▶︎ 小林由依
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『もうすぐ、始まるね。』
「そうだね。」
当日リハが終わって、本番まであと3時間程。
ステージの中央に座って、客席を眺める私とhkr、言葉数もリアクションも少ないhkrだけれど、大事なことはちゃんと言葉にして伝えてくれるし、気持ちも、行動で教えてくれる。
そんなhkrに何度も救われてきたし、今も憧れ続けている。推し、ではないけれど、ずっと目で追ってしまう人。いつも私の視界の中心に居るのはhkrだった。
『…ねえ、由依?』
「ん〜?」
『私はさ、これから誰の背中を見て走り続けたらいい?』
「っ…、」
分からない問題を先生に聞く子供のように、真っ直ぐ私を見つめたhkrの目は既に潤っていて、hkrの中での私が同じ立ち位置だった事を嬉しく思った。
『ずっと、由依だけを見てきた。憧れてた。私は、笑顔で由依を送り出せる自信が無いよ。』
昨日のライブは楽しそうに笑顔を浮かべながら踊っていたから、もうhkrの中で割り切れているものだと思っていた。
「…hkrらしく、やればいいよ。そこに私は居れないし、傍で見守ることは出来ないけど、ちゃんと見てるから。ステージで踊るhkrを、ちゃんっと、見るから。」
『っ…、あー、ふふ、だめだね、まだ泣かないって決めてたのに。』
天井を仰いで、下唇を噛み締めたhkr。目の縁から涙が溢れて、それがすごく綺麗だった。
You side
今日で由依とのライブが終わってしまう。
初期の頃から、ずっと憧れてた人。ずっと、大好きだった人。言葉にしたことはあまりないけれど、きっと由依には伝わっていると思う。それが出来る人だから。
ステージから、客席を眺める。
理佐の時のように花道が多くある訳じゃない。
メインと、サブステに続く花道が1本あるだけ。
それが由依らしいと思った。最後まで、小林由依なんだって、誇らしく思えて、それと同時に酷く寂しさを抱いた。
もう、パフォーマンスを語り合うことも、できないとこがなくなるまで踊り続けることも、由依のボヤキに笑うことも、背中を叩き合うことも、ステージで笑う貴女を見ることも、出来なくなってしまう。
やっぱり、寂しい。
小林「…、私に憧れて入ってきてくれた子が居たり、手を掛けてた後輩がグループの顔になったり、先輩としてのやるべき事はもうやり尽くしたと思う。でもね、hkrの側から離れることだけが心残りで、卒業を決めれずにいたの。」
『っ…、』
小林「勝手に思ってるだけかもしれないけど、私にはhkrが、hkrには私が必要だって思ってたから、そこが引っかかってたの。」
『っ…うん、』
小林「でも、hkrが今までより他のメンバーと話すようになって、時間を一緒に過ごすことが多くなって、思ったんだよね。hkrには皆がいるし、私がいなきゃどうにかなっちゃうほどヤワな奴じゃないや。って。」
『…、』
小林「そう思った時にさ、あ、卒業しよう。って思ったんだ。ふふ、hkrに背中押されたんだよ。知ってた?」
『…背中、押しちゃってたんだ。』
『そっか、そんな事言われたら、もう卒業引き止められないよ。』
小林「ふふ、そう言うと思った。」
『由依が居なくても、走り続けるよ。』
『今度は、誰かに背中を見せれるような、そんな人になれるよう、頑張る。』
小林「もう充分だと思うけどね。」
「…さ、1曲踊ってから戻りますかー。」
『ふふ、そうだね。なんの曲にしよっか。』
小林「あの曲、やろうよ。」
『おっけー、曲流すね。』
小林「うん。」
私と、由依が2人と呼ばれるようになった曲。
苦しくて、辛くて、悲しくて、そんな想いをダンスに乗せて、道を切り開いた曲。
欅坂46、最後の曲。
誰がその鐘を鳴らすのか?
