▶︎ 的野美青
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「コロナに、なっちゃって、」
『…そっ、か、由依さんの卒コンは出られそうにない、感じ?』
「…回復の見込み次第、って言われたんですけど、あんまり期待せん方がいいって、」
悔しかった。自分の自己管理不足が甘かったせいで由依さんの卒コンに出られないかもしれないことが。悔しくて、悔しくて、hkrさんに電話をかけてしまった。
『そっか…。』
『美青、誰のせいでもないから。今はゆっくり休んで、少しでも回復出来るようにしよう?』
「っ…はいっ、」
田村「hkr、リハ始まんで?」
『あ、うん、今行く。』
「すみません、忙しい時にかけちゃって。」
「私の事なんか気にせず、リハ頑張ってください。」
『終わったら、電話かけてもいい?』
「っ…でも、hkrさん忙しいし、」
『美青が嫌じゃなきゃ声聞きたい。』
「はいっ…、待ってます、」
『ん、じゃあちゃんと寝てご飯食べて、待ってて。』
「はいっ、頑張ってください。」
『ん、頑張るね。』
『じゃあまた、おやすみ、美青。』
「おやすみなさい、hkrさん。」
You side
美青がコロナにかかってしまった。私もライブ直前にかかって3日間中2日間でる事が出来ず悔しい思いをしたことがある。自分の管理不足を責めて、メンタルもぶれて、散々な期間だった。
美青にはそうなって欲しくないし、絶対にさせたくない。
だからといって電話しよう、なんて迷惑だったかな。寝て回復しろ、とか言っといて結局私が美青のこと起こしてんじゃん。
田村「hkr?」
『あ、ごめん、』
ボーっとしてたら、移動してきた保乃とぶつかってしまった。今は自分のことに集中しないと。
田村「なんかあったん?」
『…美青がコロナ陽性だったって。』
田村「え…、じゃあ、ゆいぽんさんの卒コン出れないん?」
『回復次第で…とは言ってたけど、声聞いた感じじゃ厳しいと思う。』
田村「…そっか、美青ちゃんゆいぽんさん推しなのになぁ、」
『…、』
美青にとって、由依さんは凄く大きな存在で、その穴は私には埋められないし、埋めようとも思えない。それくらい、私達にとって由依さんは大きくて、憧れで、大好きな存在。
美青がいつ戻ってきてもいいように、美青の立ち位置も覚えよう。
【アンコールで的野と小田倉復帰します!】
そんな声がイヤモニ越しから聞こえた。
すぐに着替えを終えて、舞台袖へ急げばそこには美青の姿があって、一週間以上ぶりの美青を強く強く抱き締めた。
的野「hkr、さんっ、」
『良かった、ほんとに良かった。』
『由依さんなら、着替え終わって階段のとこにいるよ、一瞬だけでも行ってきな。』
的野「っ…はい、」
美青が駆け足で由依さんの所へ向かっていく。
その姿を目で追っていれば、天井を仰いで唇を噛み締めてる保乃の姿が目に入った。
『保乃…。』
田村「hkr…、」
いつも泣いてるメンバーに寄り添うことが多い保乃は、自分が泣く時だけ誰の目にも入らないような所へ隠れてしまう。その強さが心配で、何度も保乃に救われてきたからこそ、頼って欲しいと思う。
『…。』
言いたいことは沢山あるけれど、それを言葉にするのは私には難しくて、だから、この想いが伝わるように保乃を腕の中にしまった。
田村「こんなとこ、美青ちゃんに見られたら、あかんやろっ、」
『保乃は特別だから。』
美青にはもう何度も話してきているし、そこの理解は美青だってしてくれている。
田村「っ…、そーゆん、辞めてや、」
『…え?』
聞いた事のない、保乃の尖った声。
心臓がギュッとなるくらい、不安に駆られる。
田村「特別特別って、何が特別なん?特別なら、なんで保乃を選んでくれなかったん?なぁ、なんでよ、」
『っ…、保乃、?』
田村「hkrの事、ずっと好きやったのに。」
「誰よりもずっと、好きやったのに!!」
そう言って、腕を振り払った保乃は、振り返ることもせずモニターの前へ行ってしまった。
