▶︎ 田村保乃
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月曜から金曜までの五日間、朝の15分。
たった15分のためだけに私は毎回同じ時間、同じバスに乗った。
出口の斜め後ろの席。
そこに座って、7時52分に乗り込んでくる綺麗なお姉さんを待っていた。
この気持ちを一言で表すなら恋だと思う。
高校一年生の夏、電車からバスに定期を変え乗り込んだ車内に少しドキドキしていれば、途中から乗り込んできた彼女に一目惚れをした。
名前も歳も知らない、彼女に1年以上の片想いをしている。
唯一知っているのは、笑うと笑窪が出来ること。その笑顔が凄く好きなことだった。
だから今日も、この場所で彼女を待った。
〜○○駅〜
彼女が乗り込んでくる駅。
暗くなったスマホで前髪を整えて、ちらっとドアを見た。
『…、』
今日も彼女は7時52分にやって来る、でも少しだけ様子がおかしい。いつもは明るいオーラを放ってる彼女が今日はどことなくふらついていて、、、体調が悪い?
いつもは捕まるつり革も掴む気力がないのか、私の目の前にあるポールをぎゅっと掴んで精一杯立っていた。
『…あの、席、』
田村「え…?あ、いや、大丈夫、やから、ありがとうな、」
見るからに大丈夫じゃなさそうな笑顔でそう言った、彼女とした初めての会話。
『具合悪そうです、私今日立ちたい気分なので座って貰えませんか。』
田村「…ありがとう、」
また力なく、でも可愛く笑った彼女はふらついた体をシートに着け、苦しそうに呼吸をしている、
『…、』
好きな人が苦しんでいるのに、私は何も出来ないのだろうか。何か、出来ることは。
田村「…くしゅっ、」
『…すみません、ちょっと失礼します、』
田村「…?ん…、」
『あつ、お姉さん熱ありますよ、』
田村「…やっぱりあるんかな、なんか寒くて、」
『とりあえずこれ、』
自分の来ていたブレザーを彼女に掛け、学校に休みの連絡を済ませる。どちらにせよ、彼女を1人にするという選択肢は私には無かった。
田村「ありがとう、っ、」
『えっとー、取り敢えずお仕事休みますか?』
田村「…休んでも、家に1人やし、どうしようかな、」
寂しそうに笑った彼女にまた胸がときめいて、苦しくなる。
『お姉さんさえ良ければお姉さんが治るまで、そばに居ます。』
田村「…良いん?」
『はい、心配なので私もそっちの方が嬉しいです。』
田村「ありがとう、なら次の駅で降りてもええ?」
『はいっ。』
思わぬ展開に嬉しくなるが彼女にとって、これはたまたま近くにいたちょっと親切な高校生ってだけ。
〜✕✕駅〜
『降りますか、』
田村「ん、よいしょっ、」
『っ…おっと、大丈夫ですか?』
田村「ごめん、体に力入らんくて、」
『いえ、手握っててください、』
ふらついた彼女によってぐっと縮まった距離にドギマギしながらも、彼女がケガしないように手を取り地面に足をつけた。
『…、』
田村「タクシー、通るかな、」
『お姉さんそこ座っててください、捕まえて来ます!』
田村「ごめんな、ありがとう、」
近くのベンチに彼女を座らせ、もう一度ブレザーを掛けてから近くの大通りへ出た。
以外にもすぐタクシーは捕まり、お姉さんの元までたどり着く。
『乗れますか、』
田村「ん、ありがとう、」
私がなにかする度に"ありがとう"と伝える彼女はきっと素敵な人なんだろうな。私の一目惚れは間違っていなかったみたい。
田村「〜〜〜まで、お願いします、」
運転手「はーい。」
バスとは違う、隣に座っているお姉さん。
髪綺麗だなぁ、恋人とか居るのかな。
