金木犀
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「上出来だ。」
骨ばった指が名無しさんの顎を摘まんで上を向かせると降ってくる柔らかい唇の感触。
触れるだけの優しいキスだったが二人の想いが伝わるのには十分だった。
唇が離れると名無しさんは照れた様に微笑む。
そういえば今までゾロから顔を背けてばかりでちゃんと向き合ったことなかったな。
通った鼻筋と整った顔。
あ、意外と睫毛長いんだ。
「おい。あんま見んな。」
まじまじと顔を見ていたら耳を少し赤くしたゾロ。
見たことない彼の姿に胸が熱くなって息苦しさを覚える。
誰かを想って胸が苦しくなる。
あぁ、恋ってこういう事なんだ。
「ふふ。ゾロったら、可愛い。」
手を伸ばして緑の髪の毛を撫でてやれば不貞腐れた顔をする彼。
「ッチ…ガキ扱いすんじゃねェ。」
「ごめん、ごめん。そんなつもりじゃないの。許して?」
プイッと背けられた顔に謝れば目線だけこちらに向けて言った。
「お前からキスしてくれたら許してやる。」
「なっ…。」
そんな恥ずかしい事…と思ったがこれは本当にしないと許してくれなさそうだ。
意を決してゾロの唇に自分のソレを重ねれば後頭部を押さえ付けられて口を割って進入してくるゾロの舌。
「ん…っ…!…ふ…。」
呼吸も出来ないほどに口内を動き回る舌に苦しくなって胸を押し返してやっと離れていく唇。
「っ…、はぁ…いきなり何するのよ。」
「あ?今まで散々我慢したんだ。これでも足りねェくらいだが今日はこれくらいにしといてやる。」
キスだけで骨抜きにされてその場に座り込んだ名無しさんを見下ろして舌舐めずりした。
「それとも何か?」
しゃがみこむ名無しさんに目線を合わせるようにゾロも座ると口角を上げた。
「もっと欲しいなら、くれてやってもイイが止められる保証はねェぜ。」
「うっ…結構です!年上をからかうのもいい加減にしてよね!」
「からかってやしねェさ。俺ァいつだって本気だ。」
名無しさんの頭をコツンと自分の肩に凭れさせて肩を抱いた。
「今夜、一緒に居てやるよ。」
二人一緒の毛布に包まって夜空を見上げた。
次の日の朝食、ゾロに腰に手を回されてダイニングに現れた名無しさんを見て察した者もいれば気付かない者もいる。
ゾロは先に席に着くと、おろおろしている名無しさんの手を引いて隣に座らせた。
「お前の席はここだろ。」
ただ、名無しさんは顔を真っ赤にしていたので指摘するのはやめといてあげよう。
まだまだ始まったばかりの微笑ましい二人を見守って…。
fin.