▶︎ 田村保乃
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あの日から変わったことがある。
それは、席に座ることなく吊革を掴むようになったこと。
入口ドアから1番近い場所に立ち、今日も保乃ちゃんを待っていた。あの日から早々と時は経ち私は3年生になった。保乃ちゃんと出会って2年が経ったのだ。
プシュー
森田「…あれ、hkr先輩?」
『ん?あ、ひかるちゃん?』
森田「わ、おはようございます。」
『おはよう、あれ、ひかるちゃんこのバスだったの?』
森田「あ、いや普段は電車なんですけど、今日はたまたま、」
『そっかそっか!』
森田「えー、でもhkr先輩おるんならバスにしようかなー、」
『ふふ、何可愛いこと言ってんの笑』
森田「へへ、誰かと一緒に来とるんですか?」
『ん、そう、知り合いとねー、』
森田「そうなんですね、今度私とも行きましょ!」
プシューー
7時52分、保乃ちゃんが乗ってくる時間。
『ふふ、勿論。』
可愛い後輩の頭を撫で、チラッと入口を見ればよく分からない表情を浮かべた保乃ちゃんと目が合う。
森田「じゃあ、私奥の席座りますね。」
『ん、またあとでね。』
森田「ふふ、はいっ!!」
ひかるちゃんが離れ、保乃ちゃんが隣にやってくる。
『おはよう。』
田村「おはよう、友達?」
『ん?んー、仲のいい後輩?』
田村「そうなんや、」
『ね、今日終わるの遅いんだよね?』
田村「ん、そう、やから〜…、」
『ふふ、分かってるよ、美味しいおつまみ作って待ってるね。』
田村「ありがとう〜〜、」
あの日から変わったことはまだあった。
それは、定期的に保乃ちゃんのお家にお泊まりしていること、不健康な食生活を送っている保乃ちゃんを健康にするため、なんて理由を建前に好きな人と過ごす時間はすごく幸せなものだった。
そして今日がその日だった。
田村「hkrのご飯楽しみに今日も頑張ろう…、」
『私も頑張ろーー。』
たった15分の間に沢山言葉を交わして、保乃ちゃんをチャージする。
そして学校の最寄りに着いてしまったため、私は名残惜しくもバスを降りた。後を追うようにひかるちゃんも降りてきて共に学校へ向かう。
早く学校終わんないかな。
『お邪魔しまーす…って、誰もいるわけないよね。』
通い慣れた保乃ちゃんの部屋。
スーパーで買ってきた食品たちを冷蔵庫に入れてから部屋の一角に置いてある私の荷物の中から服を取りだしささっと着替え、キッチンにたつ。
金曜日、きっと保乃ちゃんは死にそうな顔で帰ってくるだろうから、栄養満点の健康おつまみを作ろう。
こうして無事完成したご飯たちに満足していればガチャと音が鳴って、"ただいま〜"なんて保乃ちゃんの声が聞こえる。
『おかえり!!ナイスタイミング、丁度ご飯できたよ。』
田村「もうな、ドアの外からいい匂いがしてきてて、あ〜、お腹減った、手洗って着替えたらすぐ行く、」
『ん、待ってるね〜。』
冷蔵庫にあるキンキンに冷やしておいたグラスとビールを取り出し準備は完璧。
ドタバタドタバタ
田村「ご飯!!!」
『そんな焦らなくてもご飯は逃げないから。笑』
田村「お腹すいたんやもん!」
「んー、美味しそう、いただきます!」
『どうぞ〜』
プシュッといい音を立てて開かれたビールをコップに流し込み、おかず片手に飲んでいる姿は22歳とは思えないけど、それもそれで好きな姿だった。
田村「ほんっっまに美味しい、幸せー、」
『良かった〜。』
今日はいつもよりも疲れているのか、お酒を飲むスピードは早く、量も一段と多い。
そして1時間後には顔を真っ赤にしていた。