田村「あ…、」
『ん?どうしました?どっか痛い?』
田村「そうやなくて、田村保乃です、」
『え、あ、えっとmrthkrです。』
田村「hkrちゃん、」
『田村、さん、』
田村「ふふ、保乃でええよ。」
『保乃さん?』
田村「んー、距離感じるなぁ…、保乃"ちゃん"がええ。」
『保乃…ちゃん、』
田村「ふふ、うん。」
「くしゅっ…、」
『大丈夫ですか、寒い?』
田村「寒い、本格的に風邪引いちゃったんかなぁ。手、触ってみて、冷たいやろ?」
『…冷たい。』
田村「ふふ、hkrちゃんは暖かい。」
車内で繋がれている手。細長く綺麗な指が私を捕まえて離さない。もう、抜けられないかも。
運転手「お客さん着きましたよ。」
田村「ありがとうございます、これで、」
運転手「はーい、ご利用ありがとうございました。」
大人らしくカードで支払ったお姉さんに慌てて財布を出せば"保乃の我儘やから"なんて鞄の中に逆戻り。
保乃ちゃんの住んでいるマンションは凄く綺麗で住んでみたいと口に出てしまうほどだった。
『…お邪魔します、』
田村「ん…、ごめんな、散らかってるけど、」
『いや、全然、』
全然綺麗だ、朝迷ったんであろう服が少し乱れているくらいで、本当に綺麗だった。
『えーっと、とりあえずお粥とかありますか。』
田村「…どうやったかなあ、」
『あ、お姉さん…じゃなくて、保乃ちゃんはベッドで横になってて下さい、』
田村「いいん、?」
『はい、あ、あのキッチン借りても大丈夫ですか?』
田村「それは全然大丈夫やけど、」
『ありがとうございます。』
と、意気込んだものの冷蔵庫の中はお酒とおつまみになるようなものしかはいっていない。
『…スーパーに、って寝てるか、』
可愛い寝顔を浮かべている彼女を起こさないように財布を持ち、後鍵をお借りして家を出た。
歩いて二分でスーパーに辿り着き、次々に食材をカゴに入れた。
昔から得意だった料理は今日のために習得していたのかもしれない。
ガチャ
『…お邪魔します、』
田村「っ…hkrちゃん、居った、良かった。」
『…保乃ちゃん、どうしたんですか、なんで泣いてるの、』
田村「ごめん、あれ、なんでやろ、ほんまごめん、いい大人が迷惑やんな。」
静かに帰ってきたはずなのにドアを開ければ保乃ちゃんが待っていて、目が合うと安堵したように笑ってから涙を零した。
体調を崩した時に起きるメンタルブレイクとか言うやつかもしれない。
保乃ちゃんを優しく抱きしめ、トントンと肩を優しくリズム良く叩いてあげればまた可愛い寝顔を浮かべた。そんな彼女をゆっくりソファーに倒して、近くにあったブランケットをそっとかける。
さて、ご飯作りますか。
我ながらまあまあ良い出来のものが出来たんじゃないかな。なんて思っていれば後ろからガサゴソと音がして振り向けば寝ぼけ半分の彼女と目が合った。
『ふふ、おはようございます。』
田村「ん…おはよう、いい匂い、」
『お粥とあとちょっとしたおかず作ったんですけど、食べれそうですか?』
田村「食べたい。」
『今持ってきますね。』
今か今かと待ち構えている彼女の前にご飯を運べば嬉しそうな顔をしてまた"ありがとう"と笑った。
『暑いから気をつけてくださいね。』
田村「いただきますっ、んっ…ふっ、おいしい!」
『良かった笑』
田村「うんっ、美味しい、久々にこんな暖かいご飯食べた。」
『…保乃ちゃん料理しないタイプですもんね?』
田村「え…バレた?」
『ふふ、はい。シンク凄い綺麗だし、具材もなんも入ってなかったので。笑』
田村「…恥ずかしい、って、ご飯代!払うよ!」
『ふふ、いいですよ、そんなの。』
