▶︎ 森田 田村
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
カシャ
シャッターを切る音が響く。
誰も居ない、脇道。
久々に感じる外の空気に、ほんの少しだけ自由を感じた。
「あ、猫…、」
何もない公園の芝生に寝っ転がって私を見つめている三毛猫。あまりの動じなさについ笑みがこぼれて、そのまま手を伸ばしてみた。
「…触らしてくれるんだ。」
もふもふの毛を優しく撫でれば気持ちよさそうな顔をして、更に身体を平べったくしていく姿が可愛くて、カメラを構えてシャッターを切った。
田村「あ、ミケや〜、ふふ、覚えてる〜?」
突然頭の上から振ってきた関西弁を乗せた優しい声は、そのまま私の右隣へと降りてきて、カメラを下ろして顔を向ければ、それはそれは綺麗で可愛いお姉さんが三毛猫を撫でていた。
栗色の柔らかそうな髪、笑うと浮かぶ笑窪、優しさがこれでもかと言うくらい全面的に出ている人間を初めて目にした。
きっと、一目惚れやった。
彼女にしたいっち、思ってしまった。
カシャ
田村「…あ〜、今撮ったやろ?」
「え、あ、ごめんなさい、お姉さんが綺麗で、消します、すぐ消します、」
気がつけばカメラを構えてシャッターを切ってしまっていた。こんなんじゃ盗撮で訴えられてしまう。
田村「ふふ、ええよ、あ、田村保乃です。」
「森田、ひかるです。」
田村「ひぃちゃん、ふふ、カメラ好きなん?」
「ん〜、うん、好き。」
田村「理由とかあるん?」
「…外に連れ出してくれるから、かな。」
「私、外が苦手で、騒々しいし、色んな人の感情が沢山聞こえてくるっていうか、ごめん、変なこと言っとるね、」
田村「んーん、それ、分かる気がする。」
「え?」
田村「保乃達にとって、外の世界は居心地が悪いねんな。自由すぎて、何も出来ひん。」
きっとこの気持ちを言語化することは難しい。
けれど、保乃ちゃんの言っていることが凄く共感できて、何だか、嬉しかった。
田村「毎日散歩してるん?」
「んーん、1週間に1回くらい、それ以外はずっとお家に居るよ。」
田村「そっか、なら、来週、またここに同じ時間に来るからさ、会えへん?」
「っ…、待っとるね。」
田村「ふふ、うん。」
「ほな、またな、ひぃちゃん。」
「また。」
この日から週に1回だけ保乃ちゃんと会う日が続いた。最初は公園の前で、慣れてからは、カフェ、川、映画館、色んな所で待ち合わせをした。
いつの間にか、手に取るのはカメラではなく、保乃ちゃんの手になっていた。
田村「ケーキ、美味しかったなぁ。」
「美味しそうに食べとったもんね。」
田村「だって美味しかったんやもん。」
そう言って可愛く笑う保乃ちゃんが愛しくて、そっとカメラを取りだして、シャッターを切る。
もう何枚撮ってきたか分からない彼女の写真。
データ化するにはまだ勿体なくて、けれど、傍に置いておきたくて、そんな気持ちが木霊する。
田村「…ひぃちゃんは、なんでカメラが好きなん?」
「…色んな保乃ちゃんを閉じ込められるから。」
田村「ふふ、外に連れ出してくれるからやないん?」
「だって、保乃ちゃんが外に連れ出してくれてるじゃん。私の外に出る理由になってくれてるやろ。」
保乃ちゃんと居る時は騒々しさも、すれ違う人々の感情も、保乃ちゃんを移すフォーカスとしかならなかった。外に居ても、息がしやすかった。
田村「保乃な、初めてひぃちゃんを見た時に、この子の人生になりたいって思ったんよ。」
「…ふふ、多分、一目惚れ、したんやと思う。」
「っ…、」
田村「色んなひぃちゃんを知る度にその思いは強くなってくばかりで、もうどうしようもなくなっちゃった。」
「…、」
田村「ひぃちゃんのことが好きです。保乃と、付き合ってください。」
頬を赤らめながら、手を伸ばす保乃ちゃんが、凄く綺麗で、綺麗で、本当に綺麗で、心のシャッターを切りながらその手を握った。
「私も一目惚れ、しとった。」
田村「っ…ほんまに?」
「うん、一目見た時から彼女にしたいっち思ってた。」
田村「嬉しい、、好き、大好き。」
「私も、好き。」
騒々しいこの世界は、保乃ちゃんをフォーカスするにはまだ静かすぎるくらいで、物足りない。
いつか、最高の1枚が撮れた時、その時は彼女に一生を誓おう。
