このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

〜青学〜

「聞いて、さっき校舎裏で海堂が猫と戯れててちょっと笑顔だったギャップ可愛い〜」
私は仲良しのモモを見つけて、さっき見た可愛いモノを報告した。モモは興味なさそうにふーん…とだけ。どうした。
「どうした、テンション低いじゃんかよ」
「いや別に海堂の事興味ねえしな、俺」
「え、うんまぁ興味あっても困るんだけどさ」
いつもならマジかよまだいるかな見に行こうぜ!みたいなさ、こうなんていうのすぐ飛びついてくるのに今日はテンション低い。
「…」「…」
なんだなんだ、手塚部長とかに怒られたのか?
「なに、誰かに怒ら…」
「お前海堂の事好きなのかよ」「はぁ?」
「いや、だってよ…その、なんか嬉しそうに話すからよ」
「いや別に好きじゃないけど…え、なにそれでテンション低いの?なーんだ、誰かに怒られたりでもしたのかと思ったわ〜」
「怒られてねえし」
なんだ、心配して損した。なんなんだよ海堂の事好きなのかってウケるんですけど〜!
海堂はたしかにカッコイイし真面目で、あとカッコイイけど好きじゃない。私と海堂がどうこうなるなんて想像出来ない。
「さーて私は帰るわ〜、部活頑張れよ〜」
「オイオイ待て待て待て」
モモが目の前に立ち塞がる、案外デカイなこいつ。ガタイが良い。
「なになになに」「お前海堂の事好きじゃないなら誰か好きな奴いんのか?」
「え〜…」「教えてくれなきゃどかねぇ!部活も行かねえし怒られたらお前のせいでって適当に嘘つく!怒られたらお前も謝りに一緒に来いよ」
「いやいやなんだよそれ」
ここで先に皆さんにお伝えしておきますけどね、私のタイプは体格が良くて、頭の回転が速い人なんですよね。ハイ、そうなんですよモモは割と理想のタイプなんです。困りますね。
いやでもね、私達割となんても話せる愉快な仲間たちみたいなテンションで仲良くしてたんでね。今更どうこうなりたいとか、あんまり無くて。なれるならなりたいですよ、そりゃ!
でもなんか…ね。そんな好き〜!みたいな感じじゃなくて、良いかな〜みたいな?確定じゃない感じで…。ウゥ〜恥ずかしい!!ちくしょう!
「い、いいか!俺はさっきちょっと海堂の事好きなのかと思ってすげえ気分悪かった…から!俺お前の事好きなんじゃねえかな〜みたいな?感じで…」「……」「…だからよ、お前はどうなのかと思って…」
「う、うん」「その、どうだ!お前、俺の事どう思ってる?!」
あ〜マジで吐きそう吐きそう、マジで。
えっ世の中のカップル達はこんな、こんなやりとりを経て交際してんの?!ヤッベェ〜強ぇ〜!緊張!恥ずかしさ!吐き気!殺す気か〜!!
「…」「いや答えろって…」
モモがあまりにも私が沈黙を貫くので肩をどつく、ああ力も強い…力の加減が分かってない感じがまた…
「あのね、私は」「おお、」
「ガタイが良くて頭の回転が速い人が好みで、その、モモは割と理想のタイプ…なんだけど自分の中でまだ整理が付いてないというか好き、というかその」
ちくしょう〜!モモこの野郎!さっきおぉ…なんて言ってた時は柄にもなく恥ずかしそうにしてたくせに理想のタイプって言ったあたりからニヤニヤしてんじゃねえ!この野郎!
「ほんで…だから…」頭の中のもう1人の私がガヤガヤうっさいのでどう言おうかもたついてると、モモがニヤニヤしながら 分かった分かった! と少し屈んで私と目線の高さをを合わせる。やめて!今そういう感じの、そのタイプの歩み寄りはやめて!恥ずかしい!吐き気!ヤバイ!
「じゃあさ、お前俺のこと好きなのかもしれねえんだろ?」
ゴリ押しすんな!決めかねてる所をゴリ押しすんな!こいつめ!
「え、うーん、」
いつもならペラペラ話してうるさいって言われるのに、この私ですらこういうシーンでは大人しくなるのね。
「お前さ、例えば俺と2人で出掛けたり…あとは、その…手!手繋いだりすんの想像出来るか?」
馬鹿野郎、この私の妄想力なめんなよ
「出来る!」
「あ、出来んのかよ」「え?」
「いや出来ないって言われたらどうしようかと」「考えてモノ言えや」「どもってるお前には言われたくねえ」「なんだとコラ」
「まぁ、その…なんだ…俺が思うに好きでもねえ奴とのそういうのは想像出来ねえと思うんだよな!だからお前俺の事好きだぜ!間違いねぇな!間違いねえよ!!!」
「いやそんな断言…」「じゃあコレ嫌か?」
気付くとモモの顔がめちゃくちゃ近くて、目の前にあって、あぁコイツ改めてみると顔も良いのかよなんて思ってしまって
「嫌じゃない」なんてポロッと言ってしまった。
じゃあお前俺の事好きだな、と言ってニヤニヤしながら姿勢を正して咳払いをした。
「奇遇だな〜!俺もお前の事好きだぜ」
今まで見た中で1番良い笑顔をしながら言ってくれて、それを見て 私も って思ってしまった。
恋の自覚をこんな風にするなんて。全く。
恥ずかしくなって、とりあえずモモのお腹にパンチした。すげえや皆こうやって恋愛してんだもんな、すげえや。
「お前も可愛い所あんだな!」「うっせぇ、早く部活行けや」
ヘラヘラ笑いやがって。この野郎。
「帰ったら電話、するな!」「は?」
「だって色々話してえだろ?」
じゃあな!ってモモは駆け出して部活に行ってしまった。置いてけぼり〜!!!なんなんだよ、なんなんだよコレ……悪くないじゃん…。
5/6ページ
スキ