▶︎ 小林由依
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小林「ただいま〜〜、ってまぁ誰もいないんですけどね。」
そう独り言を残して部屋に入ってきた彼女。
くっくっく。君は今から恐怖のどん底に落とされるのだ。残念だったなぁ、私みたいな幽霊に取り憑かれてしまうなんて。
まずはご挨拶と行きますか。
ーぱちぱちぱちぱち
小林「…あれ、電気壊れたかな。」
「まぁいっか。んー、疲れたー。」
…効かない。
ま、まぁ、これは私のちょっとした良心だ。
最初から怖がらせすぎても面白くないからね。
続いては、
プルルルルル プルルルルル
小林「…非通知。」
どうだ、怖いだろ、怖いだろ!!
小林「…怪し。出ないでおこー。」
…これも効かない!?
しかもこれは出るのが定番の流れじゃないか!!
手強い女に取り憑いてしまったみたいだな。
こうなれば最終段階、私が直接姿を表してやろう。
ーパチパチパチパチ
小林「まただ、そろそろ替え時なのかな。」
『…』スンッ
くっくっく、これでどうだ、怖いだろ、さぁ聞かせろ!恐怖の叫びを!!!
小林「…あー、これ見えちゃってる感じ?」
『…へ?』
小林「あんた名前は?」
『へ?わ、私?』
小林「うん、以外居ないでしょ。」
『…mrthkr、』
小林「hkr、あんた幽霊でしょ?なんで私に取り憑いてんの?てか勝手に部屋入ってきてさ、家賃取るよ。」
な、何だこの女は。
こんな展開初めてで、幽霊の私がドギマギしてしまう。
『あ、えっと、ごめんなさい。』
小林「…ん、で、要件は?」
『あー、いや、えっとー、私たち幽霊にも仕事がありまして、配属された取り憑き先の人を驚かせると生気っていうまぁ給料みたいなものが貰えまして、それを一定量貯めると来世に行けるって言う感じです。』
小林「へーー…、え、じゃああんた失敗じゃん、私驚かなかったけど。」
『…そうですね、失敗しました。』
小林「…どうなんの。死ぬの?あ、もう死んでるか。」
『あー、っと、まぁ、その凄く申し訳ないのですが初日で驚かせられなかった場合半年ほど取り憑かせていただくという…、』
小林「はぁ…、え、取り憑かれてると不運になるとかある?」
『あー、いえ、特に支障は…、ちょっと寒いかなぁくらいですかね。』
小林「ふーん…、」
本来なら悪さを仕掛けるのがマニュアルだけれど、この人には何もしないのがいいと本能が警告している。
『…すみません、』
小林「いや、まぁ驚けなかった私も悪いし、取り敢えず半年間、宜しく?」
『宜しくお願い致します…、』
こうして始まった小林由依との日々。
初めの1ヶ月は幽霊ながら小林由依という人間に怯えて過ごしていたけれど、2ヶ月目からはそれなりに知れた仲になり5ヶ月目を迎えた今は家族のように暮らす日々だった。
小林「ただいまー」
『おかえり。』
小林「つっかれたー、てかあっつー、hkr冷ましてー、」
『はぁーい、毎日お疲れ様ーー。』
私の上に座ればひんやりとした冷気が気持ちいいのか目を細めて喜ぶ由依。
小林「でも、幽霊って触れないのかと思ってた。」
『ほら、貞子とかも足掴んだりするじゃん?それと同じ原理。私たちも普通に触れるし幽霊が見える人にとってはそこら辺の人間と対して変わらないよ。事故死とかじゃなきゃね。』
小林「へーー、事故死の人とかは分かるの?」
『まぁ、見た目もボロボロだし、そーゆう人ほどこの世への未練は強いから、パッと見て分かると思うよ。』
小林「そうなんだ。」
「そう考えるとhkrめちゃめちゃ綺麗だよね。顔も整ってるし。」