『それより早く元気になってください。』
田村「…ありがとう。」
それから黙々と食べ続け気持ちいいくらい綺麗に完食してくれた彼女はまた少し眠たそう。
『ここじゃなくて、ベッドで寝ましょう?体痛くなっちゃう。』
田村「ん…、なぁ、まだ帰らん?」
『え、っとー、洗い物したら帰ろうかと、思ってましたけど、』
田村「…帰らないでって言ったら迷惑、やんな、」
私の袖を少しだけ握った彼女は弱々しくそう呟いた。帰らなくていいのなら私はずっとあなたと居たいくらいですよ。なんて言えるわけもないので、ならもう少しお邪魔させてください、なんて笑えば、嬉しそうに彼女も弧を描いた。
田村「…hkrちゃんも、」
『え、い、一緒にですか?』
田村「だって、一人は寂しいんやもん。」
『ふふ、可愛い。』
『なら、少しだけ、』
こうして無事彼女の甘え顔に弱い私はまたしても流され同じベッドで横になることに。
好きな人が横にいる、手を伸ばせば触れられる。何度も願っていた状況なのにいざそうなってしまうと狼狽えるしか私には出来ないらしい。
田村「なぁhkrちゃんとさ出会ってもう一年以上って知ってた?」
『え?』
田村「あ、いや、勝手にな、毎日一緒に朝いってたから親近感湧いちゃってて、気持ち悪いやんな、」
『あ、いや、全然。私も保乃ちゃんのこと気になってたし、』
田村「そうなん?」
『はい、だから、たまに会えない日があるとなんかあったのかなぁって勝手に心配してました。』
田村「ふふ、保乃も一緒。」
「なーんや、もっと前に話しかけておけば良かった。」
『ふふ、ですね。』
知らなかった保乃ちゃんの思いを聞けてまた胸が高鳴る。会いたかったのは、私だけじゃなかったんだって。
それから1時間くらい2人で眠りについて、そろそろ帰ろうかと準備をしていれば、
田村「なぁ、バスだけやなくて、こーやって会えへん?」
『っ…、』
田村「嫌やったら全然ええねんけど、保乃は会いたい。」
『私も、会いたいです。』
『保乃ちゃん不健康そうなご飯ばっか食べてそうだし。』
田村「…言い返せへんこと言わんで。笑」
「連絡先、交換せえへん?」
『はいっ。』
お互いスタンプを送り合い、新しく出来たトーク履歴。保乃ちゃんだけをピン留めしてから画面を閉じた。
『じゃあ、また連絡します。』
田村「うん、保乃もする。」
『ふふ、はい。』
『ちゃんと寝て、食べて、治してくださいね?』
田村「勿論です!」
『じゃあ、また。』
田村「うん、ありがとうな!!また!」
保乃ちゃんに見送られながら家を出た。
これから始まる展開の分からない物語に期待しながら、明日も7時52分の彼女を待っているんだろうな。
-fin?-
(多分続きます_✍)
たった15分のためだけに私は毎回同じ時間、同じバスに乗った。
出口の斜め後ろの席。
そこに座って、7時52分に乗り込んでくる綺麗なお姉さんを待っていた。
この気持ちを一言で表すなら恋だと思う。
高校一年生の夏、電車からバスに定期を変え乗り込んだ車内に少しドキドキしていれば、途中から乗り込んできた彼女に一目惚れをした。
名前も歳も知らない、彼女に1年以上の片想いをしている。
唯一知っているのは、笑うと笑窪が出来ること。その笑顔が凄く好きなことだった。
だから今日も、この場所で彼女を待った。
〜○○駅〜
彼女が乗り込んでくる駅。
暗くなったスマホで前髪を整えて、ちらっとドアを見た。
『…、』
今日も彼女は7時52分にやって来る、でも少しだけ様子がおかしい。いつもは明るいオーラを放ってる彼女が今日はどことなくふらついていて、、、体調が悪い?