この言葉の意味が、正解だとするのなら、私は、どうすればいいのだろう。
Mio side
由依さんのドレス姿を見て、ハグを1回だけしてから、hkrさんの所へ戻ってきた。いや、正確には戻ろうとした。けど、さっき居た場所にはもうhkrさんはいなくて、周りを探せば、保乃さんを抱きしめているhkrさんの姿が目に入った。
hkrさんにとって、保乃さんは特別で、他のメンバーさんよりも大事な存在。そんなの、頭では分かっていても、保乃さんの気持ちを知っている私からすれば、やっぱり不安で、いけないと分かっていても、コソッと2人に近づいて会話を盗み聞きしてしまった。
田村「hkrの事、ずっと好きやったのに。」
「誰よりもずっと、好きやったのに!」
そんな声が聞こえて、私の前を泣いてる保乃さんが通って行った。hkrさんは、呆然としていて、本当に気づいていなかったのか、なんて気持ちと、どんな答えを出すんだろう、なんて不安な気持ちが胸をいっぱいにする。
でも、その答えを聞けるほどの時間は私達にはなくて、一期さんの曲が終わり、私たちの出番となった。
You side
"卒業おめでとう"そんな言葉が飛び交う舞台裏で、私は保乃の姿を探した。
『保乃!!』
田村「っ…、hkr、」
『さっきは、いや、今まで、ごめん。』
『保乃の気持ち考えないで、沢山傷つけた。本当にごめん。』
田村「……保乃もごめん。ゆいぽんさんの卒業とか、8thの事で余裕、なくて、」
『んーん、言ってくれて、嬉しかった。』
『…私は、美青のことが好き。これからも、大事にしたいって思ってる。』
田村「っ…うん、」
『でも、狡いかもしれないけど、私にとって保乃は、本当に特別で、初めて頼れた人、だったから、この関係が壊れちゃうのは、嫌です、』
田村「っ…、」
『我儘言ってるのも、分かってるんだけど、保乃が傍に居てくれないと、乗り越えられない事って、ほんとに沢山あって、だから、その、これからも、頼らせて、欲しいです。』
田村「…もう、ほんま狡いやん。保乃が好きって知っててそんなこと言うなんて、罪な女やで?」
『っ…、うん、』
田村「…でも、ええ!なんか、気持ち伝えてスッキリした。これからは、ちゃんと同期として、hkrの傍におるから。特別な同期で居ってあげる!」
『ありがとう…、ほんとに、ありがとう。』
へにゃっと笑った保乃に心の底から安堵する。
私はまだ弱虫のままだな。
田村「…せや、美青ちゃんとこ行ってあげた?」
『あ、いや、まだ、』
田村「はよ行ってあげて、保乃が色々言った時美青ちゃん近くにおったから、要らん心配させちゃってるかも。」
『…、行ってくる。』
田村「ん、ちゃんと気持ち伝えてくるんやで。」
『うん、ありがとう、保乃。』
田村「ふふ、ええよ。」
Mio side
遠くの方で、hkrさんと保乃さんが話している。途中から、2人は笑いあっていて、どんな結末になったのか、知りたいけど、知るには怖くて、味のしないケーキを口に運んでいた。
『美青!!!』
「hkrさん、」
『おいで。』
「っ…、」
グッと引かれた腕、身体はそのままhkrさんの腕の中に閉じ込められて、苦しいほど強く抱き締められる。
『私は、美青が好きだよ。誰よりも、美青が好き。これからも、ずっと。だから、余計なことは考えないで、私に愛されれば良いから。』
「っ…、」
「保乃さんよりも、好きですか?」
『好きの種類が違うよ。』
『美青への好きは誰も敵わない。最強の好きだよ。』
「っ…ふふ、なんですか、それ。」
『笑った顔も、泣き顔も、全部全部、愛してる。』
「…んっ、ちょっ…、hkrさん、」
流れるようにされたキス。
人生で、初めてのキス。
『ふふ、甘。』
「っ…、ぎぶ、です、」
さっきまで不安でいっぱいだった心が、幸せで満ちていく。
この人は、何処まで私を幸せにさせれば気が済むのだろうか。
なんて考えながら、最後に取っておいたショートケーキの苺をhkrさんの口の中に入れた。
言葉で、伝えるのはまだ難しいから。
私も愛してます、それが伝わるように。
