＊　＊

「んー、美味しい！サンジ君やっぱり天才！」

用意されたデザートは見た目も可愛くて
フォークを入れるのも躊躇したくらい

一口食べれば口の中に幸せな甘い味が広がる


「名無しさんちゃんにそう言って貰って作った甲斐があるな」

眉毛を下げて照れたように笑う顔は本当に嬉しそうで
見ているこっちも嬉しくなる

サンジ君はこれからお昼ごはんの準備なのか
袖を腕まくりしてカチャカチャと手際良く料理する姿もカッコイイ


「そんなに見つめられてると穴が空いちまいそうだ」

「ご、ごめん。つい、凄いなぁって思って…」

気が付けばフォークを持つ手は止まり
サンジ君に目が釘付けになっていた

あれだけ見ていれば気付かないほうが無理がある

頬が熱い


「ほら、私って料理全然だめだからさ。サンジ君のことホント尊敬するしカッコイイなあって思うよ」

赤くなった顔を隠そうと紅茶のカップに口を付けた

残りのデザートも食べ終わり、彼の様子を盗み見してみると
うつむき加減でチラッと金髪の隙間から見える耳朶が赤く染まっているように見えた



「あのさ、もし良かったら、名無しさんちゃんが暇なときに料理…」

サンジ君が何か言いかけた時にキッチンのドアが大きな音を立てて開け放たれられる

「名無しさん！俺様の恋愛虎の巻の続きを聞かずに何処へ行ったー！」

「げ」

さっき置いてきたウソップが堂々とした立ち方で現れた

サンジ君もいるのに恋愛とか口走ってるし

「あー、ウソップごめんごめん！じゃあ、行こうか」

マズイ事まで喋りそうな勢いだったので
早くこの場から立ち去ろうと急いでウソップの腕を掴んだ

「サンジ君、デザート美味しかったよ。ご馳走さまでしたー！」



二人が嵐のように過ぎ去った後の扉を見つめて
彼はタバコに火を付け紫煙を吐き出す

「恋愛、ねェ…」