▶︎ 田村保乃

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"おい、陰キャ、どいてくんない?"
"邪魔なんですけどーー"


『…、』


別にどうでもいいと思っていた。
この空間に何かを求めているわけではなかったし、反応する事で余計物事が大きくなるのなら黙って彼女たちに従ったままでいいと思っていた。


田村「…なぁ、なんで言い返さんの?」


『…っ、』


目の前にやってきた眩しいほど可愛い彼女は私の前髪に隠れた目を覗き込んでそう言った。


"保乃ちゃん…、購買行ったんじゃなかったの?"


田村「あ、お財布忘れててん。」
「それより保乃が居ない間こんなことしてたんやね。」


"あー、いや、違くてたまたまっていうか"


田村「保乃そーゆうの嫌って言ったやんな?」


"っ…ごめん"
"ごめん、もうしないから"


田村「謝る相手違うやろ。」


"っ…mrtさんごめんなさい"
"ごめん"


『…全然、』


田村「君も、嫌なことは嫌って言わなあかんで?な?」


『…、』
『ありがとう。』


田村「ん!ほな、購買行ってくるわ!」


初めて恋をした瞬間だった。
学年一人気で、高嶺の花、田村保乃。
少しでも彼女の視界の中に映っていたいと思った。


自分の行動で変わる世界が苦手だった。
でも今は、変わって欲しいと思った。
もっと彼女に近づきたいと、そう思った。


今の私じゃ駄目だ。まずは見た目から、変わろう。













"え?あれ誰?"
"あんな子うちの高校に居た?"
"いやいや、居ないでしょ。"


イメチェンは成功したらしい。
けど、私が1番知りたいのか彼女の反応だ。


田村「…おぉ、ふふ、イケメンさんやな?」


『っ…、』


田村「今の君の方が、保乃は好きやで。」


『…、田村さんに意識して欲しくて。』


田村「っ…ストレートやなぁ。」


『格好いい言い回しとか、分かんなくて、』


田村「君らしい。ふふ、これから楽しみにしてんで?」


『うん。』


田村さんと会話をする。一日目のミッションクリア。


(2日目)


『おはよう、田村さん。』


田村「おはよう、なぁ、田村さんって呼び方のままじゃ保乃は靡かへんで?」


『っ…保乃、ちゃん。』


田村「ん、それでええ。君のことは、君でええか!」


『…、』


田村「ふふ、納得いってなさそうやなぁ。」
「なんて呼ばれたいん?」


『…hkr。』


田村「分かった、いつか呼ぶな?」


『いつか…、』


田村「ふふ、」


呼び名を決める。2日目のミッションクリア。


(3日目)


キーンコーンカーンコーン


『保乃ちゃん。』


田村「ん?どうしたん?」


『お昼ご飯、一緒に食べたい。』


田村「ええよ!屋上行く?」


『うん。』


お昼ご飯を誘う。ミッションクリア。


"え!mrtさんと保乃ちゃんが一緒に!"
"付き合ってんのかな"


-屋上-


田村「んーー、気持ちいいな?」


『…綺麗、』


可愛く笑う彼女の髪が風に靡かれて、その光景があまりにも綺麗で思わず口に出てしまう。


田村「っ…、ほんま君はストレート、」


『あ、ごめん、』


田村「んーん、嬉しかったで。ほら、食べよ!」


『うん、いただきます。』


(1ヶ月目)


『…、』


"あの、"


『…?』


"ひ、昼休み、体育館裏に来て貰えませんか?"


見覚えのない後輩、顔を赤く染めそう呟く彼女に1度だけ頷けば嬉しそうにお礼を告げたあと教室を出ていった。


田村「ふーーん、君は他の子にうつつを抜かす暇があったんや?」


『え?』


田村「お昼今日は他の子と食べるから。」


『っ…、』
『怒ってる?』


田村「怒ってへん。」
「保乃、ひぃちゃんの所行ってくるから。」


『あ…、』


行っちゃった。
何か彼女を怒らせてしまうことをしたのだろうか。他の子にうつつを抜かす暇、なんかある訳ないし、私はずっと彼女一筋だ。


藤吉「嫉妬やなぁ。」


『…え?』


藤吉「保乃、嫉妬してるんやない?」


『嫉妬…、なんで、』


藤吉「それは本人に聞くべきなんやない?」


『…、ありがとう、藤吉さん。』


藤吉「ふふ、応援してんで。」


もし、私の考えが勘違いじゃなければ、自惚れじゃなかったら。


…あれ、森田さんって何組だっけ。
走り出したはいいもののひぃちゃん、基森田さんのクラスが分からない。やらかした。藤吉さんに聞いてくるべきだった。


田村「…なにキョロキョロしてんの、怪しいで。」


『保乃ちゃん…!!!』


前からやってきた彼女はまだ不機嫌な様子のまま。そんな様子さえ可愛い彼女に1歩近づいて、声を掛ける。


『私は、今まで欲とか、執着とか、分かんなかった。でも、あの日自分を持ってて、格好いい保乃ちゃんに惹かれた瞬間、もっと近づきたい、意識して欲しいって思った。』


田村「…、」


『この1ヶ月、保乃ちゃんだけを見てきた、それはこれからも変わらない。もし、今保乃ちゃんの怒ってる理由が嫉妬だったら、凄く、嬉しい。』


田村「…はぁ、ほんとhkrはストレートやな。保乃の方が隠しきれんくなってまう、」


『今、hkrって…、』


田村「保乃の負けや、保乃もhkrが好き。ずっーと、好きやった。」


『…、保乃、ちゃん、』


抱き締められた身体、急に近くなった彼女との距離、心臓は途端に早く動き出して、苦しくなって、でも、凄く凄く嬉しい。


田村「hkrが保乃の為にイメチェンしてくれる前からずっと好きやってん。」


『え?なんで、』


田村「一目惚れ、やな。」


『嘘…、』


田村「ほんま、学校の帰り道で、猫と戯れてるhkrみて好きやなぁって思ってん、」


『…見られてたんだ、恥ずかし、』


田村「ふふ、保乃の方が片想い歴長いねんで〜、敬って??」


『敬う、べき?笑』


田村「敬うべきやな。」
「…、今日の昼休み、ちゃんと断ってきて。」


『断る?何を?』


田村「告白、」


『え?告白?』


田村「あの子、hkrに告白するつもりやん!」


『え?そうなの?』


田村「嘘、やから嫉妬って言ったんちゃうの?」


『あ、いや、他の子と話しちゃったから嫉妬してたのかなぁって、』


田村「…はぁ、もう、馬鹿、鈍感。」


『…告白、か。』
『もし、してくれたらちゃんと断るよ。私は、保乃ちゃんしか見えないから。』


田村「…ん、約束やから。」


『うん、約束。』


小指同士を絡めて小学生のように指切りげんまんをした。ほんの少し遠くにいた保乃ちゃんも、近くで見る保乃ちゃんもやっぱり綺麗で、可愛くて、愛おしい。


私は、恋をして、愛を知って、嫉妬や、執着を学んだ。


これからも彼女と過ごせば過ごすほど増える感情に一つ一つ名前をつけていきたい。


愛という箱にたくさんの感情を詰めていけたらいい。


-fin-


リクエスト 高嶺の花田村さんに釣り合うために垢抜け頑張る夢主
不器用で鈍感な夢主×お姉さんな保乃
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