愛されマネージャー
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年が明けた。
櫻坂46はまた1つ大人になった。
変わらないものなんてない。
この子達への愛情も、日を増す事に大きくなる。
そしてこの子達もまた、日を増す事に大きくなっていく。
嬉しいようで、少し寂しい。
そんな感傷に浸りながら、年を越した。
今年はどんな1年になるんだろう。
この子達はどんな風に大人になっていくのだろう。
どんな出会いが、別れが、待っているのだろうか。
そんな事が次々と頭をよぎる。
最近の私は、何かに追われているように、いや、考えることから逃げるように仕事を入れていた。
まるで、別れを拒む子供のように。
田村「ひぃちゃん、最近のhkrさん、元気ないよなぁ。」
「うん、私もずっと思っとった。」
山下「この前なんて凄い隈作ったまま仕事してましたよ。」
山﨑「最近のhkrちゃん、変だよね。」
「…どうしたらいいんかな。」
田村「理佐さん達に連絡してみいひん?」
山﨑「理佐さん!!いいやん!」
田村「やんな!ほな、電話してみるわ。」
〜着信音〜
理佐「もしもし?保乃ちゃん?」
田村「わ〜、もしもし、理佐さ〜ん?」
山﨑「理佐さーーーん!!!」
理佐「ふふ、うるさ。なに?なんの電話?笑」
「あ!あけましておめでとうございます。」
田村「うわ、せや!」
田村.山﨑.山下「あけましておめでとうございます!」
理佐「おぉ、あけましておめでとう〜。」
「突然電話しちゃってすみませんでした。」
理佐「んーん、いいよ、なんかあった?」
田村「…その、最近hkrさんの様子がおかしくて、」
理佐「hkrが?どんな感じ?」
「疲れてるっていうか、なにかに追われてる感じっていうか、」
山下「考えることを辞めたいように見えます。」
理佐「考えることを辞めたい、か。」
「それはいつから?」
田村「年越し前やんな?」
山﨑「12月入ったくらいかな?」
「ずっと仕事は忙しそうやったけど、様子がおかしくなりだしたのはそのくらいやったと思います。」
理佐「12月か、あーー、もしかしたら、だけどさ。」
「…?」
理佐「1期の卒業が立て続けに決まって行って心が追いつかなくなったのかもね。」
「冬優花さんたちの卒業、確かに9月くらいから色々話決まってって、12月は11thの制作期間に入ったくらいやったっけ。」
理佐「hkrもさぁ、1人でなんでも溜め込むやつだから、限界なのかもね。」
田村「限界…、保乃達はどうしたら、」
理佐「保乃ちゃん達は保乃ちゃんたちのやり方でhkrを支えてあげれば大丈夫だよ。」
「私たちのやり方で、」
理佐「私からも連絡いれとくよ。」
「他の1期にも話しとくし。」
「すみません、ありがとうございます。」
理佐「いえいえ〜、でも、今hkrの近くに入れるのはひかるちゃん達だから、hkrのこと宜しくね。」
「「「「はい。」」」」
理佐「ん、じゃあまたなんかあったら連絡してらいつでも話聞くよ。」
「はい!ありがとうございました!」
山﨑「また今度ご飯行きましょうねー!」
理佐「ふふ、はいはい、じゃあまたね〜。」
山﨑「…私たちのやり方で、かぁ、」
「…親睦会、開かん?」
田村「親睦会?」
「うん。予定の会う子達で集まって、hkrさんの話を聞いたりとか、なんて言うんやろ、私たちはそばにいますよっていう、そーゆう会やらん?」
山﨑「ええやん!それ!」
山下「あとは予定を合わせるだけですね。」
「うん、これは内密に行こう。」
田村「なら〜、まずは、hkrさんの予定確認やな!ひぃちゃん!お願い出来る?」
「え!私!?」
山﨑「だってこんなかやったら1番hkrさんと仲良いのひかるやろ?」
「そっ、か、うん!分かった!」
田村「ふふ、よろしくな、ひぃちゃん。」
