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あの後、ウソップの虎の巻ならぬ武勇伝を延々聞かされた

もう話半分で聞いていたが恋愛の「れ」の字もない話だった事は確かだ

半分くらいはまた得意の嘘かもしれないけれど

それほどまでに好きで、思い合っている相手がいることは羨ましいなと正直思った

私もそうなれたらいいのにな

サンジ君と…



「名無しさんちゃん、名無しさんちゃん？」

「へ？！…ごめん、ぼーっとしてた」

お昼ごはんを食べ終わり、食後の珈琲を飲んでいる時だった

いけない、いけない
考え事しすぎて意識が遠くにいっていた

隣、いいかい？と一言断りを入れると
サンジ君は私の隣の席に座る

「大丈夫かい？調子でも悪い？」

あぁ、心配かけてしまった
　
青い目が私の顔を覗き込んでくる

ち、近いよサンジ君

綺麗な瞳と金色に目を奪われる

「ううん、全然元気！ちょっと考え事してただけだから」

あまりに近すぎる距離に心臓が持たなくなるので
無理矢理視線を外し間を取ろうと椅子を引いて少し下がった

「それならいいけど、考え事ってさっきウソップが言ってた恋愛の事？」


煙草に火を付けると
フーッと長く紫煙を吐いてサンジ君が核心を突いてくる

あなたの事について恋愛相談に乗ってもらっていたんですと正直に言うべきなのか

それとも適当に誤魔化すべきなのか
何て言えば正解なのか分からなくて返答に詰まる

「…その、名無しさんちゃんはウソップの事が好きなのかい？」

「まさか！違うよ」

吸っていた煙草をギュッと灰皿に押し付けると
真っ直ぐに私を見据える

今度こそ青色の目が私を捕らえて離さない

「最近よくアイツと一緒にいるみたいだからさ」

「それは…」