花占い
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こうなったら梃子でも動かない男だ。
どうしよう…。
心臓の音がドキドキと破裂しそうなくらい五月蠅い。
膝の上に感じる心地よい重みと、ゾロの寝顔を見れば胸がぎゅっと苦しくなる。
さらさらと風が吹けば緑色の髪が優しく揺れた。
そっと手を置いて髪に触れて撫でてみれば意外と柔らかな髪。
戦闘の時には想像つかないくらい穏やかな寝顔のゾロ。
そんな彼を独り占めできて名無しさんは少し嬉しくなった。
こんなことされたら私、期待しちゃうよ?
勇気がでなくてただ見つめているだけの毎日。
そんな臆病な私とはさよならしたくてやった花占いの結果にさえ落ち込んで、やっぱりやるんじゃなかったって思った。
でも…ゾロが寝ている今なら言えるかもしれない。
「ゾロ…好きだよ…。」
静かに呟いた自分自身の言葉に頬を熱くした。
膝の上にゾロの頭があるので、恥ずかしさでと悶えたい気持ちを必死で抑えると名無しさんも寝転ぶ。
青い空を薄いベールで覆った様な雲が流れていく。
寝ている時なら言えるのにな…。
名無しさんがそっと目を閉じたのと同時に軽くなった膝の上の重みを不思議に思って目を開ければ…。
名無しさんの上に影を落とすゾロの姿。
「ゾロっ!?起きてたの?」
すっかり寝ていると信じて呟いた告白も聞かれていたんだと思うと恥ずかしくて、この場から逃げ出してしまいたくなる。
「あァ、起きてた。」
「た、狸寝入りだなんて酷い!」
「お前ェが勝手に寝たと勘違いしただけだろ。」
そう言って口角を上げて笑う表情は名無しさんの鼓動を速くする。
「なァ。さっきのもう一回言えよ。」
「や、やだ…!」
起きているゾロに面と向かって言うなんて恥ずかしすぎる。
「言えよ。聞きてェんだ。」
ゾロが、そっと名無しさんの肩を抱き起こすと向かい合わせに座った二人。
自分を射抜く様な真剣な目で見つめられて名無しさんは腹をくくった。
「…私、ずっとゾロの事が好きだったの…。」
あぁ、もうダメだ。
ついに言っちゃった。
あまりの恥ずかしさに下を向けばゾロがフッと笑った気がした。
「悪ィ、苛めすぎたな。」
そう言ってゾロは名無しさんの後頭部に手を回して、自分の元に引き寄せる。
「わっ…!ゾロ?」
不思議に思って見上げれば、目線を上に逸らしている彼の顔。
「お前が可愛いすぎンのが悪ィ…。」
名無しさんの頭を撫でるゾロの大きな手は優しくて温かかった。
「いいか、一回しか言わねェからよく聞け。」
「え…?」
少しの間の後、ゾロが口を開いた。
「俺も名無しさんが好きだ。」
うそ…。
ゾロが私を好きって…。
「ほんとに?」
ゾロは耳を赤くして頭をがしがしと掻く。
「あァ。嘘じゃねェ…ほんとだ。」
私をぎゅっと抱き締めるゾロの心臓の音が伝わってきて。
あぁ…私と同じ気持ちなんだなって思ったら嬉しくなった。
「ゾロ、大好き。」
名無しさんが照れ臭そうに、だけど今度はちゃんと目を見て告白すれば自然と引かれ合う二人の唇。
二人の耳にはさらさらと風に揺れる花と。
ドキドキと想いを響かせるお互いの心臓の音だけが聞こえていた。
fin.