スーパームーン
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夜を明るく照らす月の光は
どこか神秘的なもので
何か良い事が起こりそうな気がする
そんな満月の夜
スーパームーン
深夜、クルーが寝静まった頃を見計らって食糧庫から一本の酒を拝借する。
展望台に向かう時に甲板を照らす光の先を見れば大きな満月で。
こりゃあ今夜は月見酒だな、と心踊らせて縄梯子を上れば今夜の不寝番の人物の影。
名無しさんだ。
彼女は窓に手をかけて空を見ていた。
「名無しさん。」
俺が入ってきた事に気付かないくらい窓の外に集中している名無しさんの背に声を掛けるとビクリと肩を揺らして振り向いた。
「…ゾロ。」
振り返った名無しさんはゾロの元へと駆け寄る。
「来ると思った。今夜は月が綺麗だもんね。」
心のどこかでゾロが来るんじゃないかって期待していた名無しさんの顔は自然と笑顔になる。
「あァ。旨い酒が飲めそうだな。」
「もう…ロマンチックじゃないんだから…。」
そんな彼女とは対照的な返事をするゾロにがっかりしながらも名無しさんはゾロの腕に手を絡ませた。
二人は冷たい床に腰を下ろし、ゾロは酒に口をつける。
「ねぇ、知ってる?」
名無しさんは空を見上げたまま隣のゾロに声を掛ける。
「あ?何をだ?」
ゾロがちらりと隣を盗み見れば月明かりにぼんやりと照らされている名無しさんの顔に惹き付けられた。
「今日みたいに月が大きく見えるのって68年ぶりらしいよ?」
「…へェ…。」
「次にこんなに大きく見えるのは18年後なんだって昼間見た新聞記事にあったの。」
「…ほォ…。」
酒を飲みつつ相槌を打つゾロの返事はいかにも興味なさそうで名無しさんは溜め息をつく。
ま、ゾロは満月よりもお酒だよね。
そう思って隣で美味しそうに酒を飲むゾロを恨めしそうにちらりと盗み見た。
「…18年後かぁ。その頃皆何してるだろうね。」
「俺ァ世界一の大剣豪になってるだろうな。」
自信に満ち溢れた顔で天を仰ぐゾロはすごくカッコよく見える。
きっとゾロなら世界一の大剣豪になれるよ。
私はどうしているのかな…。
今みたいにゾロの隣に居られたらいい。
だけど…。
前だけ見据えて突き進むゾロに比べて私は何も成長していない。
そんなゾロに置いてきぼりにされていく恐怖を覚えて彼の袖をきゅっと掴んだ。
「名無しさんはどうなんだ?」
「え、うーん。分かんないや…。」
本音を言うのが恥ずかしくて照れ隠しで笑って誤魔化す。
そんな事、彼にはお見通しで。
「お前は素直じゃねェなァ。言いたいことがあったら言え。」
口角を上げて名無しさんを真っ直ぐ見るゾロの目には月の光が映っている。