強烈な個性
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「この浮気者!ローのばかぁー!」
うわぁーんと泣きながら走り去って行く名無しさん。
「キャプテン…またですか。」
ペンギンもシャチも、こう頻繁に喧嘩が起これば呆れ顔で溜め息をつく。
そんな目で見るんじゃねぇ。
…原因は分かっている。
昨夜、女を部屋に入れた事。
正確には部屋に入れただけ。
ナニもしちゃいねェ。
金を渡せば大体の奴等は納得してそのまま何事もなく朝を迎えるだけ。
ただ、自分じゃない違う女を部屋に入れて朝まで一緒だったっていう事実さえあればそれでいい。
ベッドで寝ている所を起こしに来た名無しさんに目撃させる。
そうすりゃ勝手に話は出来上がる。
「俺は誘ってねェ。あの女が勝手についてきただけだ。」
「そうかも知れませんけど、名無しさんの前で言えます?言い訳にしか聞こえませんよ。」
「キャプテン、どうして態々毎回こんな面倒事を起こすんですか…ドMなんですか。」
これが今朝の騒ぎの経緯だ。
「素直に謝った方がいいですよ。」
俺を取り囲むクルーの視線が痛いくらいに突き刺さる。
「チッ…。」
そこへ、アイツの様子を見に行ったベポが顔色を変えて走って来た。
「キャプテン大変だよ!部屋を見に行ったら蛻の殻で…一人で町に降りて行ったみたい。」
あのバカッ!
一人で町へ行くなと耳にタコが出来るほど言ってるだろ!
嫌な予感しかない。
俺は刀を担ぐと大股で船を降り、町へと向かった。
その背中をクルー達が哀れんだ目で見つめているとも知らずに。
「うっうっ…。ローのバカぁ!」
ローが女の人を部屋に連れ込んでいるのを見たのは正直これが初めてなんかじゃない。
何回もその場面に出食わしたし、その度に私は泣いて喧嘩になって、ローが謝るの繰り返し。
でも全然反省してない。
今回だって知らない女の人と同じベッドに寝ている所をバッチリ見てしまったのだ。
って事は、つまりそういう事だよね…。
いや、そもそもローは何で私なんかと付き合ってるんだろ。
トボトボと歩きながら自分の靴を見る様に下を向いたら、御世辞にも大きいとは言えない二つの膨らみが。
それに比べてローが毎回連れ込むのは女の私から見てもナイスバディで魅力たっぷりの御姉様方。
「私じゃ満足してないってことだよね。」
だって付き合ってるのに一回も手出された事無いし。
勿論、朝まで同じベッドに寝るなんて事はある訳ない。
告白したのだって私の方からで、ローからの返事は「あぁ。」だけだった。
本当に私の事を好きなのかな。
何でローなんか好きになっちゃったんだろ。この気持ちがこんなに辛いなんて。
もう、ローを好きでいる事に疲れたよ。
いっそ嫌いになれたら楽になれるのかな。
ローだって私と付き合わない方が沢山の御姉様方と遊べていいじゃん。
なのに何で…。
あー、何か考えたらムカムカしてきた。
私は飲み屋の看板を見つけると勢いよく中に入りカウンター席に座った。
「マスター!この店で一番強いお酒下さい。ロックでね。」
もうどうにでもなれって。
置かれたグラスに入った琥珀色の液体をぐいっと一気に飲み干した。
「おお。姉ちゃんいい飲みっぷりだね!お代わりいるかい?」
喉が焼けそうに熱くて涙が滲む。
「ええ、お代わりお願いします!」
ぐちゃぐちゃな思いは全て忘れたかった。