ハートのリズム
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あぁ、何か好きな相手に心臓見られてるって。
自分の気持ちが丸分かりで、まるで裸にされてるみたいに恥ずかしい。
「手紙なんてまどろっこしい事すんな。こうすりゃお互いの考えてる事は一目瞭然だろ。」
「いやいや、キャプテンのは特例です。それに刺激が強すぎますって。」
て言うかキャプテンにしか出来ない荒業で、かなり無茶があると思います。
気持ちが伝わって満足したのかキャプテンは自分の心臓を戻し、私の心臓も戻してくれた。
「あ、ありがとうございます。」
ふー、やっぱり収まるべき所にないと落ち着かないわ。
安心して胸を撫で下ろしていると。
「そういや、さっきの…手紙の最後まだ続きがあるんじゃねぇのか。」
私の目線の高さでヒラヒラするラブレター。
「あ、それは…!」
まどろっこしい事しないで直接…。
私は息を整え、一呼吸。
「キャプテン、誕生日おめでとうございます!」
「…あぁ。」
「?」
素っ気ない返事をしたキャプテンは踵を返すと出ていってしまった。
私、何か変な事を言ったかな?
少し不安を覚えた。
「おーい、名無しさん!キャプテンの誕生日パーティーの準備するんだろ。こっち手伝え!」
「馬鹿か!声がデケェ。キャプテンに気付かれるだろ!」
外から飛んできたペンギンの言葉に我に返る。
「はーい!今行きます!」
今日は大好きなキャプテンの誕生日。
思いっきりお祝いしなくちゃ!
さっき感じた不安は既に消え去り、夜の宴の事で頭がいっぱいになった。
目深に被られた帽子の下、ローの唇は弧を描いている。
もし、まだ自分の心臓がアイツの目の前に晒されていたら大きく脈打ったに違いない。
戻した後で本当に良かったと思う。
外では馬鹿でけぇ声で名無しさんを呼ぶペンギンと、それを声がでかいと怒るシャチ。
ドタドタ走り回っているのは大方ベポだろう。
ったく、あれだけ騒いどいてサプライズもクソもねぇだろ。
毎年毎年アイツらは学習しねぇ。
まぁ、知らない振りしてやるのも優しさか。
自分の気持ちに気付いてから
アイツの気持ちに知らない振りは出来なかったが。
さて、準備が出来たと呼びに来るまで少し仮眠を取ろうと閉じた瞼。
その裏に写るはー…。
*
「「「キャプテン誕生日おめでとうございます!!」」」
「「「かんぱーい!」」」
高らかに掲げ上げられたジョッキがガツガツと鈍い音を立てて打ち合う。
ぐぐーっと一気に飲み干したペンギンがローへインタビューを試みた。
「それでは本日の主役から一言お願いします!」
「お前ぇらに一つ報告だ。今日から名無しさんはおれの女となる。手を出した者は問答無用でバラして海に捨てるから覚悟しろ。 」
ローはにやりと笑う悪い顔で、真っ赤な顔をして中心に居る名無しさんを指差し。
クイッと指を曲げた。
“ROOM” “タクト”
「キャ、キャプテンー!?」
「誕生日プレゼント、貰っておくぜ。」
名無しさんを簡単に抱え上げると船内へと消えて行った。
fin.