黄色と青色
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「ん〜!今日もいい天気だなぁ」
午前中に一番隊員総出で取り掛かった
大量の洗濯当番の仕事も終わってしまったので
暫しの休憩時間
1600人分の洗濯物が風にはためく様子は圧巻だ
その隙間から雲一つない青空を仰ぐ
最近は海軍に追われたり敵船と戦闘続きだったので
こんなに穏やかな時間も久しぶりだ
甲板でトレーニングする者や
お昼寝している者
釣りをしたり手合わせしている隊員など
思い思いの場所で過ごしてしている
じっと座っていてもじわじわと汗をかきそうな暑さの中
私はというとマストの僅かな日陰に身を寄せて読書でもしようと思った
だけど、さっきから一ページも進んでいないことは分かっている
その原因は目線を上げた先にあるヒラヒラと揺れる洗濯物
その中に一際目立つ紫色のシャツが気持ち良さそうに風に乗ってに泳いでいる
夏島が近いので洗濯物が乾くには十分な気温
もうそろそろ乾く頃だろう
風に乗って微かに香ってくる洗剤の匂いが鼻腔をくすぐった
「マルコさん…」
溜め息と一緒に思わず口に出した愛しい彼の名前
寄港が近くなると普段から忙しい彼がいつもより多くの仕事を抱え
朝から夜遅くまで書類の整理などで自分の部屋に籠もりっきりの毎日
たまに姿を見ることは出来ても指示を出したり
オヤジ様や他の隊長となにやら真剣に話し込んでいるので
平隊員の私が邪魔してはいけない
私は私で一応、一番隊隊員として割り振られた仕事もあるので顔を合わせる時もあるけど
仕事とプライベートはキッチリ分けると付き合う時にマルコさんはオヤジ様に誓った
それに習って普段は完全に隊長と隊員として接するのみだ
仕方のないことだけど、やっぱり少し寂しいよ
一目だけでも会いたいなぁ
頭上に広がるカラッと晴れた天気とは程遠く
私の心の中は、もやもやとした曇りの天気
そんな私を笑うかのように急に突風が吹き荒れた
モビーの帆がバタバタと音を立てる
髪の毛を巻き上げるし、持っていた本はページがパラパラと捲れた
「わっと…!あっ!?」
突風の中、薄っすら目を開けた先に見えてきたのは
糸が切れた凧のように空へ舞い上がる紫色
「大変!マルコさんが飛ばされちゃう!」
風に乗ったシャツはふわふわと上へ舞っていく