黄色と青色
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私は持っていた本を慌てて放り出して
甲板を走り出したが、マストの上から飛び降りてきた人影がシャツを掴まえてくれた
「はい、名無しさんちゃん。どうぞ」
「ハルタ隊長、ありがとうございます!助かりました」
にっこりと笑った隊長が目の前に差し出してくれたそれを私は受け取り、ほっと胸をなで下ろす
マルコさんのシャツが無事で良かった
「いいよ!気にしないで。それより、名無しさんちゃんったら…」
ははっと軽く笑いながら私の髪の毛を撫で付けて
整えてくれるハルタ隊長
「さっきの風のせいだね。髪の毛ボサボサになってるよ」
「す、すみません!ありがとうございます」
なんだかここまでしてもらうのも申し訳ないやら
照れ臭いやらで深々とお礼をした
「そんなのいいって。まぁ、あんまり触ると後が怖いからこのくらいにしておくよ。それじゃあオレは見張りに戻るね!」
そう言うとひらひらと手を振ってハルタ隊長はまたマストの上へと軽々飛び移っていく
…後が怖いとは一体何のことだろう?
少しの疑問を残したまま周りをキョロキョロと確認する
甲板にいた皆は突風などなかったみたいにさっきと変わらぬ光景で、誰も私の事など気に留める様子もない
一応物陰に身を隠すと、シャツを丁寧に広げて綺麗に畳み直し腕の中にぎゅっと抱きしめた
洗剤とお日様の匂いしかしないそれは私の心をまた切なく締め付ける
大好きなマルコさんの匂いがしないから
「はぁ…」
もう少し
あと数日の辛抱だ
島に着いたら一緒に過ごす時間を作ってくれるって言ってたし
それを楽しみにして今日も一日頑張る
よし!そろそろ仕事頑張るかな、と立ち上がった時に遠くから私を呼ぶ声がする
「おーい、名無しさんちゃん!あぁ、そこにいたのか!」
「わ、と…サッチ隊長どうかしました?」
思わず動揺して持っていた紫色のシャツは後ろ手に隠した
振り返ればこちらに駆けてくる嬉しそうな顔をしたサッチ隊長の姿
そして私に一枚の紙を差し出してきた
「これ見てくれよ!これから行く島でやってるらしいからマルコの奴、誘ってみ?きっと喜ぶぞアイツ」
「え、パイナップル?」
その紙にはファンシーで可愛いパイナップルのキャラクターの絵とパイナップル畑の写真が載っているチラシだった