そんな保乃ちゃんを心配しながらも食器を片付け、再び隣に座る。
『ふふ、顔真っ赤、もう飲むの辞めたら?』
田村「んー、嫌やーー、」
『二日酔いになっちゃうよー、』
田村「…hkrちゃんは!」
『…?』
田村「hkrは、皆とあんなに距離が近いん!」
『え?』
田村「後輩の子!!頭撫でてたし、バス降りたあとも腕組んで歩いてたやん!!!」
『あぁ、ひかるちゃんは末っ子感強いし割とみんなにくっついてるよ、?』
田村「そうやなくて!!保乃がしてるのひかるちゃんの話やない、hkrの話なの!」
『…、ほう、』
田村「hkrは!皆のこと受け入れるん?保乃だけじゃ、ないん?」
今日の保乃ちゃんはすごく酔っ払っている、そんなの分かってる。酔っ払いの戯言なのもわかっているのに、何処か拗ねた様子の保乃ちゃんに自惚れてしまいそうになる。
『ふふ、そんな彼女みたいなこと言って〜笑笑』
田村「っ…、保乃は彼女になりたい、」
『え…?』
田村「保乃はhkrの彼女になりたい!1番になりたいねん!」
『…ほんと飲み過ぎだよ。ほら、お水飲も。』
これ以上保乃ちゃんと言葉を交わしてしまえば、全て言葉通り受け取ってしまう。朝起きて、傷付くのは、嫌だから。
席を立ち、コップに水を汲んだ。
ドンッ
『ちょ、保乃、ちゃん?』
はずだった。
それなのに気づけば机と保乃ちゃんに挟まれていて、ビールを口いっぱいに含んだかと思えば、重なった唇。口内に充満する苦いアルコールの匂い、ビールが通ったあとの喉はほんのり熱くて、たった1口なのに何故か凄く酔っている気分だ。
『っはぁっ…、保乃、ちゃん!』
田村「保乃は本気、酔ってるからとかやない、本気でhkrのことが好きなの。2年前の、hkrを見かけた日からずっと、好きやった。」
『っ…、』
思いもよらぬ報告にたちまち顔は熱くなる。
保乃ちゃんも私と同じだったってこと?
片想いじゃなかったってこと、だよね?
『私も、保乃ちゃんに一目惚れして、今日までずっと、好きだった。』
田村「っ…ほんまに?」
『うん、ほんとに。』
田村「付き合って、hkr、」
『お願いします、』
田村「はぁ〜〜、良かったぁ、へへ、付き合う前にチューしちゃったな?」
なんて悪戯げに笑う保乃ちゃんには余裕があるようで、それが嫌で私からもう一度キスをした。
離れることなく、何度も何度も食べるように唇を重ね合って、そして、好きと呟いた。
田村「保乃も、好き、大好きやで、」
そういって首にかけられた腕、縮まる距離、超えてしまった一線。どれもこれも、今隣で寝ている酔っ払いと、初めてのお酒のせい。
付き合った日に一線を超えるなんて思っても居なかったし、そんな恋愛はしないと思っていた。
それなのにこの人に恋した私はあの日から当たり前が当たり前じゃなくなって、全てが新鮮で、愛おしかった。
そしてそれから1年。
私は無事高校を卒業して就職も決まった。
今日もあのバスに乗りこみ、7時52部を待った。
プシューー
『ふぁー、』
田村「ふふ、眠そうやな、おはよ。」
『ん、おはよ、保乃。』
田村「今日から社会人やな〜〜。」
『緊張。』
田村「ふふ、大丈夫、大丈夫。」
「保乃やって頑張れてるんやから絶対大丈夫やで。」
『ふふ、ありがとう。』
『あ、今日の夜ご飯ロールキャベツにしようと思うんだけど、』
田村「え!ええなぁ!」
『じゃあ一緒に買ってから保乃の家帰ろう?』
田村「やなぁ、」
いつもは降りていた高校の最寄り。
今日はそれを超えて、15分という時も超え辿り着いたのは大きな会社。
保乃と共にバスを降りてスーツを正す。
田村「ふふ、格好いいやん。」
「今日からよろしくな?新入社員さん。」
『ふふ、よろしくお願いします。教育係の田村さん。』
