スノースマイル
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吐く息は白く
空気がキンと冷えて
耳が痛くなるくらい寒くても
胸の奥と
繋がれた手は温かく
スノースマイル
「う~、寒いっ!」
名無しさんは寒さで悴む手に白い息を吐きながら擦り合わせる。
雪がシンシンと降り積もる中、ゾロと名無しさんの二人は街を歩いていた。
当然こんな天気なので街の人達はぽつりぽつりしか居ない。
「ったく…寒みぃならわざわざ出掛ける事ねェだろ。そんなに急用か?」
「うん。どうしても今日じゃないとダメなの!」
ゾロには買い物に付き合ってって理由で連れ出したけど、それは嘘。
本当の理由はこの先の広場にあるモミの木のイルミネーション点灯式だった。
「まァ、それなら仕方ねェ…船に戻ったら雪見酒に付き合えよな。いや、修業で寒中水泳でもするか…。」
ぶつぶつ呟く隣の彼を横目で恨めしそうにチラリと見る。
せっかく二人きりになれてデートしているというのにゾロの頭の中はお酒と鍛練の事ばかり。
ゾロにロマンチックさを求める方が間違ってる。
でも…。
文句を言いながらもこんな天気の中、付き合ってくれたり。
歩幅を合わせて隣を一緒に歩いてくれるゾロの優しさが嬉しかった。
「なァにニヤついてんだよ、気持ち悪ィ。」
口角を上げて名無しさんを見下ろすゾロと目が合って心臓が跳ねる。
ゾロの皮肉めいた物言いと態度も今の名無しさんには通用しない。
「へへ…私ったらニヤけてた?ゾロとデート出来て楽しいからかな!」
「バッ…言ってろ。」
そっぽを向くゾロの耳が赤く染まっていたのは寒さのせいではない。
照れるゾロが見られるのも私だけの特権なんだと思って嬉しくなる。
「ふふ…ゾロったら可愛い。」
「可愛いだァ?」
クスクス笑えば額に若干青筋を立てたゾロの顔。
「あ、聞こえてた?」
「聞こえる様に言ったんだろ。」
ゾロは塀の上の新雪を掬い上げると丸めた雪を名無しさん目掛けて放り投げる。
柔らかい雪玉は彼女のお尻にぽすっと当たって割れた。
「わっ…ちょっと、何するの!」
「ははっ。ダッセェ。」
頬を膨らませた名無しさんも雪玉をゾロに向かって投げるが彼は紙一重で躱してしまう。
「もう~!ゾロったらずるい。」
「お前ェが遅せぇんだよ。」