▶︎ 田村保乃
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大人は区別をしたがる生き物だと思っていた。
女の子は赤、男の子は青。
女の子は私、男の子は俺。
女の子は男の子を、男の子は女の子を好きになる。
どれも当たり前だと言い張るように区別した。
この人もそうだと思っていた。
区別をして、当たり前な顔で私を殺すのだと。
田村「hkrちゃーん、聞いてる?」
『…、』
田村「もーー、ちゃんと聞いてや。」
「進路どうするん?」
『…進学。』
田村「一般で行く?それとも、」
『指定校。』
田村「ん!分かった!」
「…クラスはどう?慣れてきた?」
『まぁ、』
真っ直ぐな瞳で私を捕まえるこの人も、きっと同じ"オトナ"なんだ。
田村「hkrちゃんは、ひぃちゃんと仲良いよな?」
『…そうですね。』
田村「……あんまり、保乃のこと好きやない?」
『…別に、』
田村「そっか、これから1年よろしくな?」
『…はい、じゃあ、』
田村「ん、また明日!気をつけて帰るんやで〜。」
重苦しい教室を出て、自由を求めるように屋上へ飛び出た。
ひかると仲が良いのはひかるだけが私を受け入れてくれたから。
私と"同じ"人間だったから。
これまでの教師も、親も、皆口をそろえてこう言う。
"同性愛なんて将来性ない"
"貴女はちゃんと男の人を好きになるのよね?"
『はぁ…、』
森田「ふふ、やっぱここに居った。」
『ひかる、』
森田「面談どうやった?」
『別に普通だったよ。ひかるは?もう終わった?』
森田「ん、終わったよ〜。」
『そっか。』
森田「ねぇhkr?」
『ん?』
森田「好きな人、出来た?」
『出来てないよ。』
森田「そっか!」
『ふふ、ひかるの月1確認。』
森田「こーゆうのは頻繁にせんと。ね?」
『そーゆうもんなの?笑』
森田「そーゆうもんなの!笑」
『はいはい。そろそろ帰る?』
森田「帰るー。hkrん家寄っていい?」
『いーよー。』
森田「やったねー。」
ひかると居る時はありのままの自分で居られた。
何を言っても安心出来た。
田村「おはよ〜〜、hkrちゃん早いなぁ。部活?」
『いえ、』
田村「そっかそっか。」
珍しく朝早く着いてしまった日。
教室には誰も居なくて、やってきたかと思えばスーツを纏った田村先生。
2人きりの空間にあの日の重苦しい情景を思い出す。
田村「hkrちゃん、ひぃちゃんと居るとき楽しそうやんな。」
『…まぁ、1番仲良いので。』
私の1つ前の席に腰かけて、そんなことを口にした田村先生の何一つ変わらないトーンで返せば当たり前のような顔をしてこう言ったんだ。
田村「保乃の勘違いやったら申し訳ないんやけど、2人って付き合ってるんやないの?」
『……え?』
田村「ごめん、勘違いやった?」
何故この人は当たり前の顔をしてこんな事を口にしたんだ。大人は、大人はそんなもの受け入れられないんじゃないの?嫌がるものなんじゃ、ないの、?
田村「っ…hkrちゃん、ごめん、嫌なこと言っちゃった?泣かへんで、」
『泣いてなんか……、』
先生に言われて初めて自分が泣いていることに気づく。
田村「ごめんな、嫌やった?」
『違っ…、嬉しくて、』
田村「…、?」
『今までずっと、否定されてきたから、』
田村「…そっか、辛かったな。よく頑張りました。」
田村先生の手が私の頭を撫でる。
とても優しくて、とても暖かかった。
『っ…、』
田村「保乃は否定なんかせえへん。」
「hkrちゃんが誰を好きになろうとhkrちゃんの自由やねんから。な?」
『っ…ありがとう、先生、』
この時私は、2度目の恋に落ちた。
初めて女の子を好きになった時と同じ、胸の高鳴りと、苦しさが身体中に拡がった。
森田「ねぇhkr、」
『ん?』
森田「好きな人出来た?」
『…うん、出来たよ。』
森田「……そっか。」
「田村先生?」
『…ん、叶わないって分かってるけど、卒業式に気持ちを伝えるつもり。』
森田「もう、私のことは好きやないと?」
『好きだったよ、ずっと。』
森田「…気持ち伝えるの、遅すぎたね。」
『…え?』
森田「私もhkrに告白されて、意識するようになってから、ずっと、好きやった。」
『っ…、』
森田「幸せになってね、hkr。」
タイミングが合わなかった。
たったそれだけで、結ばれない恋が生まれてしまう。
好きになって、振り回されて、時にやめたくなって、でもやっぱ好きで、ただ相手が女の子だっただけ。
私たちがしてきたのは"普通"の恋愛。
そして誰も叶うことのない恋愛だった。
-fin-
リクエスト 森田さんが元好きな人、田村さんが現好きな人のお話。
私は同性愛者だとカミングアウトしてからからかいや、いじめに似た弄りをされます。同性愛はいけないものなんですかね。持っちゃいけない感情、なんですか??
