▶︎ 田村保乃
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好きだったギターも、推していたアイドルも、仲のいい友達も、好きだったあの子も、嘘で出来た愛してるも、全部どうでも良くなった。
母「明日、あの人来るから、学校終わっても帰ってこないでね。」
母「あの人のこと悪く言わないで。優しい人なんだから。」
母「あの人は素敵な人だから。」
父と離婚して1年の母は、奥さんの居る男の人に手を出した。
素敵な人は奥さん以外を愛したりしないよ。
優しい人は、お母さんを都合良く使ったりしない。
母「hkrのこと、愛してるからね。」
いつからその言葉が気持ち悪くなったのだろう。
都合よく出来た5文字の言葉。愛なんてこれっぽっちもなくて、ただ愛されたい母が都合よく言葉にしただけ。
たった一年足らずのあの人は、18年間一緒にいた私よりも大切な存在になっちゃったんですか?
娘よりも、愛したい人間になっちゃったんですか。
『…、もう帰ってこないから。』
母「なんてー??」
『行ってきます。』
母「行ってらっしゃい、21じくらいに帰ってきてね。」
髪を巻いて、露出の高い服を着て、女のお母さんに見送られ家を出る。
もう、帰ったりはしない。
机の上に置いてきた手紙。
あの人と幸せになればいい。
私はもう、貴方に愛されたくない。
学校に着いて、何食わぬ顔で授業を受け、友達と話して、一日の半分を終える。
そのまま電車に飛び乗って、どこかも分からない駅で降りた。
華やかに光る夜の街は、私の心を満たして行った。
田村「なぁ、君一人なん?」
『…、』
田村「こんなとこに制服で居たら変な人たちに絡まれんで?」
『…』
田村「お姉さんが送ってったげるから、ほら帰ろう。」
スーツを着た顔の良いお姉さん。
けれど、その優しさが今は邪魔で、無性に腹が立った。
『帰らない。』
田村「…んー、家出したん?」
『別にお姉さんに関係ないでしょ。』
田村「関係なくないよ。声掛けちゃったんやもん、もう知り合いやろ?」
優しい関西のイントネーションを乗せた彼女の声は、何処か暖かくて、求めてもいないのに心がぎゅぅっと苦しくなった。
田村「分かった!なら、お姉さん家帰ろう!話沢山聞いてあげるから。な?」
見知らぬ人には着いていくな。
小さな頃から言われ続けてきた言葉。
けれど、もう、どうでもいい。
お母さんの1番はあの人で、私じゃないんだから。
『連れてって。お姉さんの家。』
田村「…ん、帰ろう。」
ぎゅっと繋がれた手。
まるで離れないように、と握られた手は、保育園の帰り道を思い出させた。
田村「ん、ここやで、」
『お邪魔します。』
田村「どうぞ〜、」
「着替え持ってるんやろ?」
『はい、』
田村「ならその部屋で着替えてき、制服で居るの嫌やろ。」
『ありがとう、ございます、』
お姉さんの香りが充満する部屋。
何処かむず痒くて、何故か安心感があった。
『着替えました、』
田村「ん!田村保乃です。君は?」
『mrthkr、』
田村「hkrちゃん、高校何年生?」
『3年。』
田村「そっかそっか、ならお酒飲めるな。」
「はい、どうぞ。」
『…良いの?』
田村「あれ飲んだことないん?」
『ない、』
田村「ふふ、ならお酒デビューやな。」
「ほら、こっちおいで、一緒に飲も。」
『ん、』
カーペットに腰かけて、お姉さんと乾杯を交わす。
初めて飲んだお酒は、ツーンと鼻を通るアルコールに嫌悪感を抱いたけれど、後から来るハーブや、ほんの少しの甘みが癖になった。
『これ、なんていうお酒、?』
田村「コロネーション、カクテルやな。」
『カクテル、』
田村「趣味で作ってんねん、それより、hkrちゃんのお話、聞かせて?」
優しい眼差しを当てられて、アルコールが回った頭は、スラスラと気持ちが言葉となった。
田村「そっかぁ、それはきついなぁ、」
『もう、どうでもいい、』
田村「どうでもいい訳ないやろ。」
『っ…、』
田村「どうでもいい人は、そんな寂しそうな顔せえへんよ。hkrちゃんは、寂しいねん、当たり前や、まだ子供で、まだまだ沢山愛されなきゃいけない歳やねんから。」
『っ…、でも、』
田村「どうでもいいなんて、思っちゃダメ、」
「保乃が、hkrちゃんを愛すよ。」
『え?』
田村「家族とは違った愛かもしれへん、けどな、相手を知りたいって、そう思うことは愛やと思う。保乃は、hkrちゃんを知りたい、もっと教えて欲しい。」
『っ…、』
見ず知らずの高校生を、愛したい、なんて変わってる人だ。普通じゃない。
けれど、普通の愛なんか、要らない。
『私を、愛してくれる?』
田村「うん、保乃は君を愛すよ。やから、君も、」
『保乃ちゃんを、愛したい。』
頬に添えられた手、ふわりと笑った保乃ちゃん。
そのまま唇が重なって、離れて、見つめ合って、もう一度重ねて。
それ以上のことは何も無く、ただお互いのことについて沢山話して、夜を越した。
頭の痛みで起きた朝。
心は幸せで満ちていて、隣で眠る保乃ちゃんに愛おしささえ感じていた。
お母さんの愛してるは偽物だ。
けれど、彼女の愛は本物だった。
瞳が、声が、空気が、それを教えてくれた。
『愛してるよ、保乃ちゃん。』
私の愛は、どっちですか?