「はい!」
『そこは、臨機応変に対応しながら進めていこう。』
携帯を片手にパソコンを打つ仕事人間。
この人は何処までも、真面目で、努力家で、頼り方を知らない人だ。
「hkrさん。」
『ん、ひかるちゃん、どうした?』
声を掛ければ、しっかりと目を合わせてくれて、パソコンを閉じ、私を最優先にしてくれる。
「…直近で空いてる日ってありませんか?」
『空いてる日か、ちょっと待ってね。』
『……3日後の夜なら時間取れるよ。なんかあった?』
「その日、hkrさん家行っても良いですか?」
『ふふ、いいよ。ひかるちゃん1人?』
「あー、いや、何人かで!」
『ん、了解!』
『その日にシフト空いてる子は、保乃ちゃん、瞳月ちゃん、あー、天ちゃんは遅れる感じで合流できそうだね、後は、ん、ひかるちゃんも空いてるね。』
なんと、そんなピッタシ話してた4人で集まれるとは。神様が味方してくれたんかな。
「その4人で!伺います!」
『はーい、ご飯作って待っとくよ。』
「ふふ、はい!楽しみにしてます。」
『ん、私も楽しみにしてるね。』
「て事で、3日後の夜!親睦会を開きたいと思います。」
田村「綺麗に予定合ったなぁ、」
山﨑「流石にこれは運命すぎひん?」
山下「運命ですね、間違いなく。」
「私もそう思う。」
「それでね、1つ提案なんだけど、」
田村「ん〜?」
「由依さんと理佐さんも呼ばん?」
山﨑「え!それめっちゃええやん!」
「一応2人ともその日の夜は空いとるみたいで。」
田村「でかしたなぁ!ひぃちゃん!」
山下「呼びましょう!!hkrさんも絶対嬉しいです!」
「うん!じゃあ決まり!」
「みんなでhkrさんのこと支えよう!」
「「「おー!」」」
今日の夜、私の部屋で親睦会が開かれるらしい。
久々に出来てしまった隙間をどう埋めようか悩んでいた私にとっては嬉しい誘いだった。
『…にしても、ご飯作りすぎちゃったかな、まぁいいか。』
目の前にある大量の夕飯を横目に、冷蔵庫を開けて、瓶を手に取る。厚着をしてから、バルコニーに出て、蓋を開けた。
溢れ出した泡が私の手を滴る。
何故か胸が苦しくなって、涙が出そうになった。
『あーーー、まだまだ頑張れ、私。』
流し込むようにビールを飲み込んで、過去の思い出に浸る。
そんなふうに時間を過ごしていれば、インターフォンが鳴って、あの子たちの声が聞こえた。
『いらっしゃい。』
『って、理佐!こば!』
小林「ふっ、うるさ。」
理佐「子供じゃ〜ん。」
森田「サプラーイズ!です。」
『サプラーイズ!かぁ、ふふ、嬉しい、ありがとう、上がって!』
田村「お邪魔しま〜す。」
思いもよらぬ来客、喜びと共に奥に押さえつけた感情が蓋を開けそうになる。
駄目だ、絶対に泣いちゃ駄目。
皆が帰るまで、耐え切ろう。
理佐さんと由依さんの顔を見たhkrさんの表情は、嬉しそうで、でも何処か溢れだしそうな何かを堪えている子供のように見えた。
それはきっと私だけじゃなくて、ここに居る皆がそう思っているんだと思う。
山下「ん!天さんもうすぐ着くそうです!」
理佐「うるさいのが来るなぁ〜。」
田村「ふふ、ずっと会いたがってましたよ!」
ご飯を共にしながら、昔話に花を咲かせていた。
合流してから少し時間が経って、仕事を終えた天ちゃんも合流し、場は更に盛りあがっていた。
理佐「hkr、飲んでる?」
『ふふ、うん、なんなら皆が来る前から先に頂いてるよ。』
理佐「ふふっ、そっか。」
小林「最近どう?忙しい?」
『うーん、そうだねぇ、こば達が居た時よりも更に忙しいかもね。』
小林「ちゃんと休めてるの?」
『うん、休んでるよ。こば達こそ休めてる?』
理佐「私はもう程よい仕事ライフだよ。」
小林「私も。グループにいた時よりも全然ゆっくり出来てるよ。」
『そっか、良かったぁ。』