↑同性愛であろうと、異性愛であろうと愛の形も、愛し方も1つじゃないです。普通の恋愛だと私は思います。
女の子は赤、男の子は青。
女の子は私、男の子は俺。
女の子は男の子を、男の子は女の子を好きになる。
どれも当たり前だと言い張るように区別した。
この人もそうだと思っていた。
区別をして、当たり前な顔で私を殺すのだと。
田村「hkrちゃーん、聞いてる?」
『…、』
田村「もーー、ちゃんと聞いてや。」
「進路どうするん?」
『…進学。』
田村「一般で行く?それとも、」
『指定校。』
田村「ん!分かった!」
「…クラスはどう?慣れてきた?」
『まぁ、』
真っ直ぐな瞳で私を捕まえるこの人も、きっと同じ"オトナ"なんだ。
田村「hkrちゃんは、ひぃちゃんと仲良いよな?」
『…そうですね。』
田村「……あんまり、保乃のこと好きやない?」
『…別に、』
田村「そっか、これから1年よろしくな?」
『…はい、じゃあ、』
田村「ん、また明日!気をつけて帰るんやで〜。」
重苦しい教室を出て、自由を求めるように屋上へ飛び出た。
ひかると仲が良いのはひかるだけが私を受け入れてくれたから。
私と"同じ"人間だったから。
これまでの教師も、親も、皆口をそろえてこう言う。
"同性愛なんて将来性ない"
"貴女はちゃんと男の人を好きになるのよね?"
『はぁ…、』
森田「ふふ、やっぱここに居った。」
『ひかる、』
森田「面談どうやった?」
『別に普通だったよ。ひかるは?もう終わった?』
森田「ん、終わったよ〜。」
『そっか。』
森田「ねぇhkr?」
『ん?』
森田「好きな人、出来た?」
『出来てないよ。』
森田「そっか!」
『ふふ、ひかるの月1確認。』
森田「こーゆうのは頻繁にせんと。ね?」
『そーゆうもんなの?笑』
森田「そーゆうもんなの!笑」
『はいはい。そろそろ帰る?』
森田「帰るー。hkrん家寄っていい?」
『いーよー。』
森田「やったねー。」
ひかると居る時はありのままの自分で居られた。
何を言っても安心出来た。
田村「おはよ〜〜、hkrちゃん早いなぁ。部活?」
『いえ、』
田村「そっかそっか。」
珍しく朝早く着いてしまった日。
教室には誰も居なくて、やってきたかと思えばスーツを纏った田村先生。
2人きりの空間にあの日の重苦しい情景を思い出す。
田村「hkrちゃん、ひぃちゃんと居るとき楽しそうやんな。」
『…まぁ、1番仲良いので。』
私の1つ前の席に腰かけて、そんなことを口にした田村先生の何一つ変わらないトーンで返せば当たり前のような顔をしてこう言ったんだ。
田村「保乃の勘違いやったら申し訳ないんやけど、2人って付き合ってるんやないの?」
『……え?』
田村「ごめん、勘違いやった?」
何故この人は当たり前の顔をしてこんな事を口にしたんだ。大人は、大人はそんなもの受け入れられないんじゃないの?嫌がるものなんじゃ、ないの、?
田村「っ…hkrちゃん、ごめん、嫌なこと言っちゃった?泣かへんで、」
『泣いてなんか……、』
先生に言われて初めて自分が泣いていることに気づく。
田村「ごめんな、嫌やった?」
『違っ…、嬉しくて、』
田村「…、?」
『今までずっと、否定されてきたから、』
田村「…そっか、辛かったな。よく頑張りました。」
田村先生の手が私の頭を撫でる。
とても優しくて、とても暖かかった。
『っ…、』
田村「保乃は否定なんかせえへん。」
「hkrちゃんが誰を好きになろうとhkrちゃんの自由やねんから。な?」
『っ…ありがとう、先生、』
この時私は、2度目の恋に落ちた。
初めて女の子を好きになった時と同じ、胸の高鳴りと、苦しさが身体中に拡がった。
森田「ねぇhkr、」
『ん?』
森田「好きな人出来た?」
『…うん、出来たよ。』
森田「……そっか。」
「田村先生?」
『…ん、叶わないって分かってるけど、卒業式に気持ちを伝えるつもり。』
森田「もう、私のことは好きやないと?」
『好きだったよ、ずっと。』
森田「…気持ち伝えるの、遅すぎたね。」
『…え?』
森田「私もhkrに告白されて、意識するようになってから、ずっと、好きやった。」
『っ…、』
森田「幸せになってね、hkr。」
タイミングが合わなかった。
たったそれだけで、結ばれない恋が生まれてしまう。
好きになって、振り回されて、時にやめたくなって、でもやっぱ好きで、ただ相手が女の子だっただけ。
私たちがしてきたのは"普通"の恋愛。
そして誰も叶うことのない恋愛だった。
-fin-
リクエスト 森田さんが元好きな人、田村さんが現好きな人のお話。
私は同性愛者だとカミングアウトしてからからかいや、いじめに似た弄りをされます。同性愛はいけないものなんですかね。持っちゃいけない感情、なんですか??
↑同性愛であろうと、異性愛であろうと愛の形も、愛し方も1つじゃないです。普通の恋愛だと私は思います。