-fin-
『…そっ、か、由依さんの卒コンは出られそうにない、感じ?』
「…回復の見込み次第、って言われたんですけど、あんまり期待せん方がいいって、」
悔しかった。自分の自己管理不足が甘かったせいで由依さんの卒コンに出られないかもしれないことが。悔しくて、悔しくて、hkrさんに電話をかけてしまった。
『そっか…。』
『美青、誰のせいでもないから。今はゆっくり休んで、少しでも回復出来るようにしよう?』
「っ…はいっ、」
田村「hkr、リハ始まんで?」
『あ、うん、今行く。』
「すみません、忙しい時にかけちゃって。」
「私の事なんか気にせず、リハ頑張ってください。」
『終わったら、電話かけてもいい?』
「っ…でも、hkrさん忙しいし、」
『美青が嫌じゃなきゃ声聞きたい。』
「はいっ…、待ってます、」
『ん、じゃあちゃんと寝てご飯食べて、待ってて。』
「はいっ、頑張ってください。」
『ん、頑張るね。』
『じゃあまた、おやすみ、美青。』
「おやすみなさい、hkrさん。」
You side
美青がコロナにかかってしまった。私もライブ直前にかかって3日間中2日間でる事が出来ず悔しい思いをしたことがある。自分の管理不足を責めて、メンタルもぶれて、散々な期間だった。
美青にはそうなって欲しくないし、絶対にさせたくない。
だからといって電話しよう、なんて迷惑だったかな。寝て回復しろ、とか言っといて結局私が美青のこと起こしてんじゃん。
田村「hkr?」
『あ、ごめん、』
ボーっとしてたら、移動してきた保乃とぶつかってしまった。今は自分のことに集中しないと。
田村「なんかあったん?」
『…美青がコロナ陽性だったって。』
田村「え…、じゃあ、ゆいぽんさんの卒コン出れないん?」
『回復次第で…とは言ってたけど、声聞いた感じじゃ厳しいと思う。』
田村「…そっか、美青ちゃんゆいぽんさん推しなのになぁ、」
『…、』
美青にとって、由依さんは凄く大きな存在で、その穴は私には埋められないし、埋めようとも思えない。それくらい、私達にとって由依さんは大きくて、憧れで、大好きな存在。
美青がいつ戻ってきてもいいように、美青の立ち位置も覚えよう。
【アンコールで的野と小田倉復帰します!】
そんな声がイヤモニ越しから聞こえた。
すぐに着替えを終えて、舞台袖へ急げばそこには美青の姿があって、一週間以上ぶりの美青を強く強く抱き締めた。
的野「hkr、さんっ、」
『良かった、ほんとに良かった。』
『由依さんなら、着替え終わって階段のとこにいるよ、一瞬だけでも行ってきな。』
的野「っ…はい、」
美青が駆け足で由依さんの所へ向かっていく。
その姿を目で追っていれば、天井を仰いで唇を噛み締めてる保乃の姿が目に入った。
『保乃…。』
田村「hkr…、」
いつも泣いてるメンバーに寄り添うことが多い保乃は、自分が泣く時だけ誰の目にも入らないような所へ隠れてしまう。その強さが心配で、何度も保乃に救われてきたからこそ、頼って欲しいと思う。
『…。』
言いたいことは沢山あるけれど、それを言葉にするのは私には難しくて、だから、この想いが伝わるように保乃を腕の中にしまった。
田村「こんなとこ、美青ちゃんに見られたら、あかんやろっ、」
『保乃は特別だから。』
美青にはもう何度も話してきているし、そこの理解は美青だってしてくれている。
田村「っ…、そーゆん、辞めてや、」
『…え?』
聞いた事のない、保乃の尖った声。
心臓がギュッとなるくらい、不安に駆られる。
田村「特別特別って、何が特別なん?特別なら、なんで保乃を選んでくれなかったん?なぁ、なんでよ、」
『っ…、保乃、?』
田村「hkrの事、ずっと好きやったのに。」
「誰よりもずっと、好きやったのに!!」
そう言って、腕を振り払った保乃は、振り返ることもせずモニターの前へ行ってしまった。
この言葉の意味が、正解だとするのなら、私は、どうすればいいのだろう。
Mio side