-fin-
母「明日、あの人来るから、学校終わっても帰ってこないでね。」
母「あの人のこと悪く言わないで。優しい人なんだから。」
母「あの人は素敵な人だから。」
父と離婚して1年の母は、奥さんの居る男の人に手を出した。
素敵な人は奥さん以外を愛したりしないよ。
優しい人は、お母さんを都合良く使ったりしない。
母「hkrのこと、愛してるからね。」
いつからその言葉が気持ち悪くなったのだろう。
都合よく出来た5文字の言葉。愛なんてこれっぽっちもなくて、ただ愛されたい母が都合よく言葉にしただけ。
たった一年足らずのあの人は、18年間一緒にいた私よりも大切な存在になっちゃったんですか?
娘よりも、愛したい人間になっちゃったんですか。
『…、もう帰ってこないから。』
母「なんてー??」
『行ってきます。』
母「行ってらっしゃい、21じくらいに帰ってきてね。」
髪を巻いて、露出の高い服を着て、女のお母さんに見送られ家を出る。
もう、帰ったりはしない。
机の上に置いてきた手紙。
あの人と幸せになればいい。
私はもう、貴方に愛されたくない。
学校に着いて、何食わぬ顔で授業を受け、友達と話して、一日の半分を終える。
そのまま電車に飛び乗って、どこかも分からない駅で降りた。
華やかに光る夜の街は、私の心を満たして行った。
田村「なぁ、君一人なん?」
『…、』
田村「こんなとこに制服で居たら変な人たちに絡まれんで?」
『…』
田村「お姉さんが送ってったげるから、ほら帰ろう。」
スーツを着た顔の良いお姉さん。
けれど、その優しさが今は邪魔で、無性に腹が立った。
『帰らない。』
田村「…んー、家出したん?」
『別にお姉さんに関係ないでしょ。』
田村「関係なくないよ。声掛けちゃったんやもん、もう知り合いやろ?」
優しい関西のイントネーションを乗せた彼女の声は、何処か暖かくて、求めてもいないのに心がぎゅぅっと苦しくなった。
田村「分かった!なら、お姉さん家帰ろう!話沢山聞いてあげるから。な?」
見知らぬ人には着いていくな。
小さな頃から言われ続けてきた言葉。
けれど、もう、どうでもいい。
お母さんの1番はあの人で、私じゃないんだから。
『連れてって。お姉さんの家。』
田村「…ん、帰ろう。」
ぎゅっと繋がれた手。
まるで離れないように、と握られた手は、保育園の帰り道を思い出させた。
田村「ん、ここやで、」
『お邪魔します。』
田村「どうぞ〜、」
「着替え持ってるんやろ?」
『はい、』
田村「ならその部屋で着替えてき、制服で居るの嫌やろ。」
『ありがとう、ございます、』
お姉さんの香りが充満する部屋。
何処かむず痒くて、何故か安心感があった。
『着替えました、』
田村「ん!田村保乃です。君は?」
『mrthkr、』
田村「hkrちゃん、高校何年生?」
『3年。』
田村「そっかそっか、ならお酒飲めるな。」
「はい、どうぞ。」
『…良いの?』
田村「あれ飲んだことないん?」
『ない、』
田村「ふふ、ならお酒デビューやな。」
「ほら、こっちおいで、一緒に飲も。」
『ん、』
カーペットに腰かけて、お姉さんと乾杯を交わす。
初めて飲んだお酒は、ツーンと鼻を通るアルコールに嫌悪感を抱いたけれど、後から来るハーブや、ほんの少しの甘みが癖になった。
『これ、なんていうお酒、?』
田村「コロネーション、カクテルやな。」
『カクテル、』
田村「趣味で作ってんねん、それより、hkrちゃんのお話、聞かせて?」
優しい眼差しを当てられて、アルコールが回った頭は、スラスラと気持ちが言葉となった。
田村「そっかぁ、それはきついなぁ、」
『もう、どうでもいい、』
田村「どうでもいい訳ないやろ。」
『っ…、』
田村「どうでもいい人は、そんな寂しそうな顔せえへんよ。hkrちゃんは、寂しいねん、当たり前や、まだ子供で、まだまだ沢山愛されなきゃいけない歳やねんから。」
『っ…、でも、』
田村「どうでもいいなんて、思っちゃダメ、」
「保乃が、hkrちゃんを愛すよ。」
『え?』
田村「家族とは違った愛かもしれへん、けどな、相手を知りたいって、そう思うことは愛やと思う。保乃は、hkrちゃんを知りたい、もっと教えて欲しい。」
『っ…、』
見ず知らずの高校生を、愛したい、なんて変わってる人だ。普通じゃない。
けれど、普通の愛なんか、要らない。
『私を、愛してくれる?』
田村「うん、保乃は君を愛すよ。やから、君も、」
『保乃ちゃんを、愛したい。』
頬に添えられた手、ふわりと笑った保乃ちゃん。
そのまま唇が重なって、離れて、見つめ合って、もう一度重ねて。
それ以上のことは何も無く、ただお互いのことについて沢山話して、夜を越した。
頭の痛みで起きた朝。
心は幸せで満ちていて、隣で眠る保乃ちゃんに愛おしささえ感じていた。
お母さんの愛してるは偽物だ。
けれど、彼女の愛は本物だった。
瞳が、声が、空気が、それを教えてくれた。
『愛してるよ、保乃ちゃん。』
私の愛は、どっちですか?
-fin-