1期さんと話すhkrさんは、何処か子供っぽくて私達には見せない幼さがあった。
山下「hkrさん、表情が柔らかいですね。」
「うん、やっぱり理佐さん達は凄いね。」
田村「親睦会、やって良かったなぁ。」
「うん。」
根本解決はまだだけど、一瞬でもhkrさんの中に暖かい時間が流れてくれたのであれば、私は嬉しかった。
『気を付けてね。また、近々会いたい。』
理佐「ふふ、うん、また会おうね。」
小林「もちろん、予定空けてよね。じゃあ、ひかる、hkrの事よろしくね。」
「はい!」
『またねーーー。』
あれから数時間が経って、親睦会はお開きとなった。タクシーを呼べた順に帰宅となり、残ったのは私だけ、というかまだ私はタクシーすら呼んでいない。
私にはまだ、やるべきことが残っている。
『ひかるちゃん、今日は泊まってく?』
「っ…、」
ほんのりと赤い頬を柔らかくさせながら、そう言葉にしたhkrさんに胸が踊る。
違う、私はドキドキさせられるためにここに残ったんじゃない。勘違いするな、森田ひかる、私は、皆からの想いを託されてるんだ。
「…泊まってもよかですか?」
『うん、いいよ、ふふっ、もっとお話できるね。』
そう言ってソファーに座ったhkrさん。
私も、その隣へと腰を下ろす。
「…、」
なんて言い出せばいいか分からない。
どうすればhkrさんの踏み込まれたくないラインを超えずに、助けることが出来るのだろうか。
hkrさんはいつも、どうやって私を助けてくれてたっけ。
『親睦会、私のために開いてくれたんだって?』
「え?あ、えっと、はい、」
『理佐から聞いた、気使わせちゃってたね、ごめん。』
私と目を合わせることなく、天井を見つめながら言葉を紡いでいくhkrさん。
この癖、知ってる。
メンバーの卒コンで、何度も目にしてきたこの姿。
流れる涙を我慢するように、食いしばるように、堪えるこの癖を私よく知っている。
「…、hkrさん。」
ぎゅっと抱き締めた心に下心なんて1ミリもなかった。ただただこの人を包み込みたいと思ってしまった。私がそうしてもらってきたように。
『っ…、あー、我慢してたのに、だめだ、』
私の肩で漏らした声は震えていて、徐々に強く握られていく私の身体にはhkrさんの涙が染み込んで行った。
『寂しいよ、っ、みんなと、ずっと一緒にいたい、もっといたいよっ、』
去年、由依さんの卒業が決まって、泣き崩れていたあの日のhkrさんと姿が重なる。
いや、あの日よりももっと小さく見えた。
「っ…、私はずっとhkrさんのそばに居ます、私たちはまだまだずっと、hkrさんと一緒に居ます。」
『っ…、』
「hkrさんを1人になんて絶対にしません。」
その言葉を皮切りに沢山声を上げて泣いたhkrさんは、疲れ切ってしまったのか、そのまま私の腕の中で眠ってしまった。
起こさないように、優しく何度も髪の毛を撫でていれば、hkrさんは眠ったまま子供のように優しく笑っていた。
『ひかるちゃん、ひかる、』
「ん…、hkr、さん?」
『おはよう、ひかるちゃん。』
「おはよう、ございます、」
『…昨日は、ごめんね。』
『ありがとう。』
寝起き1番、そう言って笑ったhkrさんの表情は晴れていて、自分の役目を果たせたことに安心した。
「ふふっ、どういたしまして。」
『あー、泣きすぎた、頭痛い。』
「ベビちゃんでしたね?」
『…やめて、恥ずかしすぎるから。』
「あははっ、hkrさん可愛い〜。」
『…ひかるがいてくれて良かった、本当にありがとね。』
「っ…、急に呼び捨ては良くないですね。」
『おー?照れてる?照れてんのか〜?』
「…。」
『ふふ、かわいい。』
『さ、今日も一日頑張りますか。』
「…はいっ!」
ひかるちゃんに抱き着いて眠った夜、今迄にない安心感が心を満たして、焦燥感は綺麗さっぱりと消えていた。