-fin-
「そうだね。」
当日リハが終わって、本番まであと3時間程。
ステージの中央に座って、客席を眺める私とhkr、言葉数もリアクションも少ないhkrだけれど、大事なことはちゃんと言葉にして伝えてくれるし、気持ちも、行動で教えてくれる。
そんなhkrに何度も救われてきたし、今も憧れ続けている。推し、ではないけれど、ずっと目で追ってしまう人。いつも私の視界の中心に居るのはhkrだった。
『…ねえ、由依?』
「ん〜?」
『私はさ、これから誰の背中を見て走り続けたらいい?』
「っ…、」
分からない問題を先生に聞く子供のように、真っ直ぐ私を見つめたhkrの目は既に潤っていて、hkrの中での私が同じ立ち位置だった事を嬉しく思った。
『ずっと、由依だけを見てきた。憧れてた。私は、笑顔で由依を送り出せる自信が無いよ。』
昨日のライブは楽しそうに笑顔を浮かべながら踊っていたから、もうhkrの中で割り切れているものだと思っていた。
「…hkrらしく、やればいいよ。そこに私は居れないし、傍で見守ることは出来ないけど、ちゃんと見てるから。ステージで踊るhkrを、ちゃんっと、見るから。」
『っ…、あー、ふふ、だめだね、まだ泣かないって決めてたのに。』
天井を仰いで、下唇を噛み締めたhkr。目の縁から涙が溢れて、それがすごく綺麗だった。
You side
今日で由依とのライブが終わってしまう。
初期の頃から、ずっと憧れてた人。ずっと、大好きだった人。言葉にしたことはあまりないけれど、きっと由依には伝わっていると思う。それが出来る人だから。
ステージから、客席を眺める。
理佐の時のように花道が多くある訳じゃない。
メインと、サブステに続く花道が1本あるだけ。
それが由依らしいと思った。最後まで、小林由依なんだって、誇らしく思えて、それと同時に酷く寂しさを抱いた。
もう、パフォーマンスを語り合うことも、できないとこがなくなるまで踊り続けることも、由依のボヤキに笑うことも、背中を叩き合うことも、ステージで笑う貴女を見ることも、出来なくなってしまう。
やっぱり、寂しい。
小林「…、私に憧れて入ってきてくれた子が居たり、手を掛けてた後輩がグループの顔になったり、先輩としてのやるべき事はもうやり尽くしたと思う。でもね、hkrの側から離れることだけが心残りで、卒業を決めれずにいたの。」
『っ…、』
小林「勝手に思ってるだけかもしれないけど、私にはhkrが、hkrには私が必要だって思ってたから、そこが引っかかってたの。」
『っ…うん、』
小林「でも、hkrが今までより他のメンバーと話すようになって、時間を一緒に過ごすことが多くなって、思ったんだよね。hkrには皆がいるし、私がいなきゃどうにかなっちゃうほどヤワな奴じゃないや。って。」
『…、』
小林「そう思った時にさ、あ、卒業しよう。って思ったんだ。ふふ、hkrに背中押されたんだよ。知ってた?」
『…背中、押しちゃってたんだ。』
『そっか、そんな事言われたら、もう卒業引き止められないよ。』
小林「ふふ、そう言うと思った。」
『由依が居なくても、走り続けるよ。』
『今度は、誰かに背中を見せれるような、そんな人になれるよう、頑張る。』
小林「もう充分だと思うけどね。」
「…さ、1曲踊ってから戻りますかー。」
『ふふ、そうだね。なんの曲にしよっか。』
小林「あの曲、やろうよ。」
『おっけー、曲流すね。』
小林「うん。」
私と、由依が2人と呼ばれるようになった曲。
苦しくて、辛くて、悲しくて、そんな想いをダンスに乗せて、道を切り開いた曲。
欅坂46、最後の曲。
誰がその鐘を鳴らすのか?
-fin-