▶︎ 森田ひかる
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森田「hkr!久しぶりやね。」
3年ぶりに元カノにあった。
偶然でも何でもなくて、元カノに会いに東京から福岡へやってきた。
別れた原因は私の上京。3年前、福岡から東京の大学へ進学した。遠距離は出来ないと、お互い分かっていた、だから、別れて、連絡だって断った。それなのに、ふとしたきっかけで連絡を取り合うようになって、気が付けば友達のように話す仲になってしまった。
だから、"友達"として、"元カノ"に会いに福岡へやってきた。"友達"になるしか私には出来なかった。理由は簡単で、ひかるには1年付き合っている彼氏が居るから。
『久しぶり。』
森田「ふふ、会いたかったよ〜。」
付き合っていた頃のような笑顔で、でも何処か緊張した様子のひかるは控えめに私の袖を握って駐車場まで連れて行ってくれた。
『お、森田さんの運転姿見れちゃうって事ですか〜??』
森田「ふふっ、そんな大したもんやないけど、安全運転で頑張ります。」
付き合っていた頃はまだお互い免許なんか取っていなかったから助手席から見るひかるの運転姿は慣れないもので、表情で心が見透かされてしまわないように窓の外をずっと眺めていた。
『うわー、ふふ、福岡だ。』
森田「そうですよ〜、福岡です〜。」
車が止まって、チラッとみたひかるの横顔、そのまま目線はバンドルへ下りていって、気付いてしまった。左薬指にある、境界線に。
そりゃそっか、1年だもんね、ペアリングとか付けるか。分かっていたのに、いざその光景を前にしてしまうと心は易々と傷付いてしまう。
もう、私のひかるじゃないんだ。
森田「森田曲がりまーす。」
『はーい。』
友達のように、私達は時間を過ごした。
海に行って、ラーメン食べて、神社行って、もつ鍋を食べて……なんて、王道デートのように福岡を観光したあとやってきた、ホテル。
ホテル側のミスか、ひかるの予約間違いか分からないけれど、私もひかるも予想していなかったダブルベットの位置に思わず笑ってしまう。
森田「ふはっ、こんなんダブルベッドやなくてキングベッドやん笑笑」
ひかるが取ったであろう部屋の写真はちゃんとベッドの間にスペースがあるのに、私たちの部屋のベッドはくっついていて、それを少しだけ、いや、かなり嬉しく思ってしまった。
『まーー広く寝れるってことで!』
『先シャワー借りるね。』
森田「うん!行ってらっしゃい!」
『いってきまーす。』
一日分の汚れと、この浮ついた気持ちを流すようにシャワーを浴びて、気持ちを落ち着かせる。
3年ぶりのひかるは、あまり変わっていない。相変わらず誰よりも可愛くて、ツボは浅めで、周りをよく見ていて、価値観が合う。今日は何回ひかるに釣られて笑ったんだろう。こんなに笑ったの、久しぶりだな。
『あがりましたー。』
森田「ん、おかえり、ふふ、夏鈴が楽しんで〜って。」
『ただいま。夏鈴君にお借りしますって伝えといて。』
なんて笑ったけど、やっぱりズシッと重いものが心にくる。分かってる、夏鈴君のひかるで、私はただの友達。分かってるのに。
森田「はーい。って事で、お風呂入ってきまーす。」
『どうぞー。』
寝間着を手に持ったひかるは、机の上に指輪を置いた。何も嵌められていない左薬指を見て、心底嬉しく思う。ずっと、外してくれればいいのに、なんて馬鹿なことを考えた。
森田「…おはよう?」
『っ…、びっくりした、おかえり、』
気が付けば、ベッドの背もたれに寄り掛かりながら寝てしまっていたようで、頭に置かれた手の感覚で目が覚めた。
目が覚めて、ひかるが"おはよう?"なんて少し笑う。ああ、かわいい。