いつもは捕まるつり革も掴む気力がないのか、私の目の前にあるポールをぎゅっと掴んで精一杯立っていた。
『…あの、席、』
田村「え…?あ、いや、大丈夫、やから、ありがとうな、」
見るからに大丈夫じゃなさそうな笑顔でそう言った、彼女とした初めての会話。
『具合悪そうです、私今日立ちたい気分なので座って貰えませんか。』
田村「…ありがとう、」
また力なく、でも可愛く笑った彼女はふらついた体をシートに着け、苦しそうに呼吸をしている、
『…、』
好きな人が苦しんでいるのに、私は何も出来ないのだろうか。何か、出来ることは。
田村「…くしゅっ、」
『…すみません、ちょっと失礼します、』
田村「…?ん…、」
『あつ、お姉さん熱ありますよ、』
田村「…やっぱりあるんかな、なんか寒くて、」
『とりあえずこれ、』
自分の来ていたブレザーを彼女に掛け、学校に休みの連絡を済ませる。どちらにせよ、彼女を1人にするという選択肢は私には無かった。
田村「ありがとう、っ、」
『えっとー、取り敢えずお仕事休みますか?』
田村「…休んでも、家に1人やし、どうしようかな、」
寂しそうに笑った彼女にまた胸がときめいて、苦しくなる。
『お姉さんさえ良ければお姉さんが治るまで、そばに居ます。』
田村「…良いん?」
『はい、心配なので私もそっちの方が嬉しいです。』
田村「ありがとう、なら次の駅で降りてもええ?」
『はいっ。』
思わぬ展開に嬉しくなるが彼女にとって、これはたまたま近くにいたちょっと親切な高校生ってだけ。
〜✕✕駅〜
『降りますか、』
田村「ん、よいしょっ、」
『っ…おっと、大丈夫ですか?』
田村「ごめん、体に力入らんくて、」
『いえ、手握っててください、』
ふらついた彼女によってぐっと縮まった距離にドギマギしながらも、彼女がケガしないように手を取り地面に足をつけた。
『…、』
田村「タクシー、通るかな、」
『お姉さんそこ座っててください、捕まえて来ます!』
田村「ごめんな、ありがとう、」
近くのベンチに彼女を座らせ、もう一度ブレザーを掛けてから近くの大通りへ出た。
以外にもすぐタクシーは捕まり、お姉さんの元までたどり着く。
『乗れますか、』
田村「ん、ありがとう、」
私がなにかする度に"ありがとう"と伝える彼女はきっと素敵な人なんだろうな。私の一目惚れは間違っていなかったみたい。
田村「〜〜〜まで、お願いします、」
運転手「はーい。」
バスとは違う、隣に座っているお姉さん。
髪綺麗だなぁ、恋人とか居るのかな。
田村「あ…、」
『ん?どうしました?どっか痛い?』
田村「そうやなくて、田村保乃です、」
『え、あ、えっとmrthkrです。』
田村「hkrちゃん、」
『田村、さん、』
田村「ふふ、保乃でええよ。」
『保乃さん?』
田村「んー、距離感じるなぁ…、保乃"ちゃん"がええ。」
『保乃…ちゃん、』
田村「ふふ、うん。」
「くしゅっ…、」
『大丈夫ですか、寒い?』
田村「寒い、本格的に風邪引いちゃったんかなぁ。手、触ってみて、冷たいやろ?」
『…冷たい。』
田村「ふふ、hkrちゃんは暖かい。」
車内で繋がれている手。細長く綺麗な指が私を捕まえて離さない。もう、抜けられないかも。
運転手「お客さん着きましたよ。」
田村「ありがとうございます、これで、」
運転手「はーい、ご利用ありがとうございました。」
大人らしくカードで支払ったお姉さんに慌てて財布を出せば"保乃の我儘やから"なんて鞄の中に逆戻り。
保乃ちゃんの住んでいるマンションは凄く綺麗で住んでみたいと口に出てしまうほどだった。
『…お邪魔します、』
田村「ん…、ごめんな、散らかってるけど、」
『いや、全然、』
全然綺麗だ、朝迷ったんであろう服が少し乱れているくらいで、本当に綺麗だった。
『えーっと、とりあえずお粥とかありますか。』
田村「…どうやったかなあ、」
『あ、お姉さん…じゃなくて、保乃ちゃんはベッドで横になってて下さい、』
田村「いいん、?」
『はい、あ、あのキッチン借りても大丈夫ですか?』
田村「それは全然大丈夫やけど、」
『ありがとうございます。』
と、意気込んだものの冷蔵庫の中はお酒とおつまみになるようなものしかはいっていない。
『…スーパーに、って寝てるか、』
可愛い寝顔を浮かべている彼女を起こさないように財布を持ち、後鍵をお借りして家を出た。
歩いて二分でスーパーに辿り着き、次々に食材をカゴに入れた。
