新しい世界
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「座れよ。昼間の返事、誰もいねェ今なら言えるだろ。」
「うん、分かった。」
ゾロに促されて名無しさんは席に座ると膝の上で拳をぎゅっと握り締める。
「あ、あのね。私、ゾロのこと苦手じゃないよ。目が見れないのは恥ずかしいからで…その…。」
「私もゾロの事が好きなの。」
い、言えた…。
ぎゅっと目を瞑った名無しさんはゾロが何も言ってこない反応が気になって薄目を開けて彼の様子を伺った。
「…。」
そこには手で口元を覆って顔を背けたゾロ。
「ヤベ…スッゲェ嬉しい。」
彼がぽつりと呟いた。
「ゾロ…。」
そんなゾロの姿を見るのは初めてだった。
二人は視線を交わして目を合わせた。
思いが伝わる事ってこんなに嬉しいんだ。
その時ー…。
ドドーン!!
ドンドン!
「な、何?」
外から聞こえた大きな音に吃驚して顔を見合わせる。
それと同時に甲板から騒がしい声がする。
「行ってみるか。」
「うん…。」
外に出ると大きな花火が夜空に大輪の花を咲かせていた。
「どーだ!ウソップ様の必殺、ファイヤーワークスだ!」
次々と上がる花火はクルー達の顔を色とりどりに染める。
「おぉー!ウソップ、俺こんな綺麗な花火初めて見たぞ。」
「ほんと、キレイだわ…。」
「ゾロ!花火すごいね…。」
「あァ…そうだな。」
花火に見入っている名無しさんの横顔を盗み見ながらゾロは空を見上げて口角を上げた。
ひゅるるる…ドーン!
「敵襲ー!海軍に気付かれたぞー!」
海軍から放たれた大砲が海に落ちて水柱を立てた。
「おバカー!花火なんて打ち上げるからじゃないの!逃げるわよ!」
ナミの一声でクルー達はバタバタと甲板を走り帆を広げ、舵を切る。
「てめ、ルフィ!何どさくさに紛れて御節食ってんだ!それは明日食べるやつで…。」
「ケチくせえ事謂うなよサンジ。これうめぇな!」
「ぎゃー!また撃ってきたぞー!」
「危ねッ…。」
「きゃっ…。」
ゾロは名無しさんの手を引くと一緒に甲板を走った。
最終的には風来バーストで海軍から逃げ切った麦わら海賊団。
「はぁ…疲れた。」
「新年から海軍から追われるなんて悪夢だわ。」
カウントダウンをする間もなく、騒動の中で年は明けていて新しい年を迎えていた。
「まぁまぁ、それが俺らの宿命ですよ。」
「ふふ、私達らしいわね。」
「俺は別に逃げないで戦ってもよかったぜ。」
「もう、ゾロったら…。」
「よーし、宴の仕切り直しだ!」
「おー!」
「「新しい年に乾杯ー!」」
「「明けましておめでとう!!」」
東の地平線がうっすらと明るくなるまで宴は続き。
こっそりゾロと視線を交えると彼は優しい目をして笑ってくれて。
今年は何だかいい年になりそうだと名無しさんは心の奥で思った。
fin.