不器用な人
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由依さんの卒コンリハが始まって、いよいよ本格的に卒業しちゃうんだなぁ、なんて実感が沸いてくる。グループに入る前から好きで、憧れていた人。だからこそ、笑顔で送り出したくて、涙は絶対に見せないと、心に決めていた。
『ひかるちゃん。』
「ん、hkr、お疲れ様。」
『お疲れ様。ダンストラック、格好いいね。』
「ふふ、ありがとう。」
『由依さんから、ひかるへのメッセージみたい。』
「え?」
『ひかるへの、信頼と、託したよって、そんな感じがする。』
「そっか、ちゃんと受け取らんとね。」
『そうだね。』
普段のリハ期間中のhkrは、普段以上に言葉数が少ない。けれど、卒コンとなれば別のようで、自分から由依さんの所へ行ったり、泣いてる3期生や、メンバーの隣へ向かったりと、大人な部分を沢山見せていて、いつの間にか私よりも大人になっているような気がした。
何度も曲を通して、位置を覚えて、由依さんが考えたセトリを噛み締めて、そんな毎日を送っていれば、本番はもうすぐそこに来ていて、何度体験しても慣れることのないOvertureからの会場の盛り上がりに鳥肌が立つ。
『緊張してる?』
イヤモニを付けながら、そう微笑みかけてくるhkrに安心感を覚えて、"今落ち着いたところ"なんて返事をした。
『ふふ、そっか。楽しもうね、由依さんとの2日間。』
「うん、楽しもう。」
リハ中も、本番も、まだ1度もhkrの涙を見ていない。きっとhkrが泣いたら、私も泣いてしまう。もしかしたら、それが分かっているから、私の前では笑ってくれているのかもしれない。
1日目が終わって、すぐに2日目も始まった。
昨日と同じようで、昨日よりも重くのしかかる卒業という言葉たち。色んなことに"由依さんと出来る最後の"が付いてきていたけれど、今日はそれが集大成を迎えてしまう。
由依さんと出来る最後のライブ。
それを実感したのは、由依さんのソロ曲が始まった時やった。
何度も、何度も何度も、堪えていた涙が頬を伝う。誰にも見られたくなくて、でも、隠し方が分からなくて、そんな時hkrが私の前にやって来て、振り向くことせず私の両腕を引いて、hkrのお腹に巻きつけた。
傍から見れば、私がhkrに後ろから抱き着いてるような図。そのままどんどん後ろへ下がって舞台袖のカーテンの所に私を隠したhkr。そこでやっと、この行動の意味が理解できた。
この人はどこまでも不器用で、誰よりも優しい。
そんなことを思いながら、hkrの背中に顔をつけて、声を押し殺して泣いた。時折聞こえる鼻をすする音は私のモノじゃなくて、hkrもずっと我慢していたんだな、なんて愛おしくも思った。
「ありがとう…、hkr、」
『んーん、ここら辺花粉すごいね。』
「…ふふ、そうやね。」
『由依さんの最後のステージ。ちゃんと見届けようね。』
「うん。最後まで、焼き付けよう。」
hkrと手を繋いで、ステージに上がる。
MCが入って、曲をやって、最後に、1人1本ずつ花を渡した。
ギュッと由依さんに抱きついた時マイクを離して、由依さんはこう言った。
小林「ひかるには、hkrがいるから大丈夫だね。櫻坂46のこと、任せたよ。」
「っ…はい。」
任せたよ、たったそれだけで奮い上がってしまうほど由依さんの言葉は大きくて、重かった。
けれど、今の私なら大丈夫。
みんなが、hkrがそばに居る私ならちゃんと受け取れる。
由依さんにいつか、任せてよかったと、そう思って貰えるように頑張ろう。
隣で微笑んでくれる、この人がいれば私は大丈夫。もっと、強くなれる。
『ひかるちゃん。お疲れ様。』
「お疲れ様。」
『今日は、一緒にお風呂入りませんか。』
「ふふ、どーしよっかなー。」
『…入りたいです。』
「髪洗うのが面倒くさいだけやろ。」
『……、』
「もう〜、ならお風呂出たらマッサージね?」
『うん、分かった!』
「ふふ、じゃあ入ろっか、一緒に。」
『やった、ありがとう。』
中嶋「なんですか〜!一緒に何に入るんですか〜!」
『ん?おふ…「ふ、布団!も、もう疲れたね〜って。」』
中嶋「確かに、hkrさんたちほぼずっとステージいましたもんね。お疲れ様でした。」
『優月ちゃんこそお疲れ様。』
「お疲れ様〜。」
「…ちょっと、もう少し恥じらいとか持ってよ。」
『別にお風呂くらい一緒に入るでしょ、みんな。』
「普通は入らんの。天ちゃんとhkrがおかしいだけやけ。」
『そっかー、ま、いいや、帰ろ、ひかるちゃん。』
「ん、帰ろっか。」
私よりも大きな手をギュッと握りしめて、1歩を踏み出す。
これからの新しい櫻坂へと。
-fin-
『ひかるちゃん。』
「ん、hkr、お疲れ様。」
『お疲れ様。ダンストラック、格好いいね。』
「ふふ、ありがとう。」
『由依さんから、ひかるへのメッセージみたい。』
「え?」
『ひかるへの、信頼と、託したよって、そんな感じがする。』
「そっか、ちゃんと受け取らんとね。」
『そうだね。』
普段のリハ期間中のhkrは、普段以上に言葉数が少ない。けれど、卒コンとなれば別のようで、自分から由依さんの所へ行ったり、泣いてる3期生や、メンバーの隣へ向かったりと、大人な部分を沢山見せていて、いつの間にか私よりも大人になっているような気がした。
何度も曲を通して、位置を覚えて、由依さんが考えたセトリを噛み締めて、そんな毎日を送っていれば、本番はもうすぐそこに来ていて、何度体験しても慣れることのないOvertureからの会場の盛り上がりに鳥肌が立つ。
『緊張してる?』
イヤモニを付けながら、そう微笑みかけてくるhkrに安心感を覚えて、"今落ち着いたところ"なんて返事をした。
『ふふ、そっか。楽しもうね、由依さんとの2日間。』
「うん、楽しもう。」
リハ中も、本番も、まだ1度もhkrの涙を見ていない。きっとhkrが泣いたら、私も泣いてしまう。もしかしたら、それが分かっているから、私の前では笑ってくれているのかもしれない。
1日目が終わって、すぐに2日目も始まった。
昨日と同じようで、昨日よりも重くのしかかる卒業という言葉たち。色んなことに"由依さんと出来る最後の"が付いてきていたけれど、今日はそれが集大成を迎えてしまう。
由依さんと出来る最後のライブ。
それを実感したのは、由依さんのソロ曲が始まった時やった。
何度も、何度も何度も、堪えていた涙が頬を伝う。誰にも見られたくなくて、でも、隠し方が分からなくて、そんな時hkrが私の前にやって来て、振り向くことせず私の両腕を引いて、hkrのお腹に巻きつけた。
傍から見れば、私がhkrに後ろから抱き着いてるような図。そのままどんどん後ろへ下がって舞台袖のカーテンの所に私を隠したhkr。そこでやっと、この行動の意味が理解できた。
この人はどこまでも不器用で、誰よりも優しい。
そんなことを思いながら、hkrの背中に顔をつけて、声を押し殺して泣いた。時折聞こえる鼻をすする音は私のモノじゃなくて、hkrもずっと我慢していたんだな、なんて愛おしくも思った。
「ありがとう…、hkr、」
『んーん、ここら辺花粉すごいね。』
「…ふふ、そうやね。」
『由依さんの最後のステージ。ちゃんと見届けようね。』
「うん。最後まで、焼き付けよう。」
hkrと手を繋いで、ステージに上がる。
MCが入って、曲をやって、最後に、1人1本ずつ花を渡した。
ギュッと由依さんに抱きついた時マイクを離して、由依さんはこう言った。
小林「ひかるには、hkrがいるから大丈夫だね。櫻坂46のこと、任せたよ。」
「っ…はい。」
任せたよ、たったそれだけで奮い上がってしまうほど由依さんの言葉は大きくて、重かった。
けれど、今の私なら大丈夫。
みんなが、hkrがそばに居る私ならちゃんと受け取れる。
由依さんにいつか、任せてよかったと、そう思って貰えるように頑張ろう。
隣で微笑んでくれる、この人がいれば私は大丈夫。もっと、強くなれる。
『ひかるちゃん。お疲れ様。』
「お疲れ様。」
『今日は、一緒にお風呂入りませんか。』
「ふふ、どーしよっかなー。」
『…入りたいです。』
「髪洗うのが面倒くさいだけやろ。」
『……、』
「もう〜、ならお風呂出たらマッサージね?」
『うん、分かった!』
「ふふ、じゃあ入ろっか、一緒に。」
『やった、ありがとう。』
中嶋「なんですか〜!一緒に何に入るんですか〜!」
『ん?おふ…「ふ、布団!も、もう疲れたね〜って。」』
中嶋「確かに、hkrさんたちほぼずっとステージいましたもんね。お疲れ様でした。」
『優月ちゃんこそお疲れ様。』
「お疲れ様〜。」
「…ちょっと、もう少し恥じらいとか持ってよ。」
『別にお風呂くらい一緒に入るでしょ、みんな。』
「普通は入らんの。天ちゃんとhkrがおかしいだけやけ。」
『そっかー、ま、いいや、帰ろ、ひかるちゃん。』
「ん、帰ろっか。」
私よりも大きな手をギュッと握りしめて、1歩を踏み出す。
これからの新しい櫻坂へと。
-fin-
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