感情のままひかるの頬に手を伸ばしてしまって、後戻りの言い訳を考えていなかった。
だから、焦って摘むようにひかるの頬に触れて"モチモチじゃーん"なんて笑った。
森田「ふふ、ちゃんとケアしたもん。」
私の手に重なるひかるの左手。まだ、薬指に指輪はついていない。良かった。
『そっか、偉い。』
森田「偉いやろ〜、さ、髪の毛乾かしまーす。」
ベッドから降りて、すぐ横にある椅子に座ってドライヤーをつけたひかる。その背中に合わせるように背中をくっつけて、温風と、流れてくるひかるのシャンプーの匂いで心が満たされていく。
付き合ってる頃は、背中合わせじゃなくて、私の腕の中にいたんだけどなぁ。
森田「ねーえー?」
『はーい?』
森田「え、声聞こえよる?」
『聞こえてるよ。』
ドライヤーの風の音の中から聞こえる、ひかるの声。一語一句聞き逃さないように、もう少しだけくっついた。
森田「会えて良かった。」
『っ…私も、ほんっーとに良かったよ。』
森田「今日1日、こんっなに笑ったのほんとに久しぶりやけ、明日が来てほしくないっち思う。」
『ふふ、なに可愛いこと言ってんのーー。』
森田「やって……、」
『えーー?ちょ、声小さい、なんてー?』
森田「もーー、なんでもない!ん、乾いた!」
『え、ちょっと、そーゆう時ってなんでもない事ないでしょう。』
なんて、振り返って言えば、思ったよりも距離は近くて、ドギマギしてしまう。
ひかるは何も言わない、ただちょっと笑って、私をじっと見てくるだけ。ここで、キスでもしてしまえばもう会えなくなってしまうだろうか、全て終わってしまうのだろうか、なんて考えたらそんなこと出来なくて、可愛い顔!!なんて頬を挟んで言ってやった。
森田「んんー、ふふ、トランプやろっか。」
『……ん、やろ!』
それを皮切りに、ひかるは指輪を嵌めて、トランプをきった。
森田「そろそろ搭乗せんと行かんね。」
『…はぁ、ほんっと帰りたくない。』
森田「ふふ、嫌やね。」
『…次いつ会えるかなー、』
森田「次は私が東京行く。」
『お、来てくれる?あ、でもそしたら夏鈴君も一緒か。』
森田「夏鈴は行かんよ、笑笑」
「私がhkrに会いたいけ、1人で会いに行く。」
『っ…、そっ、か、ふふ、待ってる!』
森田「うん、じゃあ、そろそろやね。」
『…うん、』
本当は手紙を書いていた。
ひかるのことがまだ好きなこと、でも、最後の1行には夏鈴君と幸せになってね、なんて一言を添えた、笑えるほど未練タラタラな手紙。
森田「…、」
人混みが私の背中を押した。
ドンッと近づいた距離に乗って、1度だけ強くひかるを抱きしめた。
森田「っ…、」
『…また会いに来るから。まだ、結婚、しないでね。』
森田「ふふ、せんよ、また、会いに来てね。」
『ん、またね。』
手紙は渡さなかった。
夏鈴君と幸せになってね、なんてやっぱり言いたくなかった。
バイバイをして、飛行機に乗る。
ありがとうと、帰りたくなかったなー、なんて連絡を送れば、【帰らんで欲しかった、とか言ってあげる。】なんて、返ってきて飛行機の中で心臓がギュッとなった。
2時間のフライトを終えて、電波を戻す。
通知は溜まっていて、開けば、バイバイを実感して泣きそうなんやけど。なんて言葉を文の中から見つけた。
ひかるは、私の気持ちに気付いていてこんなことを言ってるのだろうか。
分からない。分からないまま、返事を返す。
渡せなかった手紙は、捨てて、もう一度書き直そう。今度は、夏鈴君と幸せになってね、なんて言葉は入れない。
文の最後には、まだ、結婚しないでね。なんて言葉を添えた。
次はいつ会えるのか、分からない。
心は寂しさと、苦しさ。
私はきっと、ひかるを忘れられない。