ひかるちゃんは私が欲しい時に欲しい言葉をくれる人。
私にとって、大切な人。
~fin~
櫻坂46はまた1つ大人になった。
変わらないものなんてない。
この子達への愛情も、日を増す事に大きくなる。
そしてこの子達もまた、日を増す事に大きくなっていく。
嬉しいようで、少し寂しい。
そんな感傷に浸りながら、年を越した。
今年はどんな1年になるんだろう。
この子達はどんな風に大人になっていくのだろう。
どんな出会いが、別れが、待っているのだろうか。
そんな事が次々と頭をよぎる。
最近の私は、何かに追われているように、いや、考えることから逃げるように仕事を入れていた。
まるで、別れを拒む子供のように。
田村「ひぃちゃん、最近のhkrさん、元気ないよなぁ。」
「うん、私もずっと思っとった。」
山下「この前なんて凄い隈作ったまま仕事してましたよ。」
山﨑「最近のhkrちゃん、変だよね。」
「…どうしたらいいんかな。」
田村「理佐さん達に連絡してみいひん?」
山﨑「理佐さん!!いいやん!」
田村「やんな!ほな、電話してみるわ。」
〜着信音〜
理佐「もしもし?保乃ちゃん?」
田村「わ〜、もしもし、理佐さ〜ん?」
山﨑「理佐さーーーん!!!」
理佐「ふふ、うるさ。なに?なんの電話?笑」
「あ!あけましておめでとうございます。」
田村「うわ、せや!」
田村.山﨑.山下「あけましておめでとうございます!」
理佐「おぉ、あけましておめでとう〜。」
「突然電話しちゃってすみませんでした。」
理佐「んーん、いいよ、なんかあった?」
田村「…その、最近hkrさんの様子がおかしくて、」
理佐「hkrが?どんな感じ?」
「疲れてるっていうか、なにかに追われてる感じっていうか、」
山下「考えることを辞めたいように見えます。」
理佐「考えることを辞めたい、か。」
「それはいつから?」
田村「年越し前やんな?」
山﨑「12月入ったくらいかな?」
「ずっと仕事は忙しそうやったけど、様子がおかしくなりだしたのはそのくらいやったと思います。」
理佐「12月か、あーー、もしかしたら、だけどさ。」
「…?」
理佐「1期の卒業が立て続けに決まって行って心が追いつかなくなったのかもね。」
「冬優花さんたちの卒業、確かに9月くらいから色々話決まってって、12月は11thの制作期間に入ったくらいやったっけ。」
理佐「hkrもさぁ、1人でなんでも溜め込むやつだから、限界なのかもね。」
田村「限界…、保乃達はどうしたら、」
理佐「保乃ちゃん達は保乃ちゃんたちのやり方でhkrを支えてあげれば大丈夫だよ。」
「私たちのやり方で、」
理佐「私からも連絡いれとくよ。」
「他の1期にも話しとくし。」
「すみません、ありがとうございます。」
理佐「いえいえ〜、でも、今hkrの近くに入れるのはひかるちゃん達だから、hkrのこと宜しくね。」
「「「「はい。」」」」
理佐「ん、じゃあまたなんかあったら連絡してらいつでも話聞くよ。」
「はい!ありがとうございました!」
山﨑「また今度ご飯行きましょうねー!」
理佐「ふふ、はいはい、じゃあまたね〜。」
山﨑「…私たちのやり方で、かぁ、」
「…親睦会、開かん?」
田村「親睦会?」
「うん。予定の会う子達で集まって、hkrさんの話を聞いたりとか、なんて言うんやろ、私たちはそばにいますよっていう、そーゆう会やらん?」
山﨑「ええやん!それ!」
山下「あとは予定を合わせるだけですね。」
「うん、これは内密に行こう。」
田村「なら〜、まずは、hkrさんの予定確認やな!ひぃちゃん!お願い出来る?」
「え!私!?」
山﨑「だってこんなかやったら1番hkrさんと仲良いのひかるやろ?」
「そっ、か、うん!分かった!」
田村「ふふ、よろしくな、ひぃちゃん。」
「はい!」
『そこは、臨機応変に対応しながら進めていこう。』