『あぁー、でも、ほら背中見て、3箇所刺されてるでしょ、私死因他殺だから。』
小林「…嘘、うわ、うわ、痛くないの?」
『ぜーんぜん。幽霊になる前の傷とかそーゆうのは全く。』
小林「そうなんだー、ひゃー、知らないことばっかだなぁ。」
『ふふ、そりゃそうでしょ、生きてんだもん。』
小林「…幽霊かぁ、でも死んでまで働くなんてなんか大して人間と変わらないね。」
『そうだねぇ、でもさっき言ったみたいに事故死とか、私みたいに他殺で死んじゃった人はさ大抵の人がこの世への未練がめーっちゃあるわけよ、』
小林「うん、」
『だから、それが執念になってホラー映画とかに出てくる厄介系の霊になっちゃうことも度々って感じ、』
小林「…hkrは未練ないの?」
『うん、ないかなぁ。それが運命だったってことだしね。』
小林「ふふ、冷めてるね。」
『幽霊だけに冷え冷えだよ。』
小林「…つまんな。」
『うっ…胸が痛い、』
小林「ふふ、」
未練はないけれど、この暮らしを続けられたらな、なんて思っている自分もいて笑ってしまう。
霊になると自分の欲に素直になるなんて言うけれどそれは本当なのかもしれない。
『でもあと1ヶ月でこの暮らしも終わりだねえ』
小林「…早いね。」
『ね、初めての失敗が由依で良かった。』
小林「ふふ、そりゃどうも。」
この日から何処と無く由依の元気が無く、そんな由依を気にしながらも時は過ぎて気が付けば期限終了まであと一週間となっていた。
19:00 遅くてもこの時間までには帰ってきていたのに。心配だし、様子見に行こ。
幽霊特性、取り憑き主の居場所まで案内してくれる赤い線を辿っていけば3人の幽霊に囲まれた由依がいた。幽霊と言うより、悪霊と言った方が正解なのかもしれない。
『由依!!!』
小林「っ…hkr、」
"ああ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙"
"ぐるなぁあ!!!"
"俺たちの、オレタチノォォ!"
『…』
怯える由依の姿、腸が煮えくり返るほどの怒り。
もう来世に行くことは出来ないかもしれない。
けれど、それでもいい。アレを使おう。
『…スノー、ドロップ。』
そう唱えた瞬間世界が暗くなる。
由依の手を取り走り出す。
5分間、アイツらは火に包まれたまま、地獄の果てへと落ちて行くだろう。
かくいう私も、人間の目の前で使ってしまったのだからルール違反だ。
小林「はぁはぁ…、」
『はぁー、我が家ーー!』
小林「いや私の家だけどね。」
「…でも、助けてくれてありがとう。」
『どー致しまして。』
『怖かったでしょ、遅くなってごめんね。』
小林「…hkrだよね、あの人達燃やしたの。」
『…そうだねぇ、私だね。』
小林「大丈夫、なの?あんなの見た事ないけど、なんか良くない感じしたけど。」
『人間の前では使っちゃ駄目なルールだから、私はアウトかなぁ。』
小林「アウトってじゃあ、hkrはどうなるの、」
『来世にはもう行けない、的な?』
小林「っ…馬鹿!!!なんで、なんで私なんかのためにそんな代償払ったの!」
『由依だからだよ。』
『由依を守れるんだったら生まれ変われなくていいって思った。』
小林「っ…、ばか、ばかっ、」
「そんなこと言われたらっ、もっと、好きになっちゃう、この気持ち、捨てれなくなっちゃうよ、」
『…、大丈夫だよ、この期間が終わったら由依の記憶から私は消される。私に抱いてた気持ちも全部無くなるから、』
小林「っ…、そんなの、聞いてない、私hkrの事忘れたくない、嫌だよ、」
『…ごめんね、それが決まりだから、』