あの指輪が、本当の境目になってしまう日まで、彼女を想う。
-Fin-
3年ぶりに元カノにあった。
偶然でも何でもなくて、元カノに会いに東京から福岡へやってきた。
別れた原因は私の上京。3年前、福岡から東京の大学へ進学した。遠距離は出来ないと、お互い分かっていた、だから、別れて、連絡だって断った。それなのに、ふとしたきっかけで連絡を取り合うようになって、気が付けば友達のように話す仲になってしまった。
だから、"友達"として、"元カノ"に会いに福岡へやってきた。"友達"になるしか私には出来なかった。理由は簡単で、ひかるには1年付き合っている彼氏が居るから。
『久しぶり。』
森田「ふふ、会いたかったよ〜。」
付き合っていた頃のような笑顔で、でも何処か緊張した様子のひかるは控えめに私の袖を握って駐車場まで連れて行ってくれた。
『お、森田さんの運転姿見れちゃうって事ですか〜??』
森田「ふふっ、そんな大したもんやないけど、安全運転で頑張ります。」
付き合っていた頃はまだお互い免許なんか取っていなかったから助手席から見るひかるの運転姿は慣れないもので、表情で心が見透かされてしまわないように窓の外をずっと眺めていた。
『うわー、ふふ、福岡だ。』
森田「そうですよ〜、福岡です〜。」
車が止まって、チラッとみたひかるの横顔、そのまま目線はバンドルへ下りていって、気付いてしまった。左薬指にある、境界線に。
そりゃそっか、1年だもんね、ペアリングとか付けるか。分かっていたのに、いざその光景を前にしてしまうと心は易々と傷付いてしまう。
もう、私のひかるじゃないんだ。
森田「森田曲がりまーす。」
『はーい。』
友達のように、私達は時間を過ごした。
海に行って、ラーメン食べて、神社行って、もつ鍋を食べて……なんて、王道デートのように福岡を観光したあとやってきた、ホテル。
ホテル側のミスか、ひかるの予約間違いか分からないけれど、私もひかるも予想していなかったダブルベットの位置に思わず笑ってしまう。
森田「ふはっ、こんなんダブルベッドやなくてキングベッドやん笑笑」
ひかるが取ったであろう部屋の写真はちゃんとベッドの間にスペースがあるのに、私たちの部屋のベッドはくっついていて、それを少しだけ、いや、かなり嬉しく思ってしまった。
『まーー広く寝れるってことで!』
『先シャワー借りるね。』
森田「うん!行ってらっしゃい!」
『いってきまーす。』
一日分の汚れと、この浮ついた気持ちを流すようにシャワーを浴びて、気持ちを落ち着かせる。
3年ぶりのひかるは、あまり変わっていない。相変わらず誰よりも可愛くて、ツボは浅めで、周りをよく見ていて、価値観が合う。今日は何回ひかるに釣られて笑ったんだろう。こんなに笑ったの、久しぶりだな。
『あがりましたー。』
森田「ん、おかえり、ふふ、夏鈴が楽しんで〜って。」
『ただいま。夏鈴君にお借りしますって伝えといて。』
なんて笑ったけど、やっぱりズシッと重いものが心にくる。分かってる、夏鈴君のひかるで、私はただの友達。分かってるのに。
森田「はーい。って事で、お風呂入ってきまーす。」
『どうぞー。』
寝間着を手に持ったひかるは、机の上に指輪を置いた。何も嵌められていない左薬指を見て、心底嬉しく思う。ずっと、外してくれればいいのに、なんて馬鹿なことを考えた。
森田「…おはよう?」
『っ…、びっくりした、おかえり、』
気が付けば、ベッドの背もたれに寄り掛かりながら寝てしまっていたようで、頭に置かれた手の感覚で目が覚めた。
目が覚めて、ひかるが"おはよう?"なんて少し笑う。ああ、かわいい。
感情のままひかるの頬に手を伸ばしてしまって、後戻りの言い訳を考えていなかった。