携帯を片手にパソコンを打つ仕事人間。
この人は何処までも、真面目で、努力家で、頼り方を知らない人だ。
「hkrさん。」
『ん、ひかるちゃん、どうした?』
声を掛ければ、しっかりと目を合わせてくれて、パソコンを閉じ、私を最優先にしてくれる。
「…直近で空いてる日ってありませんか?」
『空いてる日か、ちょっと待ってね。』
『……3日後の夜なら時間取れるよ。なんかあった?』
「その日、hkrさん家行っても良いですか?」
『ふふ、いいよ。ひかるちゃん1人?』
「あー、いや、何人かで!」
『ん、了解!』
『その日にシフト空いてる子は、保乃ちゃん、瞳月ちゃん、あー、天ちゃんは遅れる感じで合流できそうだね、後は、ん、ひかるちゃんも空いてるね。』
なんと、そんなピッタシ話してた4人で集まれるとは。神様が味方してくれたんかな。
「その4人で!伺います!」
『はーい、ご飯作って待っとくよ。』
「ふふ、はい!楽しみにしてます。」
『ん、私も楽しみにしてるね。』
「て事で、3日後の夜!親睦会を開きたいと思います。」
田村「綺麗に予定合ったなぁ、」
山﨑「流石にこれは運命すぎひん?」
山下「運命ですね、間違いなく。」
「私もそう思う。」
「それでね、1つ提案なんだけど、」
田村「ん〜?」
「由依さんと理佐さんも呼ばん?」
山﨑「え!それめっちゃええやん!」
「一応2人ともその日の夜は空いとるみたいで。」
田村「でかしたなぁ!ひぃちゃん!」
山下「呼びましょう!!hkrさんも絶対嬉しいです!」
「うん!じゃあ決まり!」
「みんなでhkrさんのこと支えよう!」
「「「おー!」」」
今日の夜、私の部屋で親睦会が開かれるらしい。
久々に出来てしまった隙間をどう埋めようか悩んでいた私にとっては嬉しい誘いだった。
『…にしても、ご飯作りすぎちゃったかな、まぁいいか。』
目の前にある大量の夕飯を横目に、冷蔵庫を開けて、瓶を手に取る。厚着をしてから、バルコニーに出て、蓋を開けた。
溢れ出した泡が私の手を滴る。
何故か胸が苦しくなって、涙が出そうになった。
『あーーー、まだまだ頑張れ、私。』
流し込むようにビールを飲み込んで、過去の思い出に浸る。
そんなふうに時間を過ごしていれば、インターフォンが鳴って、あの子たちの声が聞こえた。
『いらっしゃい。』
『って、理佐!こば!』
小林「ふっ、うるさ。」
理佐「子供じゃ〜ん。」
森田「サプラーイズ!です。」
『サプラーイズ!かぁ、ふふ、嬉しい、ありがとう、上がって!』
田村「お邪魔しま〜す。」
思いもよらぬ来客、喜びと共に奥に押さえつけた感情が蓋を開けそうになる。
駄目だ、絶対に泣いちゃ駄目。
皆が帰るまで、耐え切ろう。
理佐さんと由依さんの顔を見たhkrさんの表情は、嬉しそうで、でも何処か溢れだしそうな何かを堪えている子供のように見えた。
それはきっと私だけじゃなくて、ここに居る皆がそう思っているんだと思う。
山下「ん!天さんもうすぐ着くそうです!」
理佐「うるさいのが来るなぁ〜。」
田村「ふふ、ずっと会いたがってましたよ!」
ご飯を共にしながら、昔話に花を咲かせていた。
合流してから少し時間が経って、仕事を終えた天ちゃんも合流し、場は更に盛りあがっていた。
理佐「hkr、飲んでる?」
『ふふ、うん、なんなら皆が来る前から先に頂いてるよ。』
理佐「ふふっ、そっか。」
小林「最近どう?忙しい?」
『うーん、そうだねぇ、こば達が居た時よりも更に忙しいかもね。』
小林「ちゃんと休めてるの?」
『うん、休んでるよ。こば達こそ休めてる?』
理佐「私はもう程よい仕事ライフだよ。」
小林「私も。グループにいた時よりも全然ゆっくり出来てるよ。」
『そっか、良かったぁ。』
1期さんと話すhkrさんは、何処か子供っぽくて私達には見せない幼さがあった。
