スノースマイル
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* * * *
降り続いていた雪は漸く止み、辺りは薄暗くなった。
二人が歩く先は道が開けて広場が見えてくる。
広場の中心には大きなモミの木。
街の人が全て集まったみたいに混雑した中でカウントダウンが始まった。
「「…5…!…4…!」」
「間に合ったみたい。良かった。」
ホッと胸を撫で下ろす名無しさんと怪訝そうな顔で周りを見るゾロ。
「何が始まんだ?」
人の波を掻き分けてモミの木が見える位置まで移動する。
「「…3…!…2…!」」
名無しさんはモミの木を指差した。
ゾロも目の前の大きな木に視線を移す。
「「…1…!…0…!!」」
暗闇を一瞬で明るく照らすイルミネーションにあちこちから歓声が上がった。
「すっげェ…。」
己の感情のままに歓喜の言葉を呟くゾロに、ほくほく顔の名無しさん。
キラキラと優しい光に照らされたゾロの横顔を見て嬉しさが溢れてくる。
「今日はね、ゾロとこれを見たかったんだぁ…。」
名無しさんもイルミネーションに視線を移して呟いた。
「これを見た恋人達は一生離れる事はないって言われてるんだよ。」
「お前そういうの好きだよなァ…。」
ゾロは呆れた様に溜め息混じりの言葉を返す。
「もー!今バカにしたでしょ。」
「してねェよ。ただ…。」
急に真剣な口調になって名無しさんを見下ろすゾロの熱い視線を感じて鼓動が早くなる。
「…ただ?」
ゾロはポケットの中で繋がれた手を取り出すと握る手にぎゅっと力を込めた。
「んなモンに願わなくたって何があっても俺は名無しさんを手離すつもりはねェよ。」
「…ゾロ…。」
「冷てェ名無しさんの手を温めてやれるのは俺だけだからな。」
ゾロは空いている方の手で名無しさんの後頭部を肩口に抱き寄せる。
繋がれた手と心はゾロの優しさに触れて、名無しさんの身も心も心地よい温もりに包まれた。
fin.