由依の暑いほど暖かい身体を抱きしめて頭を撫でる。少しでもいい、私の気持ちが、欠片が由依に残りますようにって。
その日から一週間、由依は仕事も休んで24時間ずっと私と過ごした。まるで、恋人との別れを惜しむように泣きそうな顔を時折浮かべながら。
そしてやってきた、別れの日。
小林「本当に、居なくなっちゃうの、?」
『…ん、初めて由依の目の前に現れた時からだから、18:46になった瞬間由依の前から私は消えちゃう、かな。』
小林「っ…あと、5分、」
『ねぇ、由依最後に我儘言っていい?』
小林「…?」
『キス、していい?』
彼女が忘れてしまうのなら。
最後くらい私にとっての思い出を作りたかった。
小林「いいに決まってるじゃん、馬鹿。」
『ふふ、ありがとう。』
暖かい由依の頬に手を添えて唇を重ねた。
何度も、角度を変えて、由依を忘れないように。
時計が46分になる。
『好き、だよ、由依。』
小林「私も好き。大好き。」
時計の針が1周まわって、47分になる。
私は由依の前から…、
『…あれ、消えない、あれ?!』
小林「っ…、どーゆうこと?」
『私にも分かんない、ちょ、まって本部に問い合わせ案件。』
小林「…本部とかあるんだ。」
脳波を使って溜まりに溜まっていたメールから本部を探し出せば一通のメールが届いていて、中身を開けば"幽霊から人間へ移動、細かい事は本部でやっておきます、また後日ご連絡申し上げます"なんて業務連絡が入っている。
聞いた事がある。
幽霊である私たちが心の底から人間を愛してしまった時、生きていた頃に関わっていた人たちの記憶からは全てが消えてしまうが、新たな人生として人間をやり直せると。
『やり直しの人生、』
小林「…人間に戻ったの、?」
『うん、そう、みたい。』
小林「っ…じゃあ、これからも一緒に、」
『居れる。由依とこれからも一緒にいれるよ。』
小林「っ…ぐす、hkrっ!!!」
『ふふ、由依ーーー!!!』
出会いも、恋の落ち方も、何もかも普通ではなかったけれど、ここにある愛は皆と何も変わらない、暖かいものだった。
小林「ただいまーー、hkrーー?」
『……わっ!!!』
小林「ん、ただいま。」
『………おかえり、』
小林「ふふ、私驚けないから、もう幽霊時代の名残出すのやめてもらっていい?笑」
『はーい、すみませーん、』
『あ、ご飯出来てるよ!』
小林「ふふ、いい匂いしてんなーって思ってた。」
『今日は由依の好きな物尽くしでーす。』
小林「いぇーい。」
恋物語の始まりは冷たくて、暖かかった。
-fin-
リクエスト 幽霊夢主×メンバーの話
ネタに走る感じのこばさん話好きです。
そう独り言を残して部屋に入ってきた彼女。
くっくっく。君は今から恐怖のどん底に落とされるのだ。残念だったなぁ、私みたいな幽霊に取り憑かれてしまうなんて。
まずはご挨拶と行きますか。
ーぱちぱちぱちぱち
小林「…あれ、電気壊れたかな。」
「まぁいっか。んー、疲れたー。」
…効かない。
ま、まぁ、これは私のちょっとした良心だ。
最初から怖がらせすぎても面白くないからね。
続いては、
プルルルルル プルルルルル
小林「…非通知。」
どうだ、怖いだろ、怖いだろ!!
小林「…怪し。出ないでおこー。」
…これも効かない!?
しかもこれは出るのが定番の流れじゃないか!!
手強い女に取り憑いてしまったみたいだな。
こうなれば最終段階、私が直接姿を表してやろう。
ーパチパチパチパチ
小林「まただ、そろそろ替え時なのかな。」
『…』スンッ
くっくっく、これでどうだ、怖いだろ、さぁ聞かせろ!恐怖の叫びを!!!