山下「hkrさん、表情が柔らかいですね。」
「うん、やっぱり理佐さん達は凄いね。」
田村「親睦会、やって良かったなぁ。」
「うん。」
根本解決はまだだけど、一瞬でもhkrさんの中に暖かい時間が流れてくれたのであれば、私は嬉しかった。
『気を付けてね。また、近々会いたい。』
理佐「ふふ、うん、また会おうね。」
小林「もちろん、予定空けてよね。じゃあ、ひかる、hkrの事よろしくね。」
「はい!」
『またねーーー。』
あれから数時間が経って、親睦会はお開きとなった。タクシーを呼べた順に帰宅となり、残ったのは私だけ、というかまだ私はタクシーすら呼んでいない。
私にはまだ、やるべきことが残っている。
『ひかるちゃん、今日は泊まってく?』
「っ…、」
ほんのりと赤い頬を柔らかくさせながら、そう言葉にしたhkrさんに胸が踊る。
違う、私はドキドキさせられるためにここに残ったんじゃない。勘違いするな、森田ひかる、私は、皆からの想いを託されてるんだ。
「…泊まってもよかですか?」
『うん、いいよ、ふふっ、もっとお話できるね。』
そう言ってソファーに座ったhkrさん。
私も、その隣へと腰を下ろす。
「…、」
なんて言い出せばいいか分からない。
どうすればhkrさんの踏み込まれたくないラインを超えずに、助けることが出来るのだろうか。
hkrさんはいつも、どうやって私を助けてくれてたっけ。
『親睦会、私のために開いてくれたんだって?』
「え?あ、えっと、はい、」
『理佐から聞いた、気使わせちゃってたね、ごめん。』
私と目を合わせることなく、天井を見つめながら言葉を紡いでいくhkrさん。
この癖、知ってる。
メンバーの卒コンで、何度も目にしてきたこの姿。
流れる涙を我慢するように、食いしばるように、堪えるこの癖を私よく知っている。
「…、hkrさん。」
ぎゅっと抱き締めた心に下心なんて1ミリもなかった。ただただこの人を包み込みたいと思ってしまった。私がそうしてもらってきたように。
『っ…、あー、我慢してたのに、だめだ、』
私の肩で漏らした声は震えていて、徐々に強く握られていく私の身体にはhkrさんの涙が染み込んで行った。
『寂しいよ、っ、みんなと、ずっと一緒にいたい、もっといたいよっ、』
去年、由依さんの卒業が決まって、泣き崩れていたあの日のhkrさんと姿が重なる。
いや、あの日よりももっと小さく見えた。
「っ…、私はずっとhkrさんのそばに居ます、私たちはまだまだずっと、hkrさんと一緒に居ます。」
『っ…、』
「hkrさんを1人になんて絶対にしません。」
その言葉を皮切りに沢山声を上げて泣いたhkrさんは、疲れ切ってしまったのか、そのまま私の腕の中で眠ってしまった。
起こさないように、優しく何度も髪の毛を撫でていれば、hkrさんは眠ったまま子供のように優しく笑っていた。
『ひかるちゃん、ひかる、』
「ん…、hkr、さん?」
『おはよう、ひかるちゃん。』
「おはよう、ございます、」
『…昨日は、ごめんね。』
『ありがとう。』
寝起き1番、そう言って笑ったhkrさんの表情は晴れていて、自分の役目を果たせたことに安心した。
「ふふっ、どういたしまして。」
『あー、泣きすぎた、頭痛い。』
「ベビちゃんでしたね?」
『…やめて、恥ずかしすぎるから。』
「あははっ、hkrさん可愛い〜。」
『…ひかるがいてくれて良かった、本当にありがとね。』
「っ…、急に呼び捨ては良くないですね。」
『おー?照れてる?照れてんのか〜?』
「…。」
『ふふ、かわいい。』
『さ、今日も一日頑張りますか。』
「…はいっ!」
ひかるちゃんに抱き着いて眠った夜、今迄にない安心感が心を満たして、焦燥感は綺麗さっぱりと消えていた。
ひかるちゃんは私が欲しい時に欲しい言葉をくれる人。
私にとって、大切な人。
~fin~