▶︎ 田村保乃
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中学生の頃から結婚願望があった。
20代後半には子供も…なんて考えていた。
そんな保乃は21になって就職した会社で、仕事が出来、高収入、更には人としても完璧な2つ上の先輩と付き合うことが出来た。
そしてもうすぐ彼と付き合って2年の記念日。
2週間後にある記念日、彼は"大事な話があるんだ"なんてちょっと緊張したような面持ちで伝えてくれたし、きっと保乃は結婚するんやと思う。
なんて話を隣に住んでる幼馴染の大学生にしに来たのだが。
『…そう、良かったね。』
「ほんっま、反応薄いなぁ〜、幼馴染がプロポーズされるかもなんやで?人生の分岐点に立ってんねんで?」
『こっちは大学生活過ごせるか否かの分岐点。』
『課題終わんないと私の人生も終わり。』
「それは大事やけどさぁ…、もー、この薄情者め!!」
『…。』
「あーー、無視しだしたー。」
「もうええ。寝るもん。」
『…寝るんだったらベッドで寝なよ。』
『背中にくっつかれてると私まで眠くなる。』
「…ふふ、はーい。」
昔は保乃の後ろを着いて離れなかったhkrもいつの間にか大人になっていた。保乃よりも小さかった背丈は保乃よりも大きくなっていて、気が付けば、保乃の方がhkrの背中を眺めることの方が多くなっていたかもしれない。
パソコンを打ち込むhkrの後ろ姿を眺めながら保乃はそっと目を閉じた。
『…の、保乃…、』
「んん、」
『お母さんがご飯出来たって、食べてくでしょ。』
「ん、食べる、hkr〜、起こして〜、」
『…、ん、っちょ、』
「へへ、ほんまに大きくなったなぁ。」
hkrの顔が近い。そりゃそうや、hkrに腕を引かれた勢いのまま抱き着いたのだから。
『ん、離れて。』
「なんでよ〜、たまにはええやん。」
『そうゆうの、もうやめて。』
「え?」
『っ…ごめん、ちょっとコンビニ行ってくる。』
「あ…、hkr、」
怒らせちゃった、初めて、怒らせちゃった。
何が駄目やったんやろう…、疲れてるのにくっついたからかな、あれ、hkrって元々スキンシップ嫌いやったっけ。
いつから、hkrのこと分からなくなっちゃったんだろう。いつから、hkrに一定の距離を保たれるようになっちゃったんだろう。
なんで、今まで気付けなかったんだろう。
あれからhkrとは話すどころか顔を合わせることもなく、2週間が経ってしまった。
彼との約束まであと2時間。
このまま保乃は、彼と婚約してもいいのだろうか。いやいやいや、何を悩んでるんやろ。婚約にhkrがどうとか、関係ないやん。
関係ない…のに、頭の中からhkrが離れない。
あの時のhkrの声は、表情は、迷子の子供のように寂しそうで、悲しそうやった。
ピンポーン
「はーい!」
hkr母「保乃ちゃん、ごめんね〜、急に〜。」
「全然…!なんかあったんですか?」
hkr母「あの子朝から熱出しちゃってしんどそうなのよ〜、なのに目を離すと直ぐ大学の課題だのなんだのやり出すから買い物行くにも行けなくてね〜、」
「え、熱!?」
hkr母「そうなのよー、それで、買い物の間だけhkrの事見てて貰えないかしら、1時間もしないで帰るから!」
「全然ええですよ!」
hkr母「ごめんね、ありがとう〜。」
「いえいえ〜〜。」
hkr母「それにしても今日の保乃ちゃんは特段に可愛いわね〜。」
「え〜、へへ、ほんまですか〜?」
hkr母「もしかして、デート!?」
「ふふ、はい!あ、でもまだ時間に余裕はあるんで大丈夫です!」
hkr母「きゃ〜!!もうおばちゃんすぐ帰ってくるから!」
「ふふ、はい、待ってます。」
「じゃあ行ってらっしゃい!」
hkr母「よろしくね〜〜!」
hkrのお母さんを送り出し、お家にお邪魔する。あの時ぶりに顔合わせるんやなぁ…。
ちゃんと謝ろう。
コンコン
「hkr、入るで〜。」
『っ…ごほごほっ、なん、で、』
「おばちゃん買い物やって、って、もう〜、具合悪いんやから寝てなきゃだめやん。」
部屋を開けてすぐ目に入ってきたのは辛そうにしながら、パソコンと向き合っているhkrの姿。
『…、私なら大丈夫だから、』
「大丈夫やない!」
『…今日、大事な日なんでしょ。』
『移ったら嫌だから、帰って。』
「っ…、」
モヤモヤする。でも何にモヤモヤしてるんやろ。
hkrの冷たい言い方?態度?
