鎮痛剤
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私はサンジが置いていった夜食にも手を伸ばした。
「それ、今日の夜食か?」
「あ、うん…。ゾロも食べる?」
「いや、いい。もう腹は治ったんだな。喰える時に喰っとけ。」
「うん。もう大丈夫。」
それだけ言葉を交わすと2人の間には沈黙が流れる。
チラッとゾロを盗み見れば、酒を飲む手が止まって目を閉じている。
「ねぇ、ゾロ。寝ちゃったの?」
「いや、起きてる。」
ゾロは目を開けると月を見上げたまま話し掛けてきた。
「お前…あのコックの事が好きなンか?」
「え…。」
「さっき見ちまったんだよ2人が抱き合ってるのを…。まァ、よかったじゃねェか。」
やっぱり見られてたんだ。
抱き合ってたんじゃなくて一方的に抱き付かれただけなんだけど…。
でも、よかったって何で…。
「アレだろ、お前が好きなのってコックだろ。まァ、コックはいろんな女に言ってそうだから苦労するぜ。」
え…。
私がサンジの事を好き?
何でそう思うの?
同時に、私の気持ちはやっぱり届いていなかったんだと思うと悲しくなった…。
「そんなことないよ。サンジだって、1人の女性として好きだって言ってくれたし!」
ゾロは月から目線を外して私を見据える。
視線が痛い。
「ハッ。どうだか。」
「それに…私が好きなのはサンジじゃない!ゾロなんだよ…。」
言った…。
ついに言ってしまった。
最後は恥ずかしくて小声になってしまった告白。
目を見る勇気がなくてぎゅっと目をつぶる。
「本気か?」
ゾロの声色からは感情が掴みとれない。
「うん。本気だよ。ずっとゾロの事が好きだったの。」
「そうか…ワリィ。考えさせてくれ。」
そっか、そうだよね。
急に好きだって告白されても困るよね。
目を開けるとこちらに背を向けて立つゾロの姿。
やっと言えた安心感からか視界が歪む。
泣くな私。
泣いたらゾロが困るでしょ!
「おまッ…名無しさん、泣いてんのかよ。」
「な、泣いてなんかない!」
ほら、やっぱり困ってる。
「ッチ。仕方ねェな…。コレやるから泣き止め。」
え?
ふわり。と頭の上にのせられた物。
「腹巻き?…ってどうして?」
「オメェ今日、腹痛ぇって言ってただろ。だからコレ貸してやろうと思って来てみたら…抱き合ってんの見ちまっただけなんだよ!」
キョトンとゾロの顔を見つめる。
なんか、照れてる…?
あのゾロが…腹巻き貸してくれた…。
「ぷっ…。あはははは!」
「笑うな!治ったなら返せ。」
「やだ~!もう貰ったもんね~。」
笑ったら涙なんて引っ込んじゃったよ。
「腹、冷やすなよ。」
もう、急に真顔になるからドキッとする。
「あ、ありがとう…。」
「さっきの…オレはまだ好きとか分からねぇンだ。名無しさんの本気に本気で返さねェと失礼だろ。」
「うん。分かってる。ゾロはいつだって真剣だもんね。」
ゾロは残っていたお酒を一気に流し込むと
…少し時間をくれ。
そう言って縄梯子を降りていった。
ゾロの腹巻き。
ぎゅっと抱き締めると、ゾロの香りがする。
せっかく貸してくれたんだし…着けてみようかな。
「あったかい…。」
ゾロに包まれてるみたい。
…なんか恥ずかしい。
勢いで告白しちゃったけど私の気持ちを伝える事が出来てよかった。
夜明けまでまだ時間がある。