そんな思いを込めながら、シャッターを切った。
-Fin-
シャッターを切る音が響く。
誰も居ない、脇道。
久々に感じる外の空気に、ほんの少しだけ自由を感じた。
「あ、猫…、」
何もない公園の芝生に寝っ転がって私を見つめている三毛猫。あまりの動じなさについ笑みがこぼれて、そのまま手を伸ばしてみた。
「…触らしてくれるんだ。」
もふもふの毛を優しく撫でれば気持ちよさそうな顔をして、更に身体を平べったくしていく姿が可愛くて、カメラを構えてシャッターを切った。
田村「あ、ミケや〜、ふふ、覚えてる〜?」
突然頭の上から振ってきた関西弁を乗せた優しい声は、そのまま私の右隣へと降りてきて、カメラを下ろして顔を向ければ、それはそれは綺麗で可愛いお姉さんが三毛猫を撫でていた。
栗色の柔らかそうな髪、笑うと浮かぶ笑窪、優しさがこれでもかと言うくらい全面的に出ている人間を初めて目にした。
きっと、一目惚れやった。
彼女にしたいっち、思ってしまった。
カシャ
田村「…あ〜、今撮ったやろ?」
「え、あ、ごめんなさい、お姉さんが綺麗で、消します、すぐ消します、」
気がつけばカメラを構えてシャッターを切ってしまっていた。こんなんじゃ盗撮で訴えられてしまう。
田村「ふふ、ええよ、あ、田村保乃です。」
「森田、ひかるです。」
田村「ひぃちゃん、ふふ、カメラ好きなん?」
「ん〜、うん、好き。」
田村「理由とかあるん?」
「…外に連れ出してくれるから、かな。」
「私、外が苦手で、騒々しいし、色んな人の感情が沢山聞こえてくるっていうか、ごめん、変なこと言っとるね、」
田村「んーん、それ、分かる気がする。」
「え?」
田村「保乃達にとって、外の世界は居心地が悪いねんな。自由すぎて、何も出来ひん。」
きっとこの気持ちを言語化することは難しい。
けれど、保乃ちゃんの言っていることが凄く共感できて、何だか、嬉しかった。
田村「毎日散歩してるん?」
「んーん、1週間に1回くらい、それ以外はずっとお家に居るよ。」
田村「そっか、なら、来週、またここに同じ時間に来るからさ、会えへん?」
「っ…、待っとるね。」
田村「ふふ、うん。」
「ほな、またな、ひぃちゃん。」
「また。」
この日から週に1回だけ保乃ちゃんと会う日が続いた。最初は公園の前で、慣れてからは、カフェ、川、映画館、色んな所で待ち合わせをした。
いつの間にか、手に取るのはカメラではなく、保乃ちゃんの手になっていた。
田村「ケーキ、美味しかったなぁ。」
「美味しそうに食べとったもんね。」
田村「だって美味しかったんやもん。」
そう言って可愛く笑う保乃ちゃんが愛しくて、そっとカメラを取りだして、シャッターを切る。
もう何枚撮ってきたか分からない彼女の写真。
データ化するにはまだ勿体なくて、けれど、傍に置いておきたくて、そんな気持ちが木霊する。
田村「…ひぃちゃんは、なんでカメラが好きなん?」
「…色んな保乃ちゃんを閉じ込められるから。」
田村「ふふ、外に連れ出してくれるからやないん?」
「だって、保乃ちゃんが外に連れ出してくれてるじゃん。私の外に出る理由になってくれてるやろ。」
保乃ちゃんと居る時は騒々しさも、すれ違う人々の感情も、保乃ちゃんを移すフォーカスとしかならなかった。外に居ても、息がしやすかった。
田村「保乃な、初めてひぃちゃんを見た時に、この子の人生になりたいって思ったんよ。」
「…ふふ、多分、一目惚れ、したんやと思う。」
「っ…、」
田村「色んなひぃちゃんを知る度にその思いは強くなってくばかりで、もうどうしようもなくなっちゃった。」
「…、」
田村「ひぃちゃんのことが好きです。保乃と、付き合ってください。」
頬を赤らめながら、手を伸ばす保乃ちゃんが、凄く綺麗で、綺麗で、本当に綺麗で、心のシャッターを切りながらその手を握った。
「私も一目惚れ、しとった。」
田村「っ…ほんまに?」
「うん、一目見た時から彼女にしたいっち思ってた。」
田村「嬉しい、、好き、大好き。」
「私も、好き。」
騒々しいこの世界は、保乃ちゃんをフォーカスするにはまだ静かすぎるくらいで、物足りない。
いつか、最高の1枚が撮れた時、その時は彼女に一生を誓おう。
そんな思いを込めながら、シャッターを切った。
-Fin-