小林「…あー、これ見えちゃってる感じ?」
『…へ?』
小林「あんた名前は?」
『へ?わ、私?』
小林「うん、以外居ないでしょ。」
『…mrthkr、』
小林「hkr、あんた幽霊でしょ?なんで私に取り憑いてんの?てか勝手に部屋入ってきてさ、家賃取るよ。」
な、何だこの女は。
こんな展開初めてで、幽霊の私がドギマギしてしまう。
『あ、えっと、ごめんなさい。』
小林「…ん、で、要件は?」
『あー、いや、えっとー、私たち幽霊にも仕事がありまして、配属された取り憑き先の人を驚かせると生気っていうまぁ給料みたいなものが貰えまして、それを一定量貯めると来世に行けるって言う感じです。』
小林「へーー…、え、じゃああんた失敗じゃん、私驚かなかったけど。」
『…そうですね、失敗しました。』
小林「…どうなんの。死ぬの?あ、もう死んでるか。」
『あー、っと、まぁ、その凄く申し訳ないのですが初日で驚かせられなかった場合半年ほど取り憑かせていただくという…、』
小林「はぁ…、え、取り憑かれてると不運になるとかある?」
『あー、いえ、特に支障は…、ちょっと寒いかなぁくらいですかね。』
小林「ふーん…、」
本来なら悪さを仕掛けるのがマニュアルだけれど、この人には何もしないのがいいと本能が警告している。
『…すみません、』
小林「いや、まぁ驚けなかった私も悪いし、取り敢えず半年間、宜しく?」
『宜しくお願い致します…、』
こうして始まった小林由依との日々。
初めの1ヶ月は幽霊ながら小林由依という人間に怯えて過ごしていたけれど、2ヶ月目からはそれなりに知れた仲になり5ヶ月目を迎えた今は家族のように暮らす日々だった。
小林「ただいまー」
『おかえり。』
小林「つっかれたー、てかあっつー、hkr冷ましてー、」
『はぁーい、毎日お疲れ様ーー。』
私の上に座ればひんやりとした冷気が気持ちいいのか目を細めて喜ぶ由依。
小林「でも、幽霊って触れないのかと思ってた。」
『ほら、貞子とかも足掴んだりするじゃん?それと同じ原理。私たちも普通に触れるし幽霊が見える人にとってはそこら辺の人間と対して変わらないよ。事故死とかじゃなきゃね。』
小林「へーー、事故死の人とかは分かるの?」
『まぁ、見た目もボロボロだし、そーゆう人ほどこの世への未練は強いから、パッと見て分かると思うよ。』
小林「そうなんだ。」
「そう考えるとhkrめちゃめちゃ綺麗だよね。顔も整ってるし。」
『あぁー、でも、ほら背中見て、3箇所刺されてるでしょ、私死因他殺だから。』
小林「…嘘、うわ、うわ、痛くないの?」
『ぜーんぜん。幽霊になる前の傷とかそーゆうのは全く。』
小林「そうなんだー、ひゃー、知らないことばっかだなぁ。」
『ふふ、そりゃそうでしょ、生きてんだもん。』
小林「…幽霊かぁ、でも死んでまで働くなんてなんか大して人間と変わらないね。」
『そうだねぇ、でもさっき言ったみたいに事故死とか、私みたいに他殺で死んじゃった人はさ大抵の人がこの世への未練がめーっちゃあるわけよ、』
小林「うん、」
『だから、それが執念になってホラー映画とかに出てくる厄介系の霊になっちゃうことも度々って感じ、』
小林「…hkrは未練ないの?」
『うん、ないかなぁ。それが運命だったってことだしね。』
小林「ふふ、冷めてるね。」
『幽霊だけに冷え冷えだよ。』
小林「…つまんな。」
『うっ…胸が痛い、』
小林「ふふ、」
未練はないけれど、この暮らしを続けられたらな、なんて思っている自分もいて笑ってしまう。
霊になると自分の欲に素直になるなんて言うけれどそれは本当なのかもしれない。
『でもあと1ヶ月でこの暮らしも終わりだねえ』
小林「…早いね。」
『ね、初めての失敗が由依で良かった。』
小林「ふふ、そりゃどうも。」
この日から何処と無く由依の元気が無く、そんな由依を気にしながらも時は過ぎて気が付けば期限終了まであと一週間となっていた。
19:00 遅くてもこの時間までには帰ってきていたのに。心配だし、様子見に行こ。
幽霊特性、取り憑き主の居場所まで案内してくれる赤い線を辿っていけば3人の幽霊に囲まれた由依がいた。幽霊と言うより、悪霊と言った方が正解なのかもしれない。
『由依!!!』
小林「っ…hkr、」
"ああ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙"
"ぐるなぁあ!!!"
"俺たちの、オレタチノォォ!"