こうして、私達の第2章となる物語が始まった。
-fin-
それは、席に座ることなく吊革を掴むようになったこと。
入口ドアから1番近い場所に立ち、今日も保乃ちゃんを待っていた。あの日から早々と時は経ち私は3年生になった。保乃ちゃんと出会って2年が経ったのだ。
プシュー
森田「…あれ、hkr先輩?」
『ん?あ、ひかるちゃん?』
森田「わ、おはようございます。」
『おはよう、あれ、ひかるちゃんこのバスだったの?』
森田「あ、いや普段は電車なんですけど、今日はたまたま、」
『そっかそっか!』
森田「えー、でもhkr先輩おるんならバスにしようかなー、」
『ふふ、何可愛いこと言ってんの笑』
森田「へへ、誰かと一緒に来とるんですか?」
『ん、そう、知り合いとねー、』
森田「そうなんですね、今度私とも行きましょ!」
プシューー
7時52分、保乃ちゃんが乗ってくる時間。
『ふふ、勿論。』
可愛い後輩の頭を撫で、チラッと入口を見ればよく分からない表情を浮かべた保乃ちゃんと目が合う。
森田「じゃあ、私奥の席座りますね。」
『ん、またあとでね。』
森田「ふふ、はいっ!!」
ひかるちゃんが離れ、保乃ちゃんが隣にやってくる。
『おはよう。』
田村「おはよう、友達?」
『ん?んー、仲のいい後輩?』
田村「そうなんや、」
『ね、今日終わるの遅いんだよね?』
田村「ん、そう、やから〜…、」
『ふふ、分かってるよ、美味しいおつまみ作って待ってるね。』
田村「ありがとう〜〜、」
あの日から変わったことはまだあった。
それは、定期的に保乃ちゃんのお家にお泊まりしていること、不健康な食生活を送っている保乃ちゃんを健康にするため、なんて理由を建前に好きな人と過ごす時間はすごく幸せなものだった。
そして今日がその日だった。
田村「hkrのご飯楽しみに今日も頑張ろう…、」
『私も頑張ろーー。』
たった15分の間に沢山言葉を交わして、保乃ちゃんをチャージする。
そして学校の最寄りに着いてしまったため、私は名残惜しくもバスを降りた。後を追うようにひかるちゃんも降りてきて共に学校へ向かう。
早く学校終わんないかな。
『お邪魔しまーす…って、誰もいるわけないよね。』
通い慣れた保乃ちゃんの部屋。
スーパーで買ってきた食品たちを冷蔵庫に入れてから部屋の一角に置いてある私の荷物の中から服を取りだしささっと着替え、キッチンにたつ。
金曜日、きっと保乃ちゃんは死にそうな顔で帰ってくるだろうから、栄養満点の健康おつまみを作ろう。
こうして無事完成したご飯たちに満足していればガチャと音が鳴って、"ただいま〜"なんて保乃ちゃんの声が聞こえる。
『おかえり!!ナイスタイミング、丁度ご飯できたよ。』
田村「もうな、ドアの外からいい匂いがしてきてて、あ〜、お腹減った、手洗って着替えたらすぐ行く、」
『ん、待ってるね〜。』
冷蔵庫にあるキンキンに冷やしておいたグラスとビールを取り出し準備は完璧。
ドタバタドタバタ
田村「ご飯!!!」
『そんな焦らなくてもご飯は逃げないから。笑』
田村「お腹すいたんやもん!」
「んー、美味しそう、いただきます!」
『どうぞ〜』
プシュッといい音を立てて開かれたビールをコップに流し込み、おかず片手に飲んでいる姿は22歳とは思えないけど、それもそれで好きな姿だった。
田村「ほんっっまに美味しい、幸せー、」
『良かった〜。』
今日はいつもよりも疲れているのか、お酒を飲むスピードは早く、量も一段と多い。
そして1時間後には顔を真っ赤にしていた。
そんな保乃ちゃんを心配しながらも食器を片付け、再び隣に座る。
『ふふ、顔真っ赤、もう飲むの辞めたら?』
