新しい世界
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「よく分かったな。俺にも何か飲み物よこせよ。」
悪怯れる様子もなく、ゾロはニッと口角だけを上げる独特の笑い方をした。
「てめぇには水で十分だ。ほらよ!」
コップに入った水を受け取るとゾロは喉を鳴らして一気に飲み干した。
ゾロが、じっと私を見る視線を感じる。
な、何…?
何か用かな…。
心臓のドキドキが早くなる。
「名無しさん。」
「は、はいっ?!」
急に名前で呼ばれてビクッと肩が跳ねるとゾロは吹き出した。
「ハハッ、吃驚しすぎだ。お前ヒマそうだから手伝えよ。」
「え…。」
「マリモ!名無しさんちゃんに手伝わせるとはいい度胸してやがるな!名無しさんちゃん、いいんだよこんな奴の言うこと聞かなくても…。」
「いいじゃねェか。コックの相手は出来ても俺の言うことはきけねェか?」
二人の間に挟まれておどおどする名無しさんの手を引くゾロ。
「わっ…と。ゾロ…!」
「じゃ、コイツは借りてくからな。」
無理矢理手を引かれてキッチンから出て行く時、背後でサンジが何か叫んでいた気がした。
「ちょ…待ってって。どこ行くの?」
ゾロは名無しさんの言葉など無視して手首を掴んだまま歩いて行く。
そのまま船尾のマストの元まで連れて来られて漸く足を止めたゾロが手を離すと振り返る。
「悪ィ…手、痛かったか?」
ずっと握られていた手首はジンジンしていた。
「ううん、それよりどうしたの?何を手伝えばいいの?」
キョロキョロと辺りを見渡しても掃除道具一つ置いてないし、第一ゾロの分担は展望台だったような…。
不思議に思っているとゾロが段々近付いてきて名無しさんは思わず後退りする。
追い込まれて背中にトンっとマストの柱が当り、目の前のゾロを見上げた。
「ゾロ…?」
名無しさんの顔の横のマストにゾロは右手を着くと彼女の顔を覗き込む。
至近距離で見つめられて。
顔から火が出そうなくらい熱い…。
「お前、俺のこと苦手だろ。」
「え…?」
ゾロが言った言葉が名無しさんの心に突き刺さる。
「仲間になってから俺の目も見ようとしねェし、避けられてるのは分かってんだよ。」
確かに目を合わせられなかったけれど、それは恥ずかしさからで決して避けていた訳ではない。
でも、ゾロにそう思わせてたなんて…心がチクりとした。