違う。hkrの目に、保乃が映ってないことにモヤモヤするんや。
「なぁ、なんで?ちゃんと、保乃の事見てや。」
真赤に染まった熱い頬を両手で挟んで、無理矢理目を合わせればそれすら気まずそうにズラされてしまう。
『……見てるよ。』
「見てへん。」
『見てる。』
「見てへんよ…、」
『…見たくないよ。』
「え?」
『他の人のモノになる保乃の事なんか見たくない。』
「っ…なにそれ、」
反抗期の少年のような、いじけた子供のような、そんな雰囲気のhkrが何に怒っているのか、拗ねているのか、全然分からへん。
「意味分からへん、」
『っ…、保乃に分かるわけないじゃん。』
「な…、っ、hkr、?」
「なんで泣いてるん、」
『保乃が馬鹿だから。私の気持ち気付かない癖にズカズカ人のスペースに入ってきてさ。好きにさせるだけさせて、私の保乃にはなってくれない、ムカつく。悔しい。』
「っ…、」
『他の人からの幸せなんて受け取らないで。』
『私に幸せにされてよ…、』
今までそれなりに人と付き合ってきた。
でも、優しい、嬉しい、そんな気持ちは浮かぶのに、好き、の2文字だけは保乃の中に浮かばなくて、今付き合っている人もそうやった。
優しくて、真面目で、努力家な人。尊敬する。
でも、それだけ。これが保乃の恋愛なんだと思っていた。
それなのに、それなのに。
この胸の痛みを、苦しさを、知ってしまった。
これが恋だ。否定することなんて出来ひん。
保乃は、hkrに恋をしてしまった。いや、ずっとしてたのかもしれない。それに気づくきっかけが無かっただけで。
「っ…、」
『我儘言ってごめん。』
『ちゃんと寝るから、保乃はもう帰りなよ。』
「なぁ、好き、」
『っ…、同情なんかしないで、わかってもらおうなんて、思ってないから、』
「そんなんやない、今、hkrの事が好きって気付いた。ここが、苦しくなった、痛くなった。hkrに、幸せにされたいって、思ったの、」
『自分が何言ってるか分かってる?』
「分かってるよ、」
『私は、本気で保乃が好きなの、誰にも渡したくないくらい、好きなんだよ。』
「じゃあちゃんと捕まえてや、保乃のこと、ぎゅって、捕まえといてよ。」
『っ…、』
『彼氏さんのところに、行かないで。』
そう言って座ったまま抱きしめられた体は、酷く熱かった。
きっと、保乃も負けないくらい熱い。
好きって、こんなに胸がキュンってするもんなんや。
「行かへん、行かへんよ、」
人生で初めてのドタキャン。
それも、こんな大事な日に。
最低で非常識。
でも、それでいいと思ってしまった。
この腕の中に居れるのなら、どんな事もどうでもいいと、そう思ってしまう。
恋に勝てる程保乃は大人やなかったみたい。
『…、』
「hkr?hkr〜?」
突然重くなったhkrの体。保乃の肩に置かれたhkrの顔から聞こえる寝息。
無理させちゃったかな。
「ごめんな、辛かったな、」
『…ん、』
ぎゅっと回って離れないhkrの腕。
甘えるようにくっつく姿はあまりにも可愛くて、心がドンッと弾む。
もう少ししたら彼に連絡しよう。
それまで、少しだけええ、このままでいさせて。
hkrのサラサラな髪の毛を撫でながら保乃も目を閉じた。
-Fin-
リクエスト 彼氏が居るのに夢主のことを好きになる最低な保乃ちゃんの話。
20代後半には子供も…なんて考えていた。
そんな保乃は21になって就職した会社で、仕事が出来、高収入、更には人としても完璧な2つ上の先輩と付き合うことが出来た。
そしてもうすぐ彼と付き合って2年の記念日。
2週間後にある記念日、彼は"大事な話があるんだ"なんてちょっと緊張したような面持ちで伝えてくれたし、きっと保乃は結婚するんやと思う。
なんて話を隣に住んでる幼馴染の大学生にしに来たのだが。
