『先輩。』


小林｢ん？｣


『好きです。』


小林｢ふふ、ありがとう。｣
｢帰ろっか。｣


『はい。』


どれだけ由依先輩を想おうと、気持ちを伝えようと由依先輩の気持ちは別の所にあって、それが私に向くことは無い。分かってる、それでも私は彼女から抜け出せずに居た。







森田｢おはよー、hkr今日も由依先輩と登校してたやん、まだ付き合っとらんのー？｣


『おはよ、付き合ってないよ、由依先輩は他に好きな人いるし。』


森田｢その好きな人って誰なん？｣


『…さあ。』


森田｢hkrも知らないんだ、誰なんだろうね。｣
｢あ、そうそう聞いて保乃ちゃんがね……、｣


ごめんね、ひかる、今は、その子の名前聞きたくないや。例えそれがひかるの恋人であろうと、その人が由依先輩の好きな人だから。


『ごめん、ちょっとトイレ、』


森田｢ん！行ってらっしゃい！｣


逃げるように教室から出て、自由を求めるように屋上へやって来た。


酷く快晴の今日は私の全てを照らし出す。
春の香りを乗せた風に髪が靡いてなんだか切ない気持ちになる。


『っ…、』


突然、物音もなく後ろから抱きしめられた身体。振り向かずともわかってしまう。
この暖かさを、私の大好きなこの匂いを私は知っている。


『由依、先輩？』


小林｢振られちゃった、｣


私のお腹にぎゅっと回っている腕に手を重ねて、よく頑張りましたね、なんて慰めの言葉をかける。私は最低な人間だ。好きな人が涙しているのに、傷付いているのに、結ばれなかった恋に気持ちが昂ってしまう。


保乃ちゃんはひかるの恋人だし付き合うことはないと分かっていても、由依先輩が吹っ切れるまで保乃ちゃんは由依先輩にとって好きな人って位置は変わらなかった。だから、元好きな人になったこの瞬間をずっと待っていたんだ。


『私にしなよ、先輩。』
『もう保乃ちゃんに執着してても辛いだけだよ。』


弱さに漬け込むように、向きを変え由依先輩の頬に手を添える。そのままゆっくりと顔を近づけて、唇を重ねた。


小林｢んっ…、｣


『…なんで避けないんですか、』


小林｢避ける理由、無くなったから、｣


『ならそのまま私のものになってよ、』
『好きですよ、先輩。』


小林｢…うん、ありがとう、｣


『…狡い人。』


今日も由依先輩は私のモノになるつもりがないらしい。


小林｢狡くて、ごめんね。｣


そう呟いて、また重なった唇。
あぁ、本当に狡い。


でも、好きです。


-fin-


リクエスト 学パロぽん×夢主
片想いしてるゆいぽんに片思いしてる夢主の話