昔から得意だった料理は今日のために習得していたのかもしれない。
ガチャ
『…お邪魔します、』
田村「っ…hkrちゃん、居った、良かった。」
『…保乃ちゃん、どうしたんですか、なんで泣いてるの、』
田村「ごめん、あれ、なんでやろ、ほんまごめん、いい大人が迷惑やんな。」
静かに帰ってきたはずなのにドアを開ければ保乃ちゃんが待っていて、目が合うと安堵したように笑ってから涙を零した。
体調を崩した時に起きるメンタルブレイクとか言うやつかもしれない。
保乃ちゃんを優しく抱きしめ、トントンと肩を優しくリズム良く叩いてあげればまた可愛い寝顔を浮かべた。そんな彼女をゆっくりソファーに倒して、近くにあったブランケットをそっとかける。
さて、ご飯作りますか。
我ながらまあまあ良い出来のものが出来たんじゃないかな。なんて思っていれば後ろからガサゴソと音がして振り向けば寝ぼけ半分の彼女と目が合った。
『ふふ、おはようございます。』
田村「ん…おはよう、いい匂い、」
『お粥とあとちょっとしたおかず作ったんですけど、食べれそうですか?』
田村「食べたい。」
『今持ってきますね。』
今か今かと待ち構えている彼女の前にご飯を運べば嬉しそうな顔をしてまた"ありがとう"と笑った。
『暑いから気をつけてくださいね。』
田村「いただきますっ、んっ…ふっ、おいしい!」
『良かった笑』
田村「うんっ、美味しい、久々にこんな暖かいご飯食べた。」
『…保乃ちゃん料理しないタイプですもんね?』
田村「え…バレた?」
『ふふ、はい。シンク凄い綺麗だし、具材もなんも入ってなかったので。笑』
田村「…恥ずかしい、って、ご飯代!払うよ!」
『ふふ、いいですよ、そんなの。』
『それより早く元気になってください。』
田村「…ありがとう。」
それから黙々と食べ続け気持ちいいくらい綺麗に完食してくれた彼女はまた少し眠たそう。
『ここじゃなくて、ベッドで寝ましょう?体痛くなっちゃう。』
田村「ん…、なぁ、まだ帰らん?」
『え、っとー、洗い物したら帰ろうかと、思ってましたけど、』
田村「…帰らないでって言ったら迷惑、やんな、」
私の袖を少しだけ握った彼女は弱々しくそう呟いた。帰らなくていいのなら私はずっとあなたと居たいくらいですよ。なんて言えるわけもないので、ならもう少しお邪魔させてください、なんて笑えば、嬉しそうに彼女も弧を描いた。
田村「…hkrちゃんも、」
『え、い、一緒にですか?』
田村「だって、一人は寂しいんやもん。」
『ふふ、可愛い。』
『なら、少しだけ、』
こうして無事彼女の甘え顔に弱い私はまたしても流され同じベッドで横になることに。
好きな人が横にいる、手を伸ばせば触れられる。何度も願っていた状況なのにいざそうなってしまうと狼狽えるしか私には出来ないらしい。
田村「なぁhkrちゃんとさ出会ってもう一年以上って知ってた?」
『え?』
田村「あ、いや、勝手にな、毎日一緒に朝いってたから親近感湧いちゃってて、気持ち悪いやんな、」
『あ、いや、全然。私も保乃ちゃんのこと気になってたし、』
田村「そうなん?」
『はい、だから、たまに会えない日があるとなんかあったのかなぁって勝手に心配してました。』
田村「ふふ、保乃も一緒。」
「なーんや、もっと前に話しかけておけば良かった。」
『ふふ、ですね。』
知らなかった保乃ちゃんの思いを聞けてまた胸が高鳴る。会いたかったのは、私だけじゃなかったんだって。
それから1時間くらい2人で眠りについて、そろそろ帰ろうかと準備をしていれば、
田村「なぁ、バスだけやなくて、こーやって会えへん?」
『っ…、』
田村「嫌やったら全然ええねんけど、保乃は会いたい。」
『私も、会いたいです。』
『保乃ちゃん不健康そうなご飯ばっか食べてそうだし。』
田村「…言い返せへんこと言わんで。笑」
「連絡先、交換せえへん?」
『はいっ。』
お互いスタンプを送り合い、新しく出来たトーク履歴。保乃ちゃんだけをピン留めしてから画面を閉じた。
『じゃあ、また連絡します。』
田村「うん、保乃もする。」
『ふふ、はい。』
『ちゃんと寝て、食べて、治してくださいね?』
田村「勿論です!」
『じゃあ、また。』
田村「うん、ありがとうな!!また!」
保乃ちゃんに見送られながら家を出た。
これから始まる展開の分からない物語に期待しながら、明日も7時52分の彼女を待っているんだろうな。
-fin?-
(多分続きます_✍)