『…そう、良かったね。』
「ほんっま、反応薄いなぁ〜、幼馴染がプロポーズされるかもなんやで?人生の分岐点に立ってんねんで?」
『こっちは大学生活過ごせるか否かの分岐点。』
『課題終わんないと私の人生も終わり。』
「それは大事やけどさぁ…、もー、この薄情者め!!」
『…。』
「あーー、無視しだしたー。」
「もうええ。寝るもん。」
『…寝るんだったらベッドで寝なよ。』
『背中にくっつかれてると私まで眠くなる。』
「…ふふ、はーい。」
昔は保乃の後ろを着いて離れなかったhkrもいつの間にか大人になっていた。保乃よりも小さかった背丈は保乃よりも大きくなっていて、気が付けば、保乃の方がhkrの背中を眺めることの方が多くなっていたかもしれない。
パソコンを打ち込むhkrの後ろ姿を眺めながら保乃はそっと目を閉じた。
『…の、保乃…、』
「んん、」
『お母さんがご飯出来たって、食べてくでしょ。』
「ん、食べる、hkr〜、起こして〜、」
『…、ん、っちょ、』
「へへ、ほんまに大きくなったなぁ。」
hkrの顔が近い。そりゃそうや、hkrに腕を引かれた勢いのまま抱き着いたのだから。
『ん、離れて。』
「なんでよ〜、たまにはええやん。」
『そうゆうの、もうやめて。』
「え?」
『っ…ごめん、ちょっとコンビニ行ってくる。』
「あ…、hkr、」
怒らせちゃった、初めて、怒らせちゃった。
何が駄目やったんやろう…、疲れてるのにくっついたからかな、あれ、hkrって元々スキンシップ嫌いやったっけ。
いつから、hkrのこと分からなくなっちゃったんだろう。いつから、hkrに一定の距離を保たれるようになっちゃったんだろう。
なんで、今まで気付けなかったんだろう。
あれからhkrとは話すどころか顔を合わせることもなく、2週間が経ってしまった。
彼との約束まであと2時間。
このまま保乃は、彼と婚約してもいいのだろうか。いやいやいや、何を悩んでるんやろ。婚約にhkrがどうとか、関係ないやん。
関係ない…のに、頭の中からhkrが離れない。
あの時のhkrの声は、表情は、迷子の子供のように寂しそうで、悲しそうやった。
ピンポーン
「はーい!」
hkr母「保乃ちゃん、ごめんね〜、急に〜。」
「全然…!なんかあったんですか?」
hkr母「あの子朝から熱出しちゃってしんどそうなのよ〜、なのに目を離すと直ぐ大学の課題だのなんだのやり出すから買い物行くにも行けなくてね〜、」
「え、熱!?」
hkr母「そうなのよー、それで、買い物の間だけhkrの事見てて貰えないかしら、1時間もしないで帰るから!」
「全然ええですよ!」
hkr母「ごめんね、ありがとう〜。」
「いえいえ〜〜。」
hkr母「それにしても今日の保乃ちゃんは特段に可愛いわね〜。」
「え〜、へへ、ほんまですか〜?」
hkr母「もしかして、デート!?」
「ふふ、はい!あ、でもまだ時間に余裕はあるんで大丈夫です!」
hkr母「きゃ〜!!もうおばちゃんすぐ帰ってくるから!」
「ふふ、はい、待ってます。」
「じゃあ行ってらっしゃい!」
hkr母「よろしくね〜〜!」
hkrのお母さんを送り出し、お家にお邪魔する。あの時ぶりに顔合わせるんやなぁ…。
ちゃんと謝ろう。
コンコン
「hkr、入るで〜。」
『っ…ごほごほっ、なん、で、』
「おばちゃん買い物やって、って、もう〜、具合悪いんやから寝てなきゃだめやん。」
部屋を開けてすぐ目に入ってきたのは辛そうにしながら、パソコンと向き合っているhkrの姿。
『…、私なら大丈夫だから、』
「大丈夫やない!」
『…今日、大事な日なんでしょ。』
『移ったら嫌だから、帰って。』
「っ…、」
モヤモヤする。でも何にモヤモヤしてるんやろ。
hkrの冷たい言い方?態度?