田村「んー、嫌やーー、」
『二日酔いになっちゃうよー、』
田村「…hkrちゃんは!」
『…?』
田村「hkrは、皆とあんなに距離が近いん!」
『え?』
田村「後輩の子!!頭撫でてたし、バス降りたあとも腕組んで歩いてたやん!!!」
『あぁ、ひかるちゃんは末っ子感強いし割とみんなにくっついてるよ、?』
田村「そうやなくて!!保乃がしてるのひかるちゃんの話やない、hkrの話なの!」
『…、ほう、』
田村「hkrは!皆のこと受け入れるん?保乃だけじゃ、ないん?」
今日の保乃ちゃんはすごく酔っ払っている、そんなの分かってる。酔っ払いの戯言なのもわかっているのに、何処か拗ねた様子の保乃ちゃんに自惚れてしまいそうになる。
『ふふ、そんな彼女みたいなこと言って〜笑笑』
田村「っ…、保乃は彼女になりたい、」
『え…?』
田村「保乃はhkrの彼女になりたい!1番になりたいねん!」
『…ほんと飲み過ぎだよ。ほら、お水飲も。』
これ以上保乃ちゃんと言葉を交わしてしまえば、全て言葉通り受け取ってしまう。朝起きて、傷付くのは、嫌だから。
席を立ち、コップに水を汲んだ。
ドンッ
『ちょ、保乃、ちゃん?』
はずだった。
それなのに気づけば机と保乃ちゃんに挟まれていて、ビールを口いっぱいに含んだかと思えば、重なった唇。口内に充満する苦いアルコールの匂い、ビールが通ったあとの喉はほんのり熱くて、たった1口なのに何故か凄く酔っている気分だ。
『っはぁっ…、保乃、ちゃん!』
田村「保乃は本気、酔ってるからとかやない、本気でhkrのことが好きなの。2年前の、hkrを見かけた日からずっと、好きやった。」
『っ…、』
思いもよらぬ報告にたちまち顔は熱くなる。
保乃ちゃんも私と同じだったってこと?
片想いじゃなかったってこと、だよね?
『私も、保乃ちゃんに一目惚れして、今日までずっと、好きだった。』
田村「っ…ほんまに?」
『うん、ほんとに。』
田村「付き合って、hkr、」
『お願いします、』
田村「はぁ〜〜、良かったぁ、へへ、付き合う前にチューしちゃったな?」
なんて悪戯げに笑う保乃ちゃんには余裕があるようで、それが嫌で私からもう一度キスをした。
離れることなく、何度も何度も食べるように唇を重ね合って、そして、好きと呟いた。
田村「保乃も、好き、大好きやで、」
そういって首にかけられた腕、縮まる距離、超えてしまった一線。どれもこれも、今隣で寝ている酔っ払いと、初めてのお酒のせい。
付き合った日に一線を超えるなんて思っても居なかったし、そんな恋愛はしないと思っていた。
それなのにこの人に恋した私はあの日から当たり前が当たり前じゃなくなって、全てが新鮮で、愛おしかった。
そしてそれから1年。
私は無事高校を卒業して就職も決まった。
今日もあのバスに乗りこみ、7時52部を待った。
プシューー
『ふぁー、』
田村「ふふ、眠そうやな、おはよ。」
『ん、おはよ、保乃。』
田村「今日から社会人やな〜〜。」
『緊張。』
田村「ふふ、大丈夫、大丈夫。」
「保乃やって頑張れてるんやから絶対大丈夫やで。」
『ふふ、ありがとう。』
『あ、今日の夜ご飯ロールキャベツにしようと思うんだけど、』
田村「え!ええなぁ!」
『じゃあ一緒に買ってから保乃の家帰ろう?』
田村「やなぁ、」
いつもは降りていた高校の最寄り。
今日はそれを超えて、15分という時も超え辿り着いたのは大きな会社。
保乃と共にバスを降りてスーツを正す。
田村「ふふ、格好いいやん。」
「今日からよろしくな?新入社員さん。」
『ふふ、よろしくお願いします。教育係の田村さん。』
こうして、私達の第2章となる物語が始まった。
-fin-