だから、焦って摘むようにひかるの頬に触れて"モチモチじゃーん"なんて笑った。
森田「ふふ、ちゃんとケアしたもん。」
私の手に重なるひかるの左手。まだ、薬指に指輪はついていない。良かった。
『そっか、偉い。』
森田「偉いやろ〜、さ、髪の毛乾かしまーす。」
ベッドから降りて、すぐ横にある椅子に座ってドライヤーをつけたひかる。その背中に合わせるように背中をくっつけて、温風と、流れてくるひかるのシャンプーの匂いで心が満たされていく。
付き合ってる頃は、背中合わせじゃなくて、私の腕の中にいたんだけどなぁ。
森田「ねーえー?」
『はーい?』
森田「え、声聞こえよる?」
『聞こえてるよ。』
ドライヤーの風の音の中から聞こえる、ひかるの声。一語一句聞き逃さないように、もう少しだけくっついた。
森田「会えて良かった。」
『っ…私も、ほんっーとに良かったよ。』
森田「今日1日、こんっなに笑ったのほんとに久しぶりやけ、明日が来てほしくないっち思う。」
『ふふ、なに可愛いこと言ってんのーー。』
森田「やって……、」
『えーー?ちょ、声小さい、なんてー?』
森田「もーー、なんでもない!ん、乾いた!」
『え、ちょっと、そーゆう時ってなんでもない事ないでしょう。』
なんて、振り返って言えば、思ったよりも距離は近くて、ドギマギしてしまう。
ひかるは何も言わない、ただちょっと笑って、私をじっと見てくるだけ。ここで、キスでもしてしまえばもう会えなくなってしまうだろうか、全て終わってしまうのだろうか、なんて考えたらそんなこと出来なくて、可愛い顔!!なんて頬を挟んで言ってやった。
森田「んんー、ふふ、トランプやろっか。」
『……ん、やろ!』
それを皮切りに、ひかるは指輪を嵌めて、トランプをきった。
森田「そろそろ搭乗せんと行かんね。」
『…はぁ、ほんっと帰りたくない。』
森田「ふふ、嫌やね。」
『…次いつ会えるかなー、』
森田「次は私が東京行く。」
『お、来てくれる?あ、でもそしたら夏鈴君も一緒か。』
森田「夏鈴は行かんよ、笑笑」
「私がhkrに会いたいけ、1人で会いに行く。」
『っ…、そっ、か、ふふ、待ってる!』
森田「うん、じゃあ、そろそろやね。」
『…うん、』
本当は手紙を書いていた。
ひかるのことがまだ好きなこと、でも、最後の1行には夏鈴君と幸せになってね、なんて一言を添えた、笑えるほど未練タラタラな手紙。
森田「…、」
人混みが私の背中を押した。
ドンッと近づいた距離に乗って、1度だけ強くひかるを抱きしめた。
森田「っ…、」
『…また会いに来るから。まだ、結婚、しないでね。』
森田「ふふ、せんよ、また、会いに来てね。」
『ん、またね。』
手紙は渡さなかった。
夏鈴君と幸せになってね、なんてやっぱり言いたくなかった。
バイバイをして、飛行機に乗る。
ありがとうと、帰りたくなかったなー、なんて連絡を送れば、【帰らんで欲しかった、とか言ってあげる。】なんて、返ってきて飛行機の中で心臓がギュッとなった。
2時間のフライトを終えて、電波を戻す。
通知は溜まっていて、開けば、バイバイを実感して泣きそうなんやけど。なんて言葉を文の中から見つけた。
ひかるは、私の気持ちに気付いていてこんなことを言ってるのだろうか。
分からない。分からないまま、返事を返す。
渡せなかった手紙は、捨てて、もう一度書き直そう。今度は、夏鈴君と幸せになってね、なんて言葉は入れない。
文の最後には、まだ、結婚しないでね。なんて言葉を添えた。
次はいつ会えるのか、分からない。
心は寂しさと、苦しさ。
私はきっと、ひかるを忘れられない。
あの指輪が、本当の境目になってしまう日まで、彼女を想う。
-Fin-