違う。hkrの目に、保乃が映ってないことにモヤモヤするんや。
「なぁ、なんで?ちゃんと、保乃の事見てや。」
真赤に染まった熱い頬を両手で挟んで、無理矢理目を合わせればそれすら気まずそうにズラされてしまう。
『……見てるよ。』
「見てへん。」
『見てる。』
「見てへんよ…、」
『…見たくないよ。』
「え?」
『他の人のモノになる保乃の事なんか見たくない。』
「っ…なにそれ、」
反抗期の少年のような、いじけた子供のような、そんな雰囲気のhkrが何に怒っているのか、拗ねているのか、全然分からへん。
「意味分からへん、」
『っ…、保乃に分かるわけないじゃん。』
「な…、っ、hkr、?」
「なんで泣いてるん、」
『保乃が馬鹿だから。私の気持ち気付かない癖にズカズカ人のスペースに入ってきてさ。好きにさせるだけさせて、私の保乃にはなってくれない、ムカつく。悔しい。』
「っ…、」
『他の人からの幸せなんて受け取らないで。』
『私に幸せにされてよ…、』
今までそれなりに人と付き合ってきた。
でも、優しい、嬉しい、そんな気持ちは浮かぶのに、好き、の2文字だけは保乃の中に浮かばなくて、今付き合っている人もそうやった。
優しくて、真面目で、努力家な人。尊敬する。
でも、それだけ。これが保乃の恋愛なんだと思っていた。
それなのに、それなのに。
この胸の痛みを、苦しさを、知ってしまった。
これが恋だ。否定することなんて出来ひん。
保乃は、hkrに恋をしてしまった。いや、ずっとしてたのかもしれない。それに気づくきっかけが無かっただけで。
「っ…、」
『我儘言ってごめん。』
『ちゃんと寝るから、保乃はもう帰りなよ。』
「なぁ、好き、」
『っ…、同情なんかしないで、わかってもらおうなんて、思ってないから、』
「そんなんやない、今、hkrの事が好きって気付いた。ここが、苦しくなった、痛くなった。hkrに、幸せにされたいって、思ったの、」
『自分が何言ってるか分かってる?』
「分かってるよ、」
『私は、本気で保乃が好きなの、誰にも渡したくないくらい、好きなんだよ。』
「じゃあちゃんと捕まえてや、保乃のこと、ぎゅって、捕まえといてよ。」
『っ…、』
『彼氏さんのところに、行かないで。』
そう言って座ったまま抱きしめられた体は、酷く熱かった。
きっと、保乃も負けないくらい熱い。
好きって、こんなに胸がキュンってするもんなんや。
「行かへん、行かへんよ、」
人生で初めてのドタキャン。
それも、こんな大事な日に。
最低で非常識。
でも、それでいいと思ってしまった。
この腕の中に居れるのなら、どんな事もどうでもいいと、そう思ってしまう。
恋に勝てる程保乃は大人やなかったみたい。
『…、』
「hkr?hkr〜?」
突然重くなったhkrの体。保乃の肩に置かれたhkrの顔から聞こえる寝息。
無理させちゃったかな。
「ごめんな、辛かったな、」
『…ん、』
ぎゅっと回って離れないhkrの腕。
甘えるようにくっつく姿はあまりにも可愛くて、心がドンッと弾む。
もう少ししたら彼に連絡しよう。
それまで、少しだけええ、このままでいさせて。
hkrのサラサラな髪の毛を撫でながら保乃も目を閉じた。
-Fin-
リクエスト 彼氏が居るのに夢主のことを好きになる最低な保乃ちゃんの話。