雨唄
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「…いい子だ。」
フッとゾロの表情が優しくなって名無しさんをベッドに寝かせた。
「ゾロ…手を繋いでてくれる?」
「あァ、お前が眠るまでずっと側に居てやるよ。」
布団の中から差し出した名無しさんの手に重ねられたゾロの手に力が込められる。
ゴツゴツとした大きな掌に包まれて名無しさんはまた泣きそうになるのをぐっと我慢して目を強く瞑った。
繋がれた手から感じるゾロの温もりと、トクン…トクンと一定のリズムを刻む脈が名無しさんを落ち着かせる。
夢に落ちる刹那。
「名無しさん、愛してるぜ。」
と聞こえた様な気がした。
名無しさんが目を覚ますと、そこにはもうゾロの姿はなく。
繋いでいた手の温もりも消えて冷えきった手がベッドの上に投げ出されていた。
ゾロ…本当に行っちゃった…。
ゾロに返して貰ったハンカチをぎゅっと握り締めて。
微かな彼の香りを感じて。
段々と押し寄せる悲しみに名無しさんは声を上げて泣いた。
ゾロが褒めてくれたこの歌声を響かせて。
名無しさんは今日もステージに立つ。
目の前の席に彼の姿はないけれど。
ゾロ…。
あなたが野望を叶えるまで私はいつまでもここで待っているから。
自由に歌うお前が好きって言ってくれた言葉を信じて。
愛しいあなたに届きますようにと心を込めて名無しさんは歌う。
fin.