『…』
怯える由依の姿、腸が煮えくり返るほどの怒り。
もう来世に行くことは出来ないかもしれない。
けれど、それでもいい。アレを使おう。
『…スノー、ドロップ。』
そう唱えた瞬間世界が暗くなる。
由依の手を取り走り出す。
5分間、アイツらは火に包まれたまま、地獄の果てへと落ちて行くだろう。
かくいう私も、人間の目の前で使ってしまったのだからルール違反だ。
小林「はぁはぁ…、」
『はぁー、我が家ーー!』
小林「いや私の家だけどね。」
「…でも、助けてくれてありがとう。」
『どー致しまして。』
『怖かったでしょ、遅くなってごめんね。』
小林「…hkrだよね、あの人達燃やしたの。」
『…そうだねぇ、私だね。』
小林「大丈夫、なの?あんなの見た事ないけど、なんか良くない感じしたけど。」
『人間の前では使っちゃ駄目なルールだから、私はアウトかなぁ。』
小林「アウトってじゃあ、hkrはどうなるの、」
『来世にはもう行けない、的な?』
小林「っ…馬鹿!!!なんで、なんで私なんかのためにそんな代償払ったの!」
『由依だからだよ。』
『由依を守れるんだったら生まれ変われなくていいって思った。』
小林「っ…、ばか、ばかっ、」
「そんなこと言われたらっ、もっと、好きになっちゃう、この気持ち、捨てれなくなっちゃうよ、」
『…、大丈夫だよ、この期間が終わったら由依の記憶から私は消される。私に抱いてた気持ちも全部無くなるから、』
小林「っ…、そんなの、聞いてない、私hkrの事忘れたくない、嫌だよ、」
『…ごめんね、それが決まりだから、』
由依の暑いほど暖かい身体を抱きしめて頭を撫でる。少しでもいい、私の気持ちが、欠片が由依に残りますようにって。
その日から一週間、由依は仕事も休んで24時間ずっと私と過ごした。まるで、恋人との別れを惜しむように泣きそうな顔を時折浮かべながら。
そしてやってきた、別れの日。
小林「本当に、居なくなっちゃうの、?」
『…ん、初めて由依の目の前に現れた時からだから、18:46になった瞬間由依の前から私は消えちゃう、かな。』
小林「っ…あと、5分、」
『ねぇ、由依最後に我儘言っていい?』
小林「…?」
『キス、していい?』
彼女が忘れてしまうのなら。
最後くらい私にとっての思い出を作りたかった。
小林「いいに決まってるじゃん、馬鹿。」
『ふふ、ありがとう。』
暖かい由依の頬に手を添えて唇を重ねた。
何度も、角度を変えて、由依を忘れないように。
時計が46分になる。
『好き、だよ、由依。』
小林「私も好き。大好き。」
時計の針が1周まわって、47分になる。
私は由依の前から…、
『…あれ、消えない、あれ?!』
小林「っ…、どーゆうこと?」
『私にも分かんない、ちょ、まって本部に問い合わせ案件。』
小林「…本部とかあるんだ。」
脳波を使って溜まりに溜まっていたメールから本部を探し出せば一通のメールが届いていて、中身を開けば"幽霊から人間へ移動、細かい事は本部でやっておきます、また後日ご連絡申し上げます"なんて業務連絡が入っている。
聞いた事がある。
幽霊である私たちが心の底から人間を愛してしまった時、生きていた頃に関わっていた人たちの記憶からは全てが消えてしまうが、新たな人生として人間をやり直せると。
『やり直しの人生、』
小林「…人間に戻ったの、?」
『うん、そう、みたい。』
小林「っ…じゃあ、これからも一緒に、」
『居れる。由依とこれからも一緒にいれるよ。』
小林「っ…ぐす、hkrっ!!!」
『ふふ、由依ーーー!!!』
出会いも、恋の落ち方も、何もかも普通ではなかったけれど、ここにある愛は皆と何も変わらない、暖かいものだった。
小林「ただいまーー、hkrーー?」
『……わっ!!!』
小林「ん、ただいま。」
『………おかえり、』
小林「ふふ、私驚けないから、もう幽霊時代の名残出すのやめてもらっていい?笑」
『はーい、すみませーん、』
『あ、ご飯出来てるよ!』
小林「ふふ、いい匂いしてんなーって思ってた。」
『今日は由依の好きな物尽くしでーす。』
小林「いぇーい。」
恋物語の始まりは冷たくて、暖かかった。
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リクエスト 幽霊夢主×メンバーの話
ネタに走る感じのこばさん話好きです。