由依さんのドレス姿を見て、ハグを1回だけしてから、hkrさんの所へ戻ってきた。いや、正確には戻ろうとした。けど、さっき居た場所にはもうhkrさんはいなくて、周りを探せば、保乃さんを抱きしめているhkrさんの姿が目に入った。
hkrさんにとって、保乃さんは特別で、他のメンバーさんよりも大事な存在。そんなの、頭では分かっていても、保乃さんの気持ちを知っている私からすれば、やっぱり不安で、いけないと分かっていても、コソッと2人に近づいて会話を盗み聞きしてしまった。
田村「hkrの事、ずっと好きやったのに。」
「誰よりもずっと、好きやったのに!」
そんな声が聞こえて、私の前を泣いてる保乃さんが通って行った。hkrさんは、呆然としていて、本当に気づいていなかったのか、なんて気持ちと、どんな答えを出すんだろう、なんて不安な気持ちが胸をいっぱいにする。
でも、その答えを聞けるほどの時間は私達にはなくて、一期さんの曲が終わり、私たちの出番となった。
You side
"卒業おめでとう"そんな言葉が飛び交う舞台裏で、私は保乃の姿を探した。
『保乃!!』
田村「っ…、hkr、」
『さっきは、いや、今まで、ごめん。』
『保乃の気持ち考えないで、沢山傷つけた。本当にごめん。』
田村「……保乃もごめん。ゆいぽんさんの卒業とか、8thの事で余裕、なくて、」
『んーん、言ってくれて、嬉しかった。』
『…私は、美青のことが好き。これからも、大事にしたいって思ってる。』
田村「っ…うん、」
『でも、狡いかもしれないけど、私にとって保乃は、本当に特別で、初めて頼れた人、だったから、この関係が壊れちゃうのは、嫌です、』
田村「っ…、」
『我儘言ってるのも、分かってるんだけど、保乃が傍に居てくれないと、乗り越えられない事って、ほんとに沢山あって、だから、その、これからも、頼らせて、欲しいです。』
田村「…もう、ほんま狡いやん。保乃が好きって知っててそんなこと言うなんて、罪な女やで?」
『っ…、うん、』
田村「…でも、ええ!なんか、気持ち伝えてスッキリした。これからは、ちゃんと同期として、hkrの傍におるから。特別な同期で居ってあげる!」
『ありがとう…、ほんとに、ありがとう。』
へにゃっと笑った保乃に心の底から安堵する。
私はまだ弱虫のままだな。
田村「…せや、美青ちゃんとこ行ってあげた?」
『あ、いや、まだ、』
田村「はよ行ってあげて、保乃が色々言った時美青ちゃん近くにおったから、要らん心配させちゃってるかも。」
『…、行ってくる。』
田村「ん、ちゃんと気持ち伝えてくるんやで。」
『うん、ありがとう、保乃。』
田村「ふふ、ええよ。」
Mio side
遠くの方で、hkrさんと保乃さんが話している。途中から、2人は笑いあっていて、どんな結末になったのか、知りたいけど、知るには怖くて、味のしないケーキを口に運んでいた。
『美青!!!』
「hkrさん、」
『おいで。』
「っ…、」
グッと引かれた腕、身体はそのままhkrさんの腕の中に閉じ込められて、苦しいほど強く抱き締められる。
『私は、美青が好きだよ。誰よりも、美青が好き。これからも、ずっと。だから、余計なことは考えないで、私に愛されれば良いから。』
「っ…、」
「保乃さんよりも、好きですか?」
『好きの種類が違うよ。』
『美青への好きは誰も敵わない。最強の好きだよ。』
「っ…ふふ、なんですか、それ。」
『笑った顔も、泣き顔も、全部全部、愛してる。』
「…んっ、ちょっ…、hkrさん、」
流れるようにされたキス。
人生で、初めてのキス。
『ふふ、甘。』
「っ…、ぎぶ、です、」
さっきまで不安でいっぱいだった心が、幸せで満ちていく。
この人は、何処まで私を幸せにさせれば気が済むのだろうか。
なんて考えながら、最後に取っておいたショートケーキの苺をhkrさんの口の中に入れた。
言葉で、伝えるのはまだ難しいから。
私も愛してます、それが伝わるように。
-fin-
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