苦しい!ほんと死んじゃう!」
田村「ふふ、…んっ、なに急に、」
「好きっち思ったから、」
「言ったやろ?チューしたいって思うのは保乃ちゃんだけって。」
田村「だからって、急にされたら心臓持たへん、」
「ふふ、かわいい、」
「保乃ちゃん、ありがとう。」
田村「ん〜、ふふ、保乃こそありがとう。」
この後2人でモップ掛けをしてる間に鬼ごっこ第2弾が始まったのは、また別の機会に。
-Fin-
振りを間違えるし、立ち位置だって間違えて保乃ちゃんとぶつかってしまった。
訂正部分を覚えたと思ったら既存の振りを思い出せんくて、悔しくて、久々に結構なダメージをおった。
数人のメンバーが残る中、ただひたすら鏡に向かって森田ひかるを作り上げていく。
誰かに見ていて欲しいんじゃない、見せつけたいわけでもない、ただ、何処からでも私を見つけてもらえるように、頑張りたいんだ。
キュッ キュッ ダンッ ダンッ
振りに集中すると、呼吸を忘れてしまう。
一息ついた時には、酸素が頭に追いつくことなく、床に崩れ落ちた。
田村「ひぃちゃん!!!」
膝から崩れ落ちて、浅い呼吸を繰り返す私を強く、強く、抱き締めてくれた保乃ちゃんは、何故か今にも泣き出しそうで、そこでやっと気づく。
ここに残っていたのは、私と保乃ちゃんだけだったということに。
「保乃、ちゃん、」
田村「大丈夫、大丈夫やから、」
昔から、本当に初期の頃から、気持ちを上手く伝えられない私の事を保乃ちゃんはよく抱きしめてくれた。
「…、」
言いたいことは沢山あるのに、それに当て嵌る言葉が多すぎて選びきれない。1つでも間違えてしまえば、その言葉が、誰かを、苦しめるものになってしまうかもしれないから。
「…ごめん、ありがとう、」
田村「んーん、どこも怪我してない?大丈夫?」
「うん、」
私の目線に合わせるように膝立ちをしてくれていた保乃ちゃんは、安心したような顔をして、そのまま床に座り込んだ。
田村「レッスンが終わって、2時間。」
「ひぃちゃん、ずーっと踊ってたな、」
「2時間…、」
田村「皆帰ってくのに、それにも気づいてないみたいやったし、ふふ、集中力ほんま凄いなぁ。」
きっと保乃ちゃんは、私が話し出しやすいように会話をしてくれている。その優しさが、温かさが、大好きやった。
「…、」
田村「保乃の前では、何も考えなくてええ。」
「だって、保乃たち恋人やろ?」
私の手をぎゅっと握り締めて、そんな言葉をかけてくれた保乃ちゃんに胸がキュッと苦しくなって、今度は私から抱き着いた。
田村「おわっ…、ふふ、大丈夫、大丈夫。」
ポンポンと私の背中を撫でる保乃ちゃんのリズムが心地よくて、気が付けば口を開いていた。
「…、なんか、上手くいかんくて、」
田村「うん。」
「出来ないことが続いて、それが悔しくて。誰かに見せ付けたくて踊ってる訳やない、ただ、何処にいても見つけて貰えるように踊っていたい、とか、色々考えとったら、呼吸するの忘れてて、」
田村「そっか、そっか。」
「ひぃちゃんらしいなぁ、ふふ、保乃はちゃんと見てるで、頑張ってる事も、それを鼻にかけないところも、ちゃんと見てるから。」
「っ…うん、」
田村「ひぃちゃんのパフォーマンスは何処にいても光ってる、お世辞とか、そんなんやなくて、ほんまに思ってる。」
田村「でもな、もう少しだけ、自分のことも大切にして欲しい。ひぃちゃんが保乃を大切に思ってくれてるように、保乃もひぃちゃんを大切に思ってて、そんなひぃちゃんが自分を削るように頑張る姿は、見てる保乃も苦しい。」
「っ…、」
田村「だから、少しだけ、自分のこともちゃんと大切にしてあげて?」
「…ん、うん、大切にする、自分の事も、保乃ちゃんのことも。」
田村「ふふ、約束な?」
「うん。」
私の両頬を手の平で包んで、満面の笑みで笑う保乃ちゃんに心のモヤがすっと溶けていくような気がした。
田村「あ、」
「ん?」
田村「そういえば、今日、瞳月ちゃんとハグしてたやろ!」
「え、なん、急に、」
田村「そうや、保乃それでひぃちゃん怒ろうと思ってたんや、なにあの距離!近すぎやろ!」
「えー、いや、えー、そうやった?」
田村「あんなん、あとちょっと近かったらチュー出来ちゃうやん。保乃のひぃちゃんやろ?」
「ふふ、そんな心配せんくても、ちゅーなんかせんよ。私が好きなのも、ちゅーしたいって思うのも全部保乃ちゃんやけ、」
田村「ふふ、余所見したらほんまどつき回すで。」
「…、関西怖か〜、」
田村「あ!こら逃げるな!!」
「ふふ、追いかけてこんでー!!」
田村「元バレー部舐めちゃあかんよ!」
「おわっ…、ふふ、」
レッスン室で始まった追いかけっこは、数分も経たずに保乃ちゃんの腕の中に仕舞い込まれて終わりを告げた。
田村「離さへん。」
「うっ…苦しい、」
田村「これが保乃の愛やで?」
「…んー、保乃ちゃんからの愛にしては弱いなぁ、」
田村「あー、言ったな??」
「ふふ、嘘、嘘やって!苦しい!ほんと死んじゃう!」
田村「ふふ、…んっ、なに急に、」
「好きっち思ったから、」
「言ったやろ?チューしたいって思うのは保乃ちゃんだけって。」
田村「だからって、急にされたら心臓持たへん、」
「ふふ、かわいい、」
「保乃ちゃん、ありがとう。」
田村「ん〜、ふふ、保乃こそありがとう。」
この後2人でモップ掛けをしてる間に鬼ごっこ第2弾が始まったのは、また別の機会に。
-Fin-