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愛されマネージャー

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"じゃあ今日から友達だね"


そう笑って指を交わしたのはいつだっただろう。
あれはきっと、彼女がまだ中学生で、傷つく前の事だったかな。


平手「hkrさーん、hkrさーん。」


『はーーい。ふふ、なに、どうしたの平手ちゃん。』


平手「えー、なんか、hkrさんいたから来てみたんだけどー、迷惑でした??」


『ぜーんぜん。』
『収録どう?楽しい?』


平手「ふふ、うんっ、すっごく楽しいです。」


『そっかそっか、良かった。』


まだ、マネージャーとしての歴も浅かった私と、アイドルになったばかりの彼女たち。
その中で、中学生という若さの中センターに選ばれた彼女はやはりどこか特別だった。


私と平手の距離が縮んだのは、丁度二枚目の制作期間だったと思う。


『てちーー、どこいったーー?』


体育館での撮影を終え、一時休憩となってすぐに姿を消した彼女を慌てて探しに行けば、校舎裏の木陰で寝転ぶ姿を発見した。


『みーっけ、なーにしてんの。』


平手「んーー、風が気持ちいいなぁって」


『ふふ、確かに気持ちいいね。』


平手「ね、振りの練習したいんだけど、一緒にしてくれる?」


『勿論、いいよ。』


学生の頃からずっと踊ることが好きだった私は、アイドルとしてスタートした彼女たちの練習に混ぜてもらって一緒に体を動かしている。
そうすることで彼女達の心に近づけるような気もするから。


平手「あー、それ右からか、そうだそうだ。」


欅坂46は全員が誰にも負けないくらい努力していた。けれど、彼女との違いが確かにあった。
誰しもが、努力と、平手への憧れを抱いていた。あの子のように踊りたい、そんな気持ちがあって、その中心である平手にはただ努力しかなかった。憧れも、何も持たずにただ努力だけを持っていた。


平手「ふぅ…、ねぇ、hkrちゃんはさ、なんでアイドルにならなかったの?」


『えー、ふふ、私がアイドルになれると思う?笑』


平手「うん。顔もスタイルも良いし、それに、ダンスも凄く上手い。」


『私は表舞台に立つより、表舞台に立つ人を支える方が好きだったからさ、この仕事は天職なんだと思う。』


平手「そっか。」
「でも、hkrちゃんと私たちってアイドルとマネージャーって言うだけじゃ足りない仲じゃない?」


『それはそうかもね。笑』
『なんだろう、仲間?ソウルメイト?!』


平手「んーー、とも、だち?」


『あはは、確かに、それが一番しっくりくる。』


平手「じゃあ今日から友達だね」


『うん、友達。ふふ、やったー、社会人になって初めて出来たなぁ〜。』


笑顔が可愛くて、努力家で、人の気持ちを汲み取れる優しい子、そんな貴方を守りたかった。


『平手、大丈夫?』
『平手!今度一緒にここ行こう!』
『平手ー、自販機行こうー?』
『平手、髪型可愛いね。』


気が付けば彼女は無邪気な笑みを浮かべることが少なくなって行って、現場に来れなくなることも、多くなって行った。


平手「ねぇhkrちゃん、」


『ん?』


平手「私さ、もう、頑張れない。」


『っ…、』


いつかは来るとわかっていた。
東京ドームライブが終わったあの日、平手に呼ばれてやってきた部屋の中で、ただ一言、そう言われた。


引き止めたかった。まだ貴方にいて欲しいと縋りたかった。でもそんなこと出来なかった。


だって、ごめん、そう言って笑みを浮かべた彼女にあの頃の大事なものが無かったから。私がそれを守ることが出来ずに、奪ってしまったから、


『平手はさ、何が1番、楽しかった?』


平手「皆で、二人セゾンの振り入れしてる時かな。hkrちゃんも一緒に踊ってたあの時間が1番楽しかった。」


『あー、ふふ、懐かしいね。』
『あの時、理佐派手に転んだよねぇ〜。』


平手「転んだ転んだ。こばとか大爆笑して理佐に怒られてた。」


『そうそう、ふふ、なつかし。』


平手「保乃たちが入ってきてくれてからは、より賑やかになったね。」


『そうだね、2期生は元気な子が多いね。』


平手「私さ、もっと天ちゃんと仲良くなりたかったんだ。」


『今からでも遅くないよ。』


平手「そうかな、ねぇ、hkrちゃん。」


『ん?』


平手「私が辞めたらさ、今度は天ちゃんと友達になって。」


『っ…、』


平手「あの子はまだ甘え方を知らないっていうか、我慢してることがすごく多いように見えるから、マネージャーとしてじゃなくて、友達としてそばにいてあげて欲しい。」


"いつかの私みたいに、壊れないように"


その日は思い出話、今まで聞いてこなかった平手の心の中の話、私の気持ち、色んなことを話して、気がついたら朝を迎えていた。


仕事と割り切って、彼女との契約終了を進めていく。その期間は、酷く余裕が持てなくて、何度も限界を迎えていた。


平手が脱退することが告げられ、それを止めたいメンバーたちによって話し合いが開かれた。


それぞれの思いが強く交差し合って、その場にいた全員が静かに涙を流していた。


平手「hkrちゃん、今暇?」


『んー、ふふ、うん、暇だよ。』


話し合いが終わり、メンバーを送り届けた後何故か楽屋には一人平手が残っていて、残りの仕事は明日に回すことにした。


平手「そっか、ふふ、お疲れ様。」


『平手こそ、お疲れ様。』


平手「hkrちゃんが平手って呼ぶようになったの、いつからだろうね。」


『不協和音あたり、かな、』


平手「なんで呼び名変えたの。」


『最初は、不協和音の制作期間に入って、平手が僕に入り込もうとしてるなーって感じたから、少しだけ距離を置くべきなのかなと思って変えた。』


平手「うん。」


『でも、てちに戻す暇もなく、色んな事が起こっちゃってさ、どんな風に接すればいいか正直わかってなかった。呼び名も、そのままになってた、』


平手「そっかー、そーゆう理由だったんだ。ふふ、hkrちゃんらしい。」


『平手呼び、嫌だった?』


平手「んーん、嫌じゃないよ。」
「でも今日からは、違う呼び方がいい。」


『違う呼び方、てち?』


平手「んーん。」


『んー、平手ちゃん?』


平手「ふふ、堅苦し。」
「友梨奈でいい。」


『友梨奈、分かった。』


平手「私も今日からhkrって呼んでいい?」


『もちろん。』


平手「あはは、なんか違和感あるね。」


『ふふ、そうだね。』


欅坂である最後の日に見た彼女の表情はあの頃のように、キラキラで、太陽のような笑顔だった。







小林「…hkrhkr!!!!」


『んん、こば?』


小林「収録の一時間前。起こしてって言ったでしょ。」


『ああ、ありがとう。』
『ふふ、なんか、懐かしい夢見てた。』


小林「夢?」


『うん。友梨奈の夢。』


小林「あー、ふふ、それは、隣にいる人が原因じゃない?」


『え?…え???!友梨奈!!?』


平手「ん…、ふふ、おはよう、hkr、こば。」


小林「おはよう。」


『おはよう、え、なんで?』


小林「hkrが寝てる時に、平手が楽屋挨拶しに来てくれて、そのままの流れでこうなった。」


『ふふ、そっか。久しぶりだねえ。』


平手「久しぶり!」


久しぶりに会った彼女はあの頃よりも強く、綺麗な人になっていた。


-fin-
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