金木犀
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名無しさんは黙って立つゾロの背中に話し掛けた。
「何か最近ゾロと話してないなぁと思ったら寂しくなっちゃって…。」
「…。」
私なんてゾロよりかなり年上で、ナミやロビンみたいな魅力もなくて普通だし。
絶対若い子の方が良くなってどうせ捨てられる、と思ったら無意識に線を引いていたの。
あんなに毎日一緒に居たのに避けられて嫌われてしまったんだと思ったらすごく悲しくなった。
それと同時に私もゾロに同じことしてたんだって気付いたの。
逃げてばっかりいたら嫌われて当然よね。
毎日迫られていた時は感じなかったのにいつの間にか私の中でゾロの存在が大きくなっていて。
私をこんなにも好きになってくれて必要としてくれる人がいるなんて本当は嬉しかったはずなのにね。
失ってから気付くなんて遅すぎたよね…。
「…今までごめんなさい。ゾロに愛想尽かされて嫌われてしまったんだと思ったら私…。」
「バァーカ…俺がお前を嫌うかよ。こんなに好きなのによォ。」
振り向いたゾロは腕の中に名無しさんを引き寄せて抱き締めた。
「…え?」
突然の事に思考がついていかなくて間抜けな声を出す名無しさん。
見上げれば穏やかな目をしたゾロと目線が交わって胸が高鳴る。
「やっと素直になったな。これでもう 名無しさんは俺のモンだ。」
「ゾロ…?私を嵌めたわね。」
彼はニヤリと口角をあげていつもの笑みを浮かべた。
「人聞きの悪いこと言うんじゃねェ。騙される方が悪りィ。」
「酷い…私、本当にゾロに嫌われたと思って悲しかったんだからね。」
ゾロは名無しさんをあやす様に頭を優しく撫でて言った。
「へェ、お前がそんなに俺のこと好きだったとはなァ。」
「…っ…。ゾロなんて…!」
「俺なんて…?」
鼻先がくっついて吐息まで感じられるくらい近付いたゾロの顔を目の前にして息を飲む。
自信満々な顔がむかつく。
でも…もう自分の気持ちから逃げないって決めた。
「…好き…ゾロの事